薬物療法
手術前検査の日。
朝ご飯を抜き、お昼すぎに病院へ。
まずは血液検査を済ませてから肺活量をはかり、レントゲンとMRIして心電図を取った頃にはクタクタだった。
一番の苦痛は肺活量の検査。
この検査でいかに自分に肺活量がないかよくわかる。
何回もやり直ししてようやく開放されたときにはホッとしたよ。
そして婦人科の待合で待機中、まだ時間かかるからと先に入院に際して個室が良いか大部屋か確認され、個室は高いので勿論大部屋でとお願いした。
その後、事務所で入院案内を受けてまた婦人科の待合に戻る。
待つこと一時間強。
ようやく呼ばれて診察室へ。
医師は私の検査結果を見ながら、手術の説明をしてくれるが、一段落したとこで私は気になっていたことを質問した。
「手術の日に生理が被りそうなんですけど、被っても大丈夫ですか?」
「ん、えっ⁉ 被るん? 生理中の手術は危険なので出来ない⋯⋯」
(そういう事は先言ってよー!)
心の中で盛大に突っ込む私。
それってさ、もう手術日変更だよね。
「生理始まりはいつ予定?」
「土曜日予定ですけど、最近遅れるから分からないです」
「そうかぁ⋯⋯どうしようかな。ごめん、皆先に聞いてくるから失念してた」
いやいや、私の生理毎回伝えてるし、周期分かってるよね?
こっちは何もかも初めてやし、ちゃんと説明してよ。
あれだよね、仕事に慣れきってしまってるが為の弊害。
私も仕事してても今迄質問されたことのないような内容もあったりするし、それと一緒だよね。
「取り敢えず、十一月の手術は延期で、次の手術なぁ⋯⋯どうしようかなぁ」
「空いてるのが一月の十日⋯⋯」
あまり遅くなってもリスクがあるのでどうするか悩んでいる様子。
こっちとしたら、分からないから医師が決定してくれないと困るし、そうしてるとぞろぞろと人が集まってきてびっくり。
多分手術に携わる方々なんだろうけど、一人はもう一人の婦人科の医師で、後は看護師さん達。
私の目の前で相談。
会話全部聞こえてるよ。
けど、何も分からないよりは全然いいかも。
話し合いの末に、結局避けていた薬物療法行う事になった。
「手術日を二月の十四日にして、十一月の生理始まり二日目から薬を飲むようにしようか。少しでも筋腫を小さくして手術をするようにします。ただ、小さい筋腫は更に小さくなるので、取り残しになる可能性は高いです」
「分かりました。よろしくお願いします」
こうして次の生理が始まった二日目から飲み始める為、今日は『レルミナ』を処方された。
これが新薬とかで中々高くて驚いたが生理を止めて筋腫を小さくする為に必要なお薬なので手術が終わるまでの出費は覚悟しようと改めて思った。
手術が延びたことで事で、今回の手術前検査は全てが無かったことになり、出費だけがかさむ日となったのは流石にショックで、今度から気になることは直ぐに聞こうと心に決めた。
手術が延びてしまった事で年内に全てが終わると思っていたのが終わらず、気持ちを切り替える事が直ぐにできなかったけど、それも仕事の忙しさであっという間に一カ月が経った。
そして生理が始まり二日目の朝、朝食前に、というか起きて直ぐに毎日お薬を飲むという薬物療法の始まった。
お薬事態は小さめの錠剤なのですっと飲める。
飲み始めが土曜日だったので、月曜日に病院へ薬を飲み始めたという報告の電話をいれ、私も飲み忘れない様に毎夜寝る前に机の上に薬一錠を置くようにした。
副作用があると貰った冊子を読んでいたのだけれど、これが直ぐに表れた。
物凄い眠気に襲われるというもの。
兎に角一日中眠い。
眠いのに夜は逆に眠れなくて一晩起きている事もしばしば。
転寝くらいはするけれど、一時間寝て起きる、明け方半時間寝る、そのような事の繰り返し。
そして気づけば元々の手術予定日が過ぎ、あぁ本来だったらもう終わっていたのになぁってふと思う。
副作用も初めは眠気だけだったけれど、十二月半ばにはご飯が食べれなくなってきた。
食べれるけれど、食べたら胃がとても痛くて毎食後に胃薬が欠かせなくなってしまった。
胃薬って匂いがきついからお薬が苦手な私には苦痛以外の何物でもない。
だけど本当に痛すぎて段々と食欲も落ちていき、朝食は元々食べていなかったけれど、昼食もサラダやスープだけの日が増えていったけれど、最終的にヨーグルトとかゼリーとかだけになっていった。
夜も勿論食べる事が出来ずに、ちょっとつまむ程度。
空腹を覚えて食べられる! と思って食べても胃痛で胃薬に頼る始末。
食べる事が好きなのにこれは辛いけど、食べるということが苦痛になってたからこの時ばかりはご飯を見るのが嫌になった。
そんな日が続き、十二月も仕事が忙しい事もあり、気付けば次の診察日となった。
この日はお薬貰うだけだったので待ち時間が相変わらず長いけれど、すっと診察も終わり残りの日数分のお薬を貰いに調剤薬局へ。
今日はレルミナに加えて貧血のお薬も貰う事になったので、お薬代だけで一万は軽く超えてしまった。
お薬の高い事、仕方ないとはいえ手痛い出費。
年末のこの出費は苦しいがそうも言ってられないので我慢。
薬は飲み忘れる事無く毎日飲んでいるのだけれど、また副作用の質が変わってきて、自分の気持ちというか、感情のコントロールが出来なくなってきた。
それだけでなく、ホットフラッシュが起こるようになり、体温調節も出来ずに苦しい。
これが所謂『更年期障害』というやつだ。
ほんとに、普段気にもとめない何気ない一言で悲しくなったりイライラしたり、冷汗かいたり泣きたくなったり⋯⋯
精神が壊れてしまうような感情の波が激しすぎて年明け早々泣いてしまった。
副作用が怖いけれど、飲まなければならないと頑張って飲んで、仕事も休まずに頑張って⋯⋯
仕事場の一人、よく相談に乗ってもらってる人には励ましてもらい、一月を乗り切り二月を迎えた。
この時の体重は殆食べることができなかったから激減し、二ヶ月足らずで六kgも減少。
痩せたというより窶れた自分に嫌気がさす。
二月に入り、入院前にもう一度病院へ麻酔科の受診で訪れた。
お薬の確認とどのような麻酔を使用するかの説明を受けた。
アレルギーの有無や今飲んでる薬の副作用。
そして現在の体重等を伝え、体重が減ってることに対して、医師から「精神的に?」と質問されるけど、「薬を飲み始めてご飯が食べれなくなりました」と伝えると、今飲んでる薬にはそう言ったと食欲減退の副作用があるからと説明してくれたけれど、薬飲むのも後数日で終わりだから頑張ってと応援された。
一通り説明の後に医師がある事に気づいて声をかけてきた。
「そのおでこどうしたん?」
うーん⋯⋯やっぱり目立つよね。
実は二日前に前髪をコテで整えてたときについうっかり焼いちゃったんだよね。
ほぼ治りかけなんだけどね。
「ヘアアイロンで火傷しました」
そう言うと、看護師さんは「あぁ⋯⋯」分かるー! って言うよに頷いて、麻酔科の医師には「気をつけなよ」ってちょっと呆れられてしまった。
男の人にはわからないよね。
この日はこれで終了なので、当日お願いしますと早々に終了した。
後は入院、手術日まで後数日。
長かったけど、あと少し!
入院前にもう一つ大変だったことは、コロナ禍ということもあり、入院準備に手間取った。
勿論面会等出来るはずもなく、病室には来れないのと、荷物の受け渡しが一週間に一度だけらしく、殆ど入院日数分の着替えがいるなと、コインランドリーもあるけど、術後の回復で自分がどれだけ動けるかわからないし、取り敢えず一回分の洗剤を用意して、シャワーもどれだけ浴びれるかわからなかったし、それとは別にバスタオルが必要で、後は生理用品の準備も記載されていたので、これもどれくらいか分からず、多めに準備。
下着類も一週間分準備して、パジャマも三着用意した。
荷物の多いこと!
結局ボストンバッグが三つ⋯⋯
大荷物です。
コロナじゃなかったらこんなに持っていくこともなかったんだけどね。
仕方ないです。
ご覧頂きありがとうございます。
薬物療法は副作用が辛くて、この薬はもう飲みたくないと思える物でした。
手術前に飲むお薬みたいだからもう飲むことないと思うけれど、プレ更年期障害を体験して思ったことは、これ、私耐えられない!
と思ったけれど、年いったらやってくるので、今から戦々恐々です。
そしてコロナ禍の入院は大変でした。
特に荷物の多さに辟易。
どれだけ用意すれば良いのか、面会も出来ないので、まぁこれもいい経験になりました。