定期検診
世の中には沢山の病気が蔓延している。
小さい頃は流行性耳下腺炎や水疱瘡、溶連菌、手足口病挙げると様々な病気があるが、子供の頃は保護者である親が子供の調子が悪いと病院へ連れて行くので病気が酷くなる前にお医者さんに診てもらい、大事になる前に予防が出来る。
だけど、大人になり、社会人にもなると仕事の忙しさからちょっとした風邪位なら市販の薬で済ませ、お腹が痛いと鎮痛剤を用い、忙しさから我慢できない程でなければ病院に行く事も少ない⋯⋯というよりも忙しさと面倒だという理由で行かないことのほうが多いように思う。
検査と言えば会社で行っている健康診断を受診し、そこで引っかかると病院に行き、再検査を受ける、という人も少なくないでしょう。
我慢できるなら我慢してしまう。
自覚症状が無ければ医者に行く事も無い。
主要ながん検診も市役所から来る年齢に応じた検診を受けるだけという人もいれば受けない人もいるでしょう。
近年ではコロナが世界的に大流行し、体調が悪くなければ極力病院へ行かないようにしていた人もいるかと思います。
私もその内の一人。
仕事はサービス業でお客様が相手という事もあり、コロナが流行り始めてからは自粛生活を行い、特に体調が悪くなければ病院にも行かないようにしていた。
それはがん検診も同様で毎年という事も無いけれど、そろそろ年齢的にも婦人科検診位は受けておかないと、婦人科って敷居が高くて中々行く事を躊躇っていたのだけども、コロナが流行するよりも二年程前から敷居が高いというイメージを抱きながら検診に行っていた。
クリニックで子宮頸がん検診を受診し、検査結果はがんに関しては陰性だけど、子宮筋腫が見つかった為に一年に一度、がん検診のついでに経過観察を行う事になっていた。
だけど、前述の通りに私はコロナ渦という事もあり、約三年もの間子宮頸がん検診に行かなかった。
コロナも三年目に入り、そろそろがん検診に行かないと、と思いつつも中々行く事をせず、仕事場の同僚からも「面倒臭がらずに行ってきなさい」と言われてようやく重い腰を上げて七月に子宮頸がん検診をいつものクリニックで受診した。
がんの結果が出るのは一週間後だけど筋腫の状況は直ぐに分かるので、診察後にモニターを見ながら医師からの説明を受けた。
元々多数筋腫があったのだが、その内の一つが五センチに膨れ上がり、もう一つは三センチ程。
他にも小さい筋腫がいくつかあったが、気になるのは5センチの筋腫で、このまま経過観察をする人もいるけれど、一度総合病院で診て貰う人もいるという。
此処では手術が出来ないから他の病院を紹介する、という事なんだけど、手術と聞くとやはり怖いもので、五センチでも経過観察する人がいるならばそうしようかなと、いやだけど一度きちんと診て貰うべきか悩んだ末、がん検診の結果を聞くときに総合病院への紹介状をお願いした。
普段は仕事をしているし、月の物が重なったこともあり紹介状を書いてもらってから五日後の休日に総合病院へ行くことにした。
総合病院ともなるとやっぱり気が重く、本音は行きたくない⋯⋯がそんな思いを持ちながらも私は朝一で病院へと向かった。
病院入口には消毒液に大きな検温モニターがあり、きちんと消毒をし熱を測る。
熱はなく安心して院内へ。
何年振りに訪れた総合病院の勝手が分からず、ちょっとおろおろとしてしまう自分がいる。
だって病院なんて何かない限り来ないもんね。
総合受付の紹介状を持っている方の受付窓口へ紹介状と保険証、診察券を受付スタッフへと渡し、しばらくぶりなので住所変更がないかの確認を行う。
それが終われば各科の受付へと行くのだけれど、私が受診する婦人科は総合受付の目の前なので分かりやすく、受付表と紹介状をセットにして提出し少し待つと、受付スタッフの方が私のところへ来て「問診票の記入をお願いします」と渡されたので私はそれらに記入していく。
婦人科の問診票って生理がいつ始まったか等を記載するところがあるのだけれど、実際ちゃんと覚えてないんだよね。
何となくこの年かな? っていう空覚え。
母に聞けばきちんと分かるのだろうけれどね。
まぁいつも大体でしか書かない。
そして家族の病気や自身の今迄の病気も書くが、いつも何処までの病気をかけばいいのか迷う。
特に自分の事となるとね。
病気といっても大きな病気から小さな病気まで様々で、勿論風邪等は記載しないけれど、入院して点滴を打つだけだった腎盂腎炎が今迄の一番の病気なのだけど、お医者さんは何処までの病気が知りたいのか分からないから一応書くけれど、もっと詳細書いといてほしいなと思うところではある。
問診票を書き終わり受付へと出すと中待合へと案内されたので広々とした中待合へ行くと、この日はそこまで人も多くなく、直ぐに呼ばれるかなと思いつつ待つこと数十分。
予約していなかったにも関わらずそれなりに早く呼ばれた。
婦人科なんて敷居が高いと思ってしまう科であるので、緊張しながら診察室へ。
年配の医師に看護師さんが一人いて、挨拶をして椅子に座る。
先生は私がクリニックから貰ってきた紹介状を読んでいた。
そしてパソコンの画面に出てるのは二十代の初めて受診した私の子宮内の写真が出されていた。
最初の職場で受診したのが、この総合病院だったからだ。
紹介状を読み終わった先生からいくつか質問される。
いつから検診に行き始めたのか、毎年きちんと検診を受けていたか、生理時の症状や出血の量等を答える。
その後実際に診てもらう為に診察台のある診察室へ移動する。
クリニック同様に下着を外して診察台へ乗りタオルを掛けて貰う。
目の前はカーテンで仕切られていているが、この状態で待つのは精神的に結構苦痛。
だってね、やっぱり嫌だよね。
いくら相手はお医者さんだといっても、慣れないのよね。
それはさて置き、少し待つと先生が来てシャーッとカーテンが開けられた。
(えっ?)
私の思考は一旦停止。
カーテン開けちゃったよ。
普通こんな事ないんだよ。
そんな私の心境などお構いなしに内診が始まる。
そして私の羞恥というか混乱を余所に放った一言。
「まずいな」
その一言だった。
下腹を押えつつ指を入れられただけでその一言。
超音波検査ではないのにも関わらず。
怖いんだけど!
「何でもっと早くに病院来んかったん? 此処自分で押えてみて。触っただけで直ぐ分かるのに」
「えっと、普通に便秘だと思ってましたけど⋯⋯」
「便秘って普段どんだけご飯食べてるん?」
そのような会話を繰り広げながらも内心は「そんな触っても分からんし!」だ。
それから超音波検査に入るのだが、これもまたびっくりの状態だった。
モニターを見せてもらいながら説明を聞くのだけど⋯⋯
「ここに五センチ、こっちは七センチの筋腫があって、その他にも三センチと小さい筋腫があります。これを多発性子宮筋腫と言います。そしてここの白い部分なんだけど、次の生理で流れなかったら子宮体がんです」
最後の一言で思考停止。
がんって言ったよね、今⋯⋯
不安で仕方がなく、返事も弱気になってしまう。
もし子宮体がんなら全摘になる事もその場で言われた。
話は一旦そこまでで、超音波検査技終わり先程の診察室へ入ってください、と言われ為身支度を整えて移動する。
そこで、医師はパソコンとにらめっこしながら状態を入力していく。
そして次の生理直後にもう一度超音波検査とMRI検査をしたい、ということで一旦この日は終了した。
この日から次の検査までの間、癌やったらどうしようという考えが常に不安として心を占めていた。
ご覧頂き、ありがとうございます。
今回は私の体験談という日記です。
どんな些細な病気でも我慢せずに診て貰って、健康に過ごして欲しいと思い、そして同じ病気の方がいてこれから治療をされる方に私の体験がお役に立てばなと思い、纏めましたので参考になれば幸いです。
よろしくお願い致します。