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プロローグ

初めての小説家になろうです、楽しんでくれると幸いです。

 この世界は理不尽で残酷でそして美しく、孤独で悲しいもの。


 正義の数だけ悪があり、悪の数だけ正義がある。


 私の始まりは、絶望から始まった。


 燃えさかる炎。


 誰かの悲鳴と叫び声。


 刻一刻と失われていく命。


 私の手からこぼれ落ちる大切な者。


 …………正義を歌う希望…魔法少女…勇気の象徴ヒーロー。


 そして悪が悪逆たる者達…人ならざる者。


 両者の戦いは裏側の世界で行われる。


 一般の人間には理解の付かない超常の者達であり、知ることの無い現実。


 だけど…稀にその戦いに巻き込まれる一般の者もいた。


 私は……私の家族は………。


 血潮に横たわり


 残ったのは…


 …私は…


 炎に燃えさかり、屍を積み上げた化け物が問うてくる。


「『人の子よ…汝、我らと同じ悪となるなら生きることが出来るぞ?』」


 それは、恐怖か、怒りか、殺意か、悲しみか……それとも狂気か……。


 何かが頭の中に入ってくる。


 血の涙を流して、ぐちゃぐちゃになった頭で一種視界に写るのは辺りに散らばる屍…ただその中に…一人だけ生きている者がいた。


 私の…妹。


 何より大切な……


「…妹、には…手を出すな!!…ぁあ…」


「『ほう…弱き者がほざく……クク良いだろう、我は手を出さぬ…ただしお前はその身も心も悪となれ、それが契約だ。』」


「……分か…った…ああ…がああああ……。」


 その手を受け容れた。


「あぁ…あは…はは………。」


 虚ろな瞳は、ただ狂気に染まり。


 震える体で、笑っていた。


「『その虫けらも助けてやろう、ただし記憶をいじるがな…』」


 そう言った呟きが、聞こえたが、すでに意識も闇に消えていく………


…………


………


……



◆◆◆



 そこは現実世界。


 だけど、異界であり裏側の領域。


 そこでは、魔法少女と呼ばれる超常の戦士と、悪の何たら、なんて言われるが、まぁ悪の組織の構成員…怪人?…化け物?…ヴィランの一人…仮面の道化師が激しい、異能か魔法かのバトルのような逃走を繰り広げていた?。


「ダァァァ!!、このー正々堂々戦いなさい!!、道化師!」


「あれ?…魔法少女ミラージとも有ろう者っぬが!!!危ない…あ、このていどですか?」


 道化の挑発じみた煽りを受けて魔法少女ソングは顔を真っ赤にして追いかける。


 たが道化師は何のその、黒い靄のかかった顔に赤い二つの瞳と二叉縞模様の帽子を風に揺らして、影から影へ、壁から壁に跳んで跳ねての大立ち回り。


 まるで遊ぶ子供ように動き回る。


「この!!待ちなさい、こら!人々から奪った生命の破片を返しなさい!!」


 生命の破片…それは化け物が集める人々の魂、人々から抜き取り利用するエネルギー…大きければ大きいほど抜き取た人々はただの廃人となったり、死んだり、灰になったり。


 だからこそ魔法少女達は命の破片を取り返し、元の持ち主に返す?…。


 奪われないために、悪の組織の怪人と殺し合いをいとわない。


 そうして人々を守るために日夜、正義を貫いている…らしい。


「うん…なんか面倒くさい魔法少女…あ、そうだ!」


 空中をアクロバティックに移動しながら腕組み足組、頭を捻りってそう呟く道化師。


「いっけー」


 道化師は何処からともなく小さな結晶体を取り出すと黒い何かを纏わり付かせ、追いかけてくる魔法少女めがけて全力投球。


 狙いは逸れて地面に落ちる


パリン。


 小さな結晶体が割れると、得がたい何かがボコリボコリと蠢きその姿を現す。


 それは、怪物?


「くぅ間に合わない…うぅ魔法少女ミラージとして目の前の災害を見て見ぬことなどできませんわ!」


 それは、適当な誰かの命の破片を材料に生まれる欲望の化身。


「うわ…大っきい。」


 道化師は高い所から目下で、戦い始める魔法少女と怪物を見てとくに思うところも無く、見上げるほど巨大な肉の塊をみてそんな感想を呟くのだった。


 怪物は悪意と共に無差別に暴れ出す。


 もしこの怪物が暴れに暴れれば、その被害は現実世界にすら歪みを与え多くの人に影響する。


 だからこそ魔法少女はそんな災害を防ぐために立ち向かうのだ。


ドゴォォン。


バアァァン。


───ガアァァァァア!!


「…おー、たまや~」


 道化師は目の前の超常戦闘が自分が発端の癖に鼻歌交じりに観戦する。


 手出しするわけでも無く。


 魔法少女の邪魔をするわけでも無く。


「どどめですわ!【サンライト・ヒート】」


 魔法少女が振るう?力はカラフルに可視化し空中に光り輝く羽が出現し、武器であろう槍が砲撃のような衝撃と共に、怪物をなぎ払う。


 …うわ…。


ドゴオォォォォォォ!!


───ギィバアァァァァ!


 微妙な叫び声とともに怪物はまるで灰の粉のようにキラキラと砕け散り、霧散する。


 そして、ポトン…と怪物がいた場所に落ちる光。


「命の破片、取り返しましたわ」


 道化師は、ジトッと結晶を拾う魔法少女を見つめ続ける。


「…。」


 魔法少女は、改めて道化師にむかって叫ぶ。


「!道化師、待ってなさい今すぐあんたをふん縛ってやるんだから!!」


 道化師は待っていましたとばかりに、魔法少女を見つめ。


「あー無理無理、まぁ今日の所は退散させてもらいます、じゃあね~」


 そう言うと道化師の背後の空間がねじれ渦を巻き穴が開くと、道化師は飛び込んだ。


「ま!待ちなさー~い!」


 魔法少女が慌てて道化師が飛び込んだ穴に咆える。


 が、道化師は空間の歪みに消えていく。


「まったね~──」


 そんな声を残して。


…………


………


……



◆◆◆


「…ふぅ、()()()()は一段としつこかったな~…はぁ…このキャラ設定は疲れる。」


 道化師の姿が揺らぎ、その影から人型の何かが染み出るように現れる。


『…はやく、家に帰りたい。』


 その黒い人型の影から、道化師の声が聞こえ、道化師その者はまるで崩れた砂のように形を失って消えた。


『…はぁ。』


 道化師…黒い影は動き出す。


 その動きは人が歩くような姿。


 子供ような影。


 しばらく歩くと、歪んだ空間に大量の瓦礫と巨大な禍々廃墟のような建造物が見えてくる。


『……はぁ、怖い。』


 道化師がそう言うと、歩みを止め正面を見据える。


 いつの間に入ったのか。


 目の前には、巨大な空間と、その最奥に見える何か。


 禍々しい何かがいた。


 あの化け物だ、姿で言えば人のような、白髪、青灰色の肌、紅瞳のような姿で、それでも知り得たどの化け物共よりもなお化け物。


「『お帰り、道化師。』」


それは、そう言った。


 私は、ただ頭を垂れる。


 忠実なる家臣のように。


「『くく、良い拾いものとはお前だな、道化師。』」


「っ……」


 道化師は恐怖故に、怒り故に、殺意故に、何も語らず、震え、ただ頭を下げる。


「『ククク、まあ良い、破片を集めるのは順調、()()も喜ぶだろうて、また表でお前の役目を果たせ。』」


「……」


 そう言うと視界が切り替わる。


空間が歪む。




◇◇◇



 目の前の景色が変わる。


「……ぁあ。」


 気がついたときにはそこにいて


 まるで現実世界のどこかの部屋。


 可愛らしいベッドに家具。


 そして何より、先ほどまで黒い影のような何かだった存在は、道化師は、その姿が大きく変わっていた。


 中学生ほどの少女に。


 長い黒髪、貼り付けたような笑顔と、人形のような美しい容姿の少女。


「……ぁ…」


 少女は辺りを見回して、ついで自分の両腕を見つめ、ハッとその部屋を出て行く。


 廊下を歩き、階段を下り、扉を開くと、そこには少女に年の近い、少し幼い子供がソファーの上でうたた寝をしている。


「……」


 少女の顔が綻ぶ。


 ゆっくり、その小さな子供、妹の頭を撫で、お姫様抱っこのように持ち上げる。


 少女の両腕から黒い影がまるで後ろか支えるかのように蠢く、だからこそ体格的に不可能でも持ち上げることが出来る。


「…ぁ…お姉ちゃん…おか、えり…Zzz」


 眠たげな妹がそう言った。


「ただいま…りな。」


 姉は…少女は…道化は…黒い影は…夢月・冥夢月・冥(ゆずき・めい)は、この時だけは安らいだようなやさしい笑顔を妹の#李奈(りな)へと向ける。


「……私は…守るよ…ぜったい。」


 妹の寝顔にそう呟くのだった。

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