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カミキリ×エクステンション  作者: 円盤月太
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第七話 宿命が彼の名を呼んだなら-7

 アフロヘアの男がハサミと傾狼の名乗りにニヤリとする。


「来ると思ってたZE、傾奇者ブラザーズ! お前の噂は聞いてるYO!」

「だとしたら、お前たちが予告にあったCOMBの襲撃者だな?」

「イグザクトリィ! 俺の名はアフロス・カーリー! COMB五幹部の一人にして、随一のアーティストだZE! そのイカした帽子にサインをやるYO!」

「サインは要らん。身柄を寄こせ」


 ハサミは手すりからステージの上に飛び降りる。


「それは残念……だったら、さっさとくたばっちまいNA! リーゼ、モッヒー、ハサミを囲んで袋にするZE!」

「「YES! リーダー!」」


 リーゼとモッヒーがハサミに背後から襲い掛かる。


「テメエにはパンチが足りねえ! もっと腹から声出せやオラァ!」


 リーゼが撃ち出すリーゼントをハサミは躱すが、その隙を狙ってモッヒーがモヒカンの刃でハサミに斬りかかろうとする。


「アニキ、盾になってくれ」

『しょうがねえな!』


 ハサミが被っていたニット帽を手前に突き出すと、ニット帽は円錐状に変形する。


「俺のアニキは変幻自在の傾奇者だ。学生帽からニット帽、三度笠まで、どんな被り物にも変身出来る」

『ただし、レパートリーに被りはないぜ!』


 ハサミは三度笠になった傾狼をくるりと回し、モヒカンカッターを受け流した。


「まずはリーゼントの方から倒す」


 ハサミが傾狼をリーゼに向かって投げつける。

 だが、リーゼは横回転しながら飛んでくる傾狼を避けてしまう。


「アホか! そんな直線的な攻撃を喰らう訳ねえだろ!」

「アホはお前だ」


 ハサミがそう言うと、壁に当たって跳ね返った傾狼がリーゼの後頭部に直撃する。


「あひっ!?」


 リーゼは間抜けな声を上げて昏倒し、ハサミはブーメランのような動きで手元へ戻って来た傾狼をキャッチして頭に被る。


『お前らがラップロックなテロリストなら、俺様たちもキャップでアメリカな戦い方をさせてもらおう!』

「ヒャッハァ! よくもリーゼをやりやがったな!」


 怒り狂ったモッヒーの突進を白のセニングダガーで受け止めるハサミ。

 しかし、セニングダガーよりモヒカンカッターの方が硬く、セニングダガーは金属粉を撒き散らして刃を砕かれてしまう。


「俺のモヒカンはダイヤですら真っ二つだぜ!」

「だけど、その刃も当たらなければ意味がない」


 セニングダガーを折られたハサミは寸前でモヒカンカッターを見切って回避する。

 同時にモッヒーの側頭部を折れたセニングダガーの柄で殴り気絶させる。


「髪は衝撃から頭を守るための重要な緩衝材だ。頭皮を直に殴打されたなら、無事では済まないだろう」


 ハサミとアフロスは対峙して互いに睨み合う。


「なかなか強いNA! だけど、俺もただでは負けないZE!」


 突然、アフロスは右手を自らのアフロヘアの中に突っ込んだ。


「頭が痒いのか?」

「この状況を覆す策を捻り出しているのDA! 俺の頭には秘密兵器が隠されているんだZE!」

『まさか罠でも仕掛けているのか!?』

「NO! 言葉通りの意味なんだよNA!」


 アフロスは右手をアフロヘアから引き抜く。

 彼の右手には破片手榴弾が三つ握られていた。


「これでお前も爆散DA!」

『俺様を構えろ!』


 ハサミは傾狼の声に応じて三度笠の盾を前方に展開する。


「ぐはっ!」


 傾狼はハサミの身体を覆い隠すほどのサイズに変化したため、破片手榴弾による直接のダメージは防いだが、間近で爆風に巻き込まれたことで背後のテナントスペースまで吹き飛ばされてしまう。


「くっ……ここは帽子専門店か。アニキ、どこにいる?」


 ハサミは爆発の衝撃で傾狼を放してしまっていた。


『ここだハサミ! ここにいるぞ!』

「どこにいるんだよ」


 傾狼は声を出してハサミを呼ぶが、周囲は散乱した帽子だらけで見分けがつきにくい。


『倒れて来た棚の下敷きになってんだ! 助けてくれ!』

「どの棚かわからないのだが……」


 ハサミは傾狼を探し出そうとするが、アフロスが店の中に足を踏み入れる。


「帽子が見つからないのかNA? 俺にとっては絶好のチャンスだZE!」


 アフロスはマシンガンを両手に持っていた。


「あんな大きなマシンガンをどこに隠し持っていたんだ!?」

「俺のEXスタイルは【アフロキャビネット】。アフロヘアの内側にあらゆるものを収納出来るのDA!」


 マシンガンがマズルフラッシュと共に銃弾を吐き出す。

 夥しい数の銃弾がハサミの命を奪おうと襲い掛かった。


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