地の底の黒夜叉
書けたら今日中にもう一話投稿します。
[配信雑談スレ Part.68]
1:リヨンド
<虎狼 零>の配信や配信者についての雑談スレです。
荒らしは見かけ次第通報してください。反論も通報される可能性があります。
※前スレ→[配信雑談スレ Part.67]
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218:ベジィ
[動画]
こいつまだBANされてなかったん?
218-1:羽根依
誰だこれ。初めて見たわ
218-2:グラッジクルーソー
2スレくらい前に名前出てたやつか
218-3:メロンマスク
MPKは証拠が残らないのが厄介なのに配信するのか……
流石に運営動くか?
218-4:じじぃ
どうなんだろ。MPKでも業値が溜まるような調整入れば仇討人が動きやすくなりそうだけど
218-5:羽根依
なあ誰も動画内容に言及してないけどこれ凄くない?
218-6:グラッジクルーソー
別に初心者が蹂躙される様子とか見たいわけじゃねーしな
218-7:羽根依
いや、結構どうにかなってるぞ? 三人で戦ってるけど
218-8:LOLOL
マジだwww 黒夜叉相手によくやるなあ。本当に初心者なのか?
218-9:赤字大賞
能力の派手さがないし初心者っぽいな。
てか回復役のプレイヤーはともかく戦ってる二人の能力が全然わからないんだけど
218-10:メロンマスク
まあ自己強化系なら外からじゃわかりにくいしな
218-11:護
てか回復役? 回復系能力って珍しいな。ウチに欲しいくらいなんだけど
218-12:dolf
居合切りやってるプレイヤーが異次元の動きしてるんだけどそういう能力なのかな
なんでカウンター出来るんだろう
218-13:ミカエル
神龍寺が妨害しないようにチャットで煽ってるわwwww
218-14:P-D
なんにせよ勝ってほしいな
◇◆◇
「んだよ、全然死なねえじゃねえか」
安全地帯から戦闘の様子を見降ろしながら、神龍寺は吐き捨てるように呟いた。
これまで黒夜叉を利用したMPKを三度行って、どの場合も獲物はすぐに殺されたのだが、今回は以前とは明確に違う。
リクドーは動きが初心者のそれではなく、彩音は希少な回復能力者。
富士袮志柳に至っては、恐らくは初心者であるという申告自体が嘘だ。
(妨害するか……)
脳裏に浮かんだその考えを、神龍寺はすぐに否定する。
ここで遠距離から攻撃すれば妨害はできるだろうが、それでは自分の負けだ、と。
こんな配信をしている時点で勝ちも負けもないのだが、少なくとも神龍寺の中ではそういうことになっていた。チャットで煽られているのも効いているのだろう。
それに、まだ終わっていない。
黒夜叉のHPが一割を切ったときに発動する発狂モード。その状態に突入した黒夜叉はあまりにも強く、何かの間違いでリクドーたちがそこまで削ることができたとしても、発狂を突破することは不可能だという確信が神龍寺にはあった。
「せいぜい足掻けよ……そのほうが負けたときの喜びが増すからな……」
下卑た笑みを浮かべながら、神龍寺はなおも配信を続けるのであった。
◆◇◆
「キリがない……」
黒夜叉を前に、私はつぶやきました。
戦闘開始からおよそ30分。未だ衰える気配のない相手に対し、私は回避と攻撃を繰り返していました。
確かに、志柳の能力が効いてきているというのもあって、最初の頃に比べればまだ楽です。
回避をすることがやっとだった序盤に比べれば、今は居合による攻撃を挟むことができていますから。
とはいえ、これほど戦闘が長引いてしまうと些細なミスが生じてしまうこともあり、極限の緊張状態の中で、私の精神は確実にすり減っていました。
ただ、未だ上空から私たちの様子を配信しているのであろう神龍寺の声が途中から聞こえなくなったのはよかったです。思い通りにならずにイラついているのでしょう。
そう考えれば、戦闘の活力にもなるというもの。
ここで黒夜叉を倒してしまえば神龍寺の目論見も失敗させられますしね。
「ォォォォオオオッ!!!」
「――ッ、《火神鳴》!」
振るわれた大剣をカウンターを使わずに回避し、そのままの姿勢で居合を発動。
雷響のバフをかけなおし、次の一撃を見極めるために移動しました。
「《湖蝶の舞》……っ」
後方から蝶が飛んできて、彩音のバフが入ります。
その状態で《閃刃》を発動。さらにダメージを与えていきます。
回避盾として敵の攻撃を一身に受けるという役割ではありますが、回避だけではどうしてもヘイトが溜まらず、志柳の方にヘイトが向いてしまうため、こうして攻撃もする必要があるんですよね。
「オオオオオ!!!」
振り下ろされた大剣に表示された三つの赤いマークを一振りで破壊して《猛幕海鳴》を発動。
背後に回り込んでバフの乗った一撃をたたき込み、志柳に被害が及ばないように再度黒夜叉の前面へと戻ります。
黒夜叉の動きもだいぶ遅くなってきました。戦う前はとんでもない相手だと思いましたが、志柳の能力がうまく作用しているのもあってどうにか倒せそうです。
そう確信しつつ、居合術で攻撃をし――
「――――ォォオォオオオオオオオ!!!!!!」
「っ!!?」
今までとは違う、狂気すら感じるほどの咆哮が洞窟内に響き渡ったのでした。




