雷神の石
[神織雑談スレ Part.126]
1:ジャクソン銀
神織に関する話題のスレです。
国家間煽り禁止。戦争期間は書き込み内容に注意すること。
荒らしは見かけ次第通報してください。反論も通報される可能性があります。
※前スレ→[神織雑談スレ Part.125]
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32:ベイビー
結局異常個体のやつって犯人見つかったのか?
32-1:牛歩
まだじゃね?
32-2:じょうぎ
どうせまた【カンパニー】だろ
32-3:バッドラインズ
昨日ゴリエラの異常個体がいて討伐隊組んでたけどあれどうなったんだ
32-4:ジャッキィ
あれ前日の深夜にフェイズがソロ討伐したって
32-5:論
またフェイズかよww
32-6:湯団子
あの能力で魔物相手に良く勝てるよな……対人ならともかく
32-7:ふるーつ
さっき聞いたんだけど、異常個体の排除の為に【銀空騎士団】が動いてるらしい
32-8:ベイビー
マジか
32-9:ハローハロー
初心者向けの狩場を中心に回ってるよ。かくいう俺も白葉湖の見回り中。
ちなみに団長は一人で各地飛び回ってる。
32-10:論
騎士団員さんオッス
32-11:レンネン
戦争に向けて戦力削ぎに来てる感はあるよな
32-12:バッドラインズ
神織終わるんか?
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何となく気になってゲーム内掲示板を覗いてみましたが、やはり異常個体については話題になっているようですね。
話題になっている単語については正直よく知らないものがほとんどでしたが、この【銀空騎士団】というのは先ほど私を助けてくれたプレイヤー、ヱヰラさんが盟主を務めている同盟の名前です。
そこの団長が各地を飛び回っているというのは、やはりヱヰラさんのことなのでしょう。私のところにも来ましたしね。
確かにどこか急いでいる様子でしたから、神織の領内全部見て回ってたり……できるんですかね。現実的に。
さて、装備屋デスドレインを出た私は、脈導石を使って神織に転移し、それから道場に向かいました。
鴉通りの路地裏のボロ家に入ると一瞬で視界が変化して、神楽識天流の道場に転移します。
最初に経験したようなサイケデリックな光景はありません。初回限定なんですかね。
それはともかく、道場にやってきた私を、座布団に座った師範が出迎えました。
「やあ。技は習得できた?」
「ええ、三つとも」
私の返答に、師範は「それは良かった」とうなずきます。
そうしておもむろに立ち上がり、口を開きました。
「居合技を教える前に、君には一つやってもらわないといけないことがある」
そういって、師範は部屋にかかった掛け軸をずらし、その裏にあった戸を押し開けました。
本当にそこに隠し扉あったんですね……。
「さあ、ついてきて」
言われた通り、その空間の中に足を踏み入れます。
中は天然の岩壁に囲まれていて、洞窟のような感じになっていますね。
外よりも気温が低く、若干の肌寒さを感じます。
師範の後ろについて洞窟の中を進むと、壁に青い光が走るのを見つけました。
何かの光を反射しているのかと思いましたが、どちらかというと本当に岩の中を光が通っているように見えます。
その頻度は洞窟の奥に進むほど多くなってきて、やがて岩自体が青く光っているような場所まで出てきました。
「ここが最奥。神域だ」
師範が指し示す先には、岩石をくりぬいて作られたのであろう祭壇のようなものがあり、その中央部に青く輝く石が置かれていました。
そこから電気が流れるかのように青い光が岩を伝ってあふれ出ています。先ほどから壁面に流れていたものはここから放出されていたみたいですね。
「神楽識天流の本家は、威鏡に存在する雷裁迅流という居合を重視する流派なんだ。目を重視する反撃技は、うちの開祖、神楽竜蔵が新たに付け足したものでね。だから居合技と反撃技は会得する方法が少々異なってくる。居合の場合は、これがそうだ」
そういって、師範は青く光を放つ石を手に取りました。
「純粋な雷の力を宿した特殊な鉱石さ。これは分家する際に貰った欠片で、雷裁迅流が保有する本物はもっと大きいけれど、これでも十分効果はある」
「なんか、凄いエネルギーですね」
近づいただけで、髪の毛が浮くような感覚が私を包みます。
下敷きで頭をこすって髪の毛を浮かすやつみたいな……いや、それに例えると一気にチープになる気がしたので止めておきます。
「雷裁迅流はこの石を雷神様として信仰する宗教に端を発するからね。それくらいの力を持っているということだよ」
「なるほど……」
「じゃあこれ、持ってみて」
言われるがまま、私はその石を手に取っ、ててててててててて
「わああああああああなななななななななな何なんですかこれ!?」
石を持った瞬間、私の身体にとてつもない電流が流れ始めました。
全身がガタガタと揺さぶられる感覚。
慌てて石を突き返します。
「はははっ」
「はははっじゃないですよ……何なんですかこれ、なんで師範は平気なんですか」
「自分は雷神と契約しているからね。君にやってもらいたいこともまさにその"契約"なんだけど」
「契約? 契約ってどうしたらいいんですか?」
「神と契約して、その力の一部をもらい受けるんだ。やり方は簡単。こちらから力を見せつければいい」
師範がそう言った瞬間、石はその光を一層強くし、雷のような閃光と轟音を発し――
――気が付くと、私は真っ白な世界にいました。
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