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装いは欲望のままに

月間VR九位ありがとうございます!

ここから転落する前に二章を終わらせられたらなあと思っています。



 ところ変わって、神織の西。藍路(あいのじ)という名の街に私はやってきました。

 魔獣を狩るといってもどこに行けばいいのでしょうかと考えていたのですが、丁度龍子が神織領内の街に用事があるということで、それについていくことにしたのです。

 行ったことのない場所なので、私だけでは脈導石で転移することはできませんからね。


 ちなみに龍子はその用事とやらについて教えてはくれませんでしたが、まあ、彼女にもいろいろあるのでしょう。何やら狙われてるようですし。

 龍子は『できることなら巻き込みたくない』ってオーラが凄いので、こちら側からは詮索しないようにしていますけど……とは言え、本当に追い詰められていたら構わず踏み込みに行くつもりです。



「んじゃ、アタシはもう行くわ」



 そう言って足早に去っていく龍子を見送り、私はひとまず街を散策してみることにしました。


 青い花がそこら中に咲く道を歩いて大通りへとやってくると、様々な店が目にはいいります。

 中心都市ではないのでプレイヤーが構えている店は多くないようですが、それでもNPCの店は多くあります。

 試しに私は、装備を売っているらしい店に入ってみました。



「ごめんくださーい」



 一応声をかけて入ってみましたが、返事はありません。店員はいないみたいです。

 NPCの店じゃないのでしょうか?


 まあ、とりあえずいろいろと見てみることにしましょうか。

 さすがに初期装備では心もとないですし、そろそろ買い替えようかと思っていた頃ですから丁度良かったです。

 PKerを倒したことで、ある程度まとまったお金も入っていますしね。


 今私が着ているのはほとんど初期装備で、白を基調とした和服です。

 あまりこういう服には詳しくないので何と呼べばいいのかわかりませんが、薄手で動きやすいデザインですね。足が結構露出しているのが気にならなくもないのですけど、まあゲームですから。



 さて、とりあえず店内をざっと見てみますが、今着ているようなベーシックなものはあまりなく。

 なんというか……すごく奇抜なものが多いですね。

 装飾過剰なドレスのようなものや、若干メカメカしい甲冑に、よくわからない何かの着ぐるみなどなど、正直言って滅茶苦茶動きにくそうです。

 ネタ装備の専門店なのでしょうか?



「いろいろあるんですねえ……」


「おおっ、興味あります!?」


「わっ」



 急に背後から声をかけられて、思わず驚いてしまいました。

 なんかこのゲーム始めてから背後から声をかけられることが増えてきた気がするのですけど、何なんでしょうね。


 それはともかく、声の方を振り向くと、そこにいたのは青い髪の少女でした。

 金属製のゴーグルを額につけ、服装も和風というよりかはスチームパンク寄りなので、この妙なものが並ぶ店内でもひときわ浮いています。



「えっと、店長さんですか?」


「いかにもです!!」



 彼女は手を広げ、仰々しく名乗りました。



「レアもの装備ショップ『デスドレイン』店長! レアメタルちゃんです!」



 和風ゲームの装備店にデスドレインって名前を付けるセンス凄まじいですね。

 嫌いではないですが。



「レアものっていうのは、希少な素材から作っているって感じですか?」


「はい! 珍しい素材から作るとデザインの幅が広がってとても良いんですよ!」



 口ぶりから察するに、ここにある装備は全て彼女の手作りのようですね。

 そうなると、一から作る分ある程度値段は張りそうですが……どうなんでしょう。



「ちなみにこのドレスみたいな装備っていくらなんですか?」


「7800万です!」


「なっ……!?」



 7800万? え、そんな高いんですかこれ。



「本当にレアものですからね~。倒すのが難しい風蓋金魚(ふうがいきんぎょ)とか、狩場のない輝甲虫(きこうちゅう)の素材も大量に必要ですから」


「なるほど……」


「その分能力的には強いんですよ? このドレスだって、高ステータスはもちろん、幻惑とかの特殊効果とかありますし」



 作るのが難しい分、強さも兼ね備えているという訳ですね。

 とは言え、さすがにこれは動きにくくてやってられないとも思うのですけれど。



「もっと安いものってないんですか?」


「うちはほとんどこのくらいの値段ですからね~。そのせいで全然売れなくて神織じゃ家賃払えないからここに店を構えています!」



 採算とれているのでしょうかと一瞬不安になっていましたが、普通にとれていないようで安心しました。いや安心するところではないですね。

 まあゲームですから彼女が楽しければそれでいいと思いますが。



「とは言っても、値段のほとんどが材料費ですから、何らかの素材を持ってきていただければ安く作ることもできますよ! ある程度レアなモンスターじゃないと既製品を超えるのは難しいですけど」


「レアなモンスターですか……」



 何か倒してましたっけと考えて、一つ思い当たりました。

 インベントリを探って、取り出してみます。



――――――

[金獅子の(たてがみ)]

【カンパニー】謹製キマイラから獲得したアイテム。

普段はこげ茶色だが、太陽の光を受けると特殊な反射をして金色に輝く。

――――――



「これで作れたりします?」


「ふむふむ……なるほど……アクセサリーにならできますよ! 予算はどのくらいで?」


「今手持ちが十万しかないんですけど、大丈夫ですか?」


「ええ、任せてください! オーバーしないように仕上げます!」



 そういって、彼女はガッツポーズをしました。



「ちょっと時間がかかるので、出来上がり次第メッセージを送りますね! 連絡先を交換してもいいですか?」


「あっはい」



 連絡先を登録したのち、彼女は店の奥へと消えていきました。

 なんというか、とてもエネルギッシュな人でした。出来上がりが楽しみですね。


 何やら「灼蛇の眼」とか「白蜘蛛の足」とか不穏なワードが聞こえてくるのには耳をふさぎつつ、私はその場を後にしたのでした。

ブクマや評価などいつもありがとうございます!

感想で自分が記述し忘れていたことを書いてくださるのもとてもありがたいです。しっかり活かしていけるように頑張ります

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