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これからのこと

VR日間九位ありがとうございます!!

まさかのレビューまで頂いてしまいました。本当にありがとうございます!



「本当にありがとうございましたっ、この御恩は一生忘れませんっ!」



 別れ際までそう言って、彼女はログアウトしていきました。

 ただゲーム内で助けただけだというのに……。

 あんなに直球で感謝されたことは現実でもゲーム内でもない気がしますね。現実ではむしろ助けられることが多いですし。



「さてと。これからどうしましょうか」


「そうだな……出来ることは色々あるんだけど、とりあえず同盟にでも入るか?」


「さっきも同盟がどうとか言ってましたね。どういうものなんですか?」


「他のゲームでいうギルドとかクランみたいなヤツだな。結構メリットあるから早いうちに入っておいた方がいいぞ」


「なるほど。参考までに、貴女はどこに所属してるんです?」


「あー、アタシは未所属なんだよなぁ……」



 言ってること違くないですか??



「いや、先週までは入ってたんだぞ? ただちょっと盟主と方向性の違いで揉めちまってな……飛び出してきたんだ。だから今はどこにも所属してない」


「そうだったんですね。じゃあ新しく作りましょうよ、私たちの同盟。行くあてがあるなら無理強いはしませんけど」


「行くあてがあったらすぐに入ってるって。最初の頃からやってる割にアタシ自身の知名度は低いからな。声はかからなかったんだ」



 あ、そうなんですか。

 龍子って凄く対人戦が上手いんですけど、それでも知名度は上がらないものなんですね。

 それだけ猛者が多いってことなのでしょうか。


 ……腕がなりますね。



「ところでリクドー。アタシ以外で<虎狼 零>やってる知り合いとかいないか?」


「え? どうでしょう……そもそも交友関係が狭いのでいない可能性が高いですね。どうしてですか?」


「同盟自体は一人でも作れるけど、メンバーが三人以上になると家が貰えるんだ。だから出来ればもう一人欲しいんだけど……」


「……それならさっきの女の子、引き込めば良かったですね」


「ああ、アタシもそう思った。回復系能力だしなあ……」



 まあ、彼女が同盟に入っていないなんて保証もないんですけれど。

 でもあの感謝のしようを見ていると、同盟に入って欲しいって頼んだら二つ返事で来てくれそうですけどね。



「ま、後悔しててもしゃーないな。なんつーか見てて分かりやすいヤツだったから、またいつか会えるだろ」


「そうですねー」



 確かに、街に帰るまでの道でまた襲われそうな雰囲気はありましたけれども。

 ああいうタイプの子はPKerに狙われやすいでしょうし、もし襲われたとして刀霊が回復系なので一人で反撃するのは難しく……って感じですよね。

 


「まあメンバーは追々集めるとして、だ。同盟を作るにあたってまず決める必要があるのが『本拠地』だな」


「本拠地?」


「刀霊も知らなかったリクドーが地理的な話について知ってるわけねーだろうし、アタシが教えてやるよ」



 そう言って龍子は一つ大きなウィンドウを表示しました。

 映っているのは何やら円形の……島、ですかね?



「これがこの<虎狼 零>の舞台、『神峰島(かみねしま)』だ。実は前作の虎狼BSに名前だけ出てたりする」


「一応世界観的には共通なんですね。名前だけならそれほど繋がりがあるわけじゃないようですけど」


「まあな。んで、この神峰島には六つの国が存在してる」



 次いで龍子は六つのウィンドウを表示し、それぞれを島の映し出されたウィンドウの上に重ねていきました。



「まず島を六分割して、一番北側にあるのが神織(かみおり)。そこから時計回りに詠清(えいせい)威鏡(いかがみ)玄壌(くろつち)龍原(たつばら)緋岸(あかぎし)って感じに並んでる」


「なるほど……ちなみに今私たちがいる街ってゲーム開始して最初に訪れる街じゃないですか。地図で言うとどこなんです?」


「一応島の中央付近ではあるんだけど、領土的には緋岸の範囲内だな。島の中央には大穴が開いてるから、どうしてもずらす必要があったんだろ」



 言われて気づきましたが、確かに島の真ん中には大きな穴が開いていました。

 離供養(りくよう)の地……というらしいですね。気になるんですけど、まあ今はいいでしょう。



「つまりこの六国から本拠地を選べってことですよね。おすすめとかあります?」


「玄壌以外ならどこでもいい」



 即答でした。



「そんなにヤバいんですか、玄壌って……」


「ああ。玄壌はマジで警察組織が機能してないからPKerの巣窟になってる。強くなるまでは近寄らない方が良いレベルだぞ」



 地獄みたいな国ですね。なんでそれで国として成り立っているんでしょうか。

 ……まあでも、プレイヤーは殺人事件が起きても減りませんし、他国からしたら玄壌には殺人に長けた人間が大量にいるという認識になりますし、攻められることもないのでしょう。

 世紀末ですね……。



「あっ、そうだ。あと緋岸もダメだ」


「緋岸もヤバいんですか?」


「いや、アタシが喧嘩別れした同盟が緋岸にある」


「……さいですか」



 まあ、確かに顔は合わせにくいでしょうしね。


 となると、残るは詠清、威鏡、龍原、神織の四国。

「フィーリングでいいと思うぞ?」というどこと無く投げやりな龍子の言葉に任せて、国のイメージ画像をみて選んでみることにしましょうか。



「じゃあ、ここで」



 私が指し示したのは、花の都。

 桜吹雪の舞う、天界のような景色。



「『神織』か。いいチョイスだな」


『ふふっ、神織は景色が美しいわよね。ついついお酒が進んじゃうわ』


「刀霊もお酒飲んだりできるんですか……」



 何はともあれ、一先ずの行動指針が決まりました。

 神織に行って、同盟を作って——その後どうするかはその時決めればいいでしょう。



「じゃあ、早速神織に行きましょうか」


「おう! 犯罪発生率二位の花の都へ、いざ!」


「ちょっと待ってくださいそれ初耳なんですけど!?」



 ……本当に大丈夫なんですかね?

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