女友達という相談相手
私はこの危機に対処するために、私よりも耳年増で私よりもフラーテル世界を知っている、シャーロット様にお伺いを立てる事にした。
私の不幸は大体が彼女の呪いによるものなのだから、私に降りかかった不幸について一緒に対処してくれても良いのではないか、そんな気持ちだ。
しかし、教室から消えているアッシュブロンドの美しい少女の姿は理科準備室にも見えず、その代わりに会いたくは無かった災いの種がニコニコしながら近づいてきた。
少し前までは殆ど男の子、いや、男の子でもそこまで刈らないだろうというぐらいに短くしていた髪も、最近ではふわっとした癖がわかるぐらいの長さまで伸ばしている。
そして、シャツがブラウスという、フリルや花柄、あるいはレースがついているものまでも着用するようになっているのである。
下は今でも変わらずにダメージジーンズであるが。
「ハイ、ローズ。あのさ、あのこ、ちゃんと紹介してくれないかな?あたしが自己紹介したら、すっ飛んで消えてしまったからさ。嫌われたのかも、だけど、話したくってさ。」
「あの子?あああ、あの子って、もしかして、昨日からうちの子になったというアルファード君の事かしら。」
シルビアは柔らかく笑った。
「そう!あたしと同じ年らしいじゃん。ついでにさ、あいつも文字が、ええと読めたり書けたりしないってリサから聞いた、から。ほら、あたしは文字がまともに読めないから。ところどころが鏡文字みたいになって見えるんだ。」
シルビアの初めての告白に驚いて、私は彼女を真っ直ぐに見返していた。
休み時間ごとにリサに会いに行き、リサの横で教科書を読んでいたのは、もしかしてその読めない鏡文字な部分をリサに補完して貰っていた?
「ははは、あ、そっか、知らなかったか。驚いた?あたしがちゃんと上の学年に進めるのは、数字の計算は何とか出来ることと、うん、リサがいるからね。あいつが助けてくれるんだ。三つも下の奴なのにさ、あたしよりずっと出来る。」
私はシルビアの左腕に自分の右腕を絡めると、彼女を自分の教室へと連れていくのではなく、彼女を彼女の教室へと連れて行こうと一歩を踏み出した。
「ローズ?」
「あのアルファードはシルビアに一目惚れしたらしいのよ。そんな気持ちはシルビアには迷惑でしょう?ですから、彼の恋心が冷めるまで、あなたはアルファードに近づかない方がいいと思いますの。」
シルビアの足がピタッと止まった。
どうしたのかと彼女を見返すと、うわあ、頬を真っ赤に染めている!
ついでに自分の拳にした右手を口元に当てていて、もじもじ、というシルビアからは遠いボディ表現をしているのだ。
「シルビア?」
「え、ああ。あたしが、そんな、惚れられるなんて、は、初めて、だよ。同じクラスの男子には男女って言われているし、ほら、本が読めなくて馬鹿だろ?」
私は大きく溜息を吐いていた。
「あなたが運動している時、かけっこの時もぴょーんと跳び箱を飛んでいる時も、みんながみんな、憧れの目で見ているわよ。それに、これは私の個人的な見解ですけど、リサと一緒に本を読んでいる時のあなた、とっても知的できれいよ?」
私はシルビアにぎゅうと抱きしめられた。
「ローズ!あたしはあんたを誤解していた!シャーロットと同じぐらい、とっつきにくいだけで良い奴だったんだな!そうだよな、お前達はあたしとリサみたいに親友同士なんだもんな!」
「え?」
「ちょっと待って。あなたは私に声を掛ける前に、もしかして、シャーロット様の方に先にお伺いを立てていた?」
シルビアは無邪気にニコッと笑顔をみせ、私はろくでなしシャーロットがろくでなしな企みを開始する前にと教室へと駆けだしていた。




