恋ほど不確かな感情はないと思い知るべきだ
私の腕に沢山の小さな穴が開いている!
何事かともっと下を見下ろせば、わあ!私の脛にも穴が開いている!
……も、もしかして、顔にも?
両手を頬にパシッと当てた。
すると、指先が無いはずの無数の穴の存在を感じ取っているじゃないか!
いや、指先が感じているのは、肌に開いた穴の中に何かがいて蠢いている、という触感だ。
ぞわぞわしながら自分の穴の開いた腕を見直せば、全ての穴の中にはウジのしっぽのような物がいて、それらが思い思いにうぞうぞと蠢いていた。
「ぎゃあああ!気持ち悪い!私が気持ち悪い!助けて!」
私は私を愛していると言い張っている男達に助けを求めて両手を伸ばした。
バシン。
私の手は、バークに差し出した右腕も、イグニスに差し出した左腕も、同時に振り払われた。
私は助けても貰えないどころか、彼等に振り払われて尻餅をつき、自分を裏切った男達を茫然と見上げるだけだ。
「ああ!ごめん!」
バークは一瞬で表情に罪悪感をにじませた、が、私を助け起こす行動を取るどころか自分の手の平を見つめて大声をあげた。
「うぎゃああ!俺の手にも!」
「畜生!俺の手にもだ!」
彼らは癪の根源であるかのように私を見返すと、しかし、私への恋心によって私を断罪しきれないのか、私に報復するどころか身を翻して私の目の前から逃げ去っていってしまった。
「ひ、ひどい!あなたたちって、信じられない!こ、この!役立たず!」
「ハハハハ、これは仕方が無いねぇ。ウシバエに体中が寄生されちゃうなんて!わあ、百年の恋も一日で醒めるっていう状況だよ。」
「ひ、ひどいわ!笑ってないで助けてよ!これはどうすればいいのよ!」
私の全身はスポンジみたいに穴だらけで、その穴の中でうねうねとウジのしっぽが蠢いているのだ。
「お願いだから助けてよ!」
ジュスランは口元に手を当てて、うーんと首を傾げてみせた。
考えているようで全然考えていないどころか、きっと一瞬で解決策もわかったどころか、この状況を生み出した張本人かもと思いついた。
私は四つん這いになると、ジュスランの方へと殆ど這うようにして近づいた。
しかし、私はジュスランの足元に辿り着くどころではなかった。
がつん。
「きゃあ!」
私は硬いもので殴り飛ばされたのだ。
アメリアは、なんと勇敢にも、私に向かってマネキンを持ち上げてぶんぶんと振り回して来たのだ。
「こ、これ以上、近づかないで!ジュスランにそれがうつったらどうしてくれるの!」
困っている人を見つけたら助けましょうと、学校では子供達にそんな教えをして居ませんでしたか?




