水族館に行こう!①
私達はジュスランにダッチスプリンターとかいう大きな車に乗せられると、そのままパスクゥムの水族館に連れ込まれた。
フルバンという車はバスのように大人数が乗れるもので、子供達はもちろん、ジュスラン以外の付添人も車に乗り込む事が出来た。
アメリア・オコナ―は授業中には見せないであろう幸せ顔を私達に見せており、教師らしく綿の白シャツに薄ブラウン色のツゥード素材のタイトスカート姿は知的な彼女にとても似合っていた。
「皆さんのご協力には感謝いたします。」
私達にぺこりとオコナ―は頭を下げた。
「我が家が先日の暴動で壊されてしまいましてね、弟が自宅で面倒を見ていたウーパールーパーの子供の預け先を探していましたの。もちろん、水槽など飼育セットもお渡しします。ふふ、その飼育セットを用意して下さったのはジュスラン先生ですけどね。本当にありがたいわ。」
「僕の家にはいろいろと無駄なものが眠っているのさ。君には何事もなくて良かったよ。一人暮らしを始めてすぐ、だったでしょう。幸運の人だよ。」
「弟は勤務先の水族館もボロボロで不幸ばかりですけどね。」
運転席のジュスランには見えないだろうが、シャーロットは顔面麻痺を起こしたように頬を引くつかせていた。
私はやっぱりジュスランには見えないだろうが右手を上げていた。
「あの、水槽セットはどのように持ち帰ればいいのでしょう。」
「ああ、大丈夫。水槽セットは君達の家に設置させてもらった。君達はサラマンダーと仲良くなって炎の魔法を使えるようになることだけを考えよう。」
「うふふ。ジュスラン先生ってば。そう、皆さん。ウーパールーパーはメキシコサラマンダーと呼ばれていまして、サラマンダーは炎を操る事が出来る魔物だと言われております。」
歴史の先生らしくウーパールーパーの歴史を紹介したが、リサは本物のサラマンダーと仲良くできると信じていたのでがっくりと頭を下げた。
「リサ。サラマンダーの魔法がジュスラン先生の冗談でも、水族館はきっと楽しいよ。暴動で水族館も被害を受けているのでしょう。先生はあたし達にそここそ見せたいんだと思うよ。リサのひいおじいちゃんは町長じゃないか。」
「まあ、そうね。私がおじいちゃまにお願いすれば困ったお魚さん達も助かったりもするのね。うん。ちゃんと見学するわ!」
「そうだよ。リサは水族館を直す魔法が使えるんだよ!」
「ありがとう!がんばるわ!シルビア!」
「まああ!ジュスラン先生はそんなお深い考えもありましたのね!わたくしはそこまで考え尽きませんでした事よ!」
シャーロットも感銘を受けた風に声をあげたが、彼女がシルビアの言葉にリサのように感銘を受け他はずはない。きっと彼女は、恋敵のオコナ―へかけた呪いがオコナ―ではなくオコナ―の弟に行ってしまった、という驚きをしらじらしく叫んだだけだろう。
子供達のざわめきをニコニコと微笑んで見守るオコナ―の左薬指には見慣れたパヴェリングが輝いており、私がジュスランの悪趣味さに辟易し始めた丁度その時、運転する車は水族館に到着した。




