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誰の為にも鎮魂の鐘がなる  作者: 蔵前
日常は変わらず続き、私は再び月曜日を迎えられた
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後悔は先に立っていた

 私は自分の浅はかさを呪うよりも、やっぱりなと、意外と冷めた感情で自分に引き起こされた現実を受け入れる事が出来た。


 月曜日。


 久々の登校日でありながら、本日はクラブ活動をするからと理科室に理科教師によって少女達は集められたのである。


 メンバーは私の他はシャーロットにリサ、そしてシルビアだ。


 バス一緒組だったアリスとヘイリーがいないのは、彼女達は親によってお車通学に変更されたからである。

 私達は呼び出しに応えたくなくともバスが出発しなければ家に帰れない人達なので、ジュスランの呼び出しにウンザリしながらも理科室に集まったとそういうわけだ。


 教卓にはジュスランがとっても嬉しそうな顔で立っており、私はこの適当な吸血鬼に反抗できる立場では無いが、うんざりした様にして仲間の顔を見回した。

 リサはバニラピンク色の春物ワンピースでヒヨコのように可愛らしく、シルビアはいつものようにジーンズとボーイッシュだが、上に着ているシャツはいつもと違って女の子らしいものだった。

 ブラウスは袖がバルーンになっている半袖な上に、薄グレーの地にブルーの小花模様があるという素敵なものだったのだ。

 そして、シャーロットは以前の私の対を成すような、デコラティブなバラ色のドレスを着ていた。


 うそ。


 シャーロットはジュスランに魂を捧げているから期待などしていなかったが、リサもシルビアもとっても期待した顔でジュスランを見つめているじゃないか!


「はーい。こっち向いて、約一名。僕がお話しを始められないじゃない。」


 私は三対の殺気溢れる視線を浴び、しぶしぶと前を見返した。

 教卓のジュスランは白に紺色のチェックが入ったとろんとした生地のボタンダウンシャツを着て、下はブルーグレーのシャンブレーパンツだった。

 学校の先生というよりもちょっととろんとした大学生にしか見えない美青年は、子供達全員の注目を集めて嬉しそうににっこりと微笑んだ。


「はーい。では説明します。君達は先週の恐怖体験を生き残った勇者です。そんな素晴らしい君達はこの町を守る戦士になるにふさわしいと、はい、この僕は思うのです。よって、今日から美少女戦隊を結成しようと思います!」


 私はジュスランの家にあった日本アニメのDVDのケースを思い出しながら、ばあんと机を叩いて立ち上がっていた。


「何を考えていらっしゃるの!却下です。却下。アニメに影響され過ぎです!」


「アニメ?私も大好きです!私も戦う女の子になりたいです!」


 リサは人間の子供だけあって純粋で可愛らしかった。

 だが、私達がテレビで見るアニメと違い、ジュスランが持っていたアニメは美少女達が酷い目に遭う鬼畜系だったと教えてあげたい。

 勝手に見るんじゃなかった、という内容だった。


「あ、リサがやるんだったら、あたしがリサを守らないとだし。いいよ。」


 シルビアは義理堅く優しいが、狼に変身できないからか感覚がフラーテルよりも人間に近い。

 昼寝している猫の毛皮で寝てしまうハムスターぐらいに、危機察知能力が低すぎる、ということだ!


「私も賛成。能力は使ってこそですものね。」

「シャーロット!また私ん家に呪いをかけていないでしょうね!」

「うーん。掛けてはいないけど、解いてもいないから。」


 不幸な私は脱力しながら椅子に沈みこむしかなかった。


「はーい。またよそ見して!ローズ、お仕置きするぞ?」

「ごめんなさい。」


「では、決を採ります!美少女戦隊賛成の方!」


 三人の子供達は元気に手をあげ、私はその三人に睨まれるからと手をあげた。


「はーい。では、色決めしましょう。真っ黒はローズ。赤はシャーロット。ピンクはリサ。そして、ブルーはシルビア。オッケーかな?」


 最初から自分で全部決めていただろうと私は皮肉な決定を聞いていた。

 私はリリーがエージの事を思い切るまで、エージが選んで買っていた服を毎日着なければいけないという不幸の身の上だ。

 今日も黒とは程遠い、ヒヨコ色に水色という赤ちゃんカラーである。


「あ、ローズだけは今日の服色じゃなくて内面カラーだから。」


 私以外の少女達は口元を押さえてぶふっと笑った。


「はーい。では皆さんを戦士と任命したからには、この僕が指導者となって君達に力も与えてあげようと思います。敵と戦わねばならない美少女戦士は、魔法が使えてなんぼ、なのです。」


 私は驚き顔のままジュスランを見返し、もしかしてこの計画は私やシャーロット、そしてシルビアが、他のフラーテルに襲われて食べられないようにする処置なのかと思い当たった。


「ジュスラン、さま。」


 ジュスランは私が心の中で彼を一瞬でも神様と崇めた自分を叱りつけたいほどの悪辣な笑顔を顔に浮かべ、くるっと黒板に向き直ると召喚と書き殴った。


「召喚?ゲームみたいに召喚魔法が使えますの?」


 目を煌かせて喜ぶリサは、日本のゲームアニメが大好きなお子様でもある。スマートフォンでもモンスターが捕まえられるゲームがあるからと、校内でモンスターハントをして親呼び出しを校長から受けた伝説もそういえば彼女は持っていたと思い出した。


 再びくるっと私達に体を向けたジュスランは、そのとおり、と大声をあげた。

 どうして彼はこんなにもハイなのだろう。


「いいですか。これから水族館に行きます。そこでサラマンダーにご挨拶して仲良くなれば、君達は炎を扱えるサラマンダー様を召喚できるようになります!」


「それは普通にウーパールーパーを飼いましょうって事ですか?」

「ネタバレしたローズはポイントマイナス5!」

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