第66話 セキアル・ノイトナム
ついにブクマ件数100の大台突破致しました!
ほんとにありがとうございます!!
これからも頑張って書いてくのでよろしくお願いします!
カイトくんは私たちを抱きしめてしばらくするとスースーと寝息を立てて眠ってしまった。
「カイトくん眠っちゃった...。て、てか私なんかすごいなんか生意気なこと言っちゃった!一番最後にこのパーティに入ったのに...」
「そんなことないですよミユさん。カイトさんに対する想いは皆一緒です。むしろ言いたいことを言ってくれたことに感謝しています。それに私もパーティに入ったのはミユさんとほとんど変わりませんから」
「え?そうなの?じゃ、じゃあキノさんも?」
「んーん!キノはテミスと会う前からいたよ!もう1年くらい前だよ!ねっ!サニア!」
「...こくっ」
「そうなんだ...。ね、せっかくだしみんなのいろんな話聞きたいな。正直まだ私、日が浅いからもっとみんなのこと知りたい」
「いーね!女の子だけのお話!キノそういうの大好きだよ!」
それから彼女たちは日が昇るまで飽きもせず話していたそうな.........。
「うぅ...、重い...。な、なんだ?」
俺は自分の体にかかる重さに耐えきれず、目を覚ましお腹の上を見るとそこには、気持ち良さそうな寝息を立てるミユがいた。
さらに左にはサニア右にはキノ、それなら足元にはと足元を見ると誰もいない。
「あれ?テミスは?」
と、辺りを見回していると不意に扉が開いた。
「あ、カイトさん。起きたんですね、おはようございます。今宿の方から濡れタオルを貰ってきたので後で体を拭いてください。流石にここでお風呂を取り出すわけには行きませんから」
「あ、あぁおはようテミス。昨日はよく眠れたか?」
「...まぁ眠れたかと言われたらそんなになんですけれど、皆さんと話せたのでとても楽しかったですよ」
「話した?そういや俺いつ寝たんだ?」
「よっぽど疲れてらしたんですね。私たちを抱きしめてすぐ眠ってしまわれましたよ?」
「うわぁ、まじか。恥ずかしい...」
「ふふっ、皆さん嬉しそうでしたよ?カイトさんのことを知れた〜って。かく言う私もそうですし」
「...そっか。それならまぁ良かったのかな?」
「はい!それじゃあなんとかそこから起こさないように抜け出して体を拭いてくださいね?」
「え...もしかして俺臭いか?」
「まぁお風呂に入ったと言っても、それなりに長時間歩き続けたわけですし臭わないわけではないですね。私は嫌いでは無いですけど...サニアさんは...」
そう言われてふと左を見ると確かに若干眉にシワが寄っている。さらに自らの服で鼻を覆っていた。
「まじか...」
「まぁサニアさんは鼻が良いですからね。それに自分の匂いは分からないって聞きますし。それで、拭きます?」
「あぁ、すぐにでも」
でも、サニアの可愛いところはそうやって鼻を覆うくらい臭がっているのに俺にくっついていたのだ。可愛い、ひたすら可愛い。
それから俺はなんとか彼女たちの猛攻(?)をくぐり抜け、机の上に置かれた桶に浸かったタオルで体を拭いていく。
テミスはすでに済ませたようで彼女たちを起こしに行っていた。
起き渋るサニアとキノ、照れるミユを傍目に体を拭き出発の準備をする。
そうこうしていると不意に俺たちの部屋の扉が叩かれた。
「ん?誰だ?わざわざ...」
「私が出てみますね」
敵意の匂いはしない。なのでそのままテミスに任せる。ちなみにこういう風に感情の匂いの嗅ぎ分けも1年の修行の成果だ。
「はい、どなたでしょうか?」
「朝早くにすまない。この部屋はカイト・ヒュウガ殿の部屋で相違ないだろうか?」
「ええ、そうです。あなたは?」
扉の前に立っていたのは、昨日いざこざがあった門兵と同じ紋章を背負っているが、身なりは彼らより少し小綺麗な鎧を着た男性だった。
「申し遅れた。私はイント守衛二番隊隊長兼領長セキアル・ノイトナム様の秘書をしているアミカジ・ハナヤラムと申す。本日はセキアル様から直々に昨日のお礼がしたいとのことでお伝えに上がった次第だ。だが、強制ではないため、急ぎの用事があればそちらを優先して構わないとのことだ」
ふーん、なるほどな。昨日のお礼ね。まぁ急ぎの用事はないから行ってもいいんだが、こいつの微妙にナチュラルな上から目線はなんなんだ?
癖なのかわざとなのかは知らないが、腕を組み顔を若干持ち上げ俺たちを、特に俺を睥睨していた。
まぁ気にしても仕方ないか。
「カイトさん、どうなさいますか?」
「皆が嫌じゃなければ俺は行っても良いと思うぞ?どうする?」
「んー、正直キノは微妙だなぁ。あの人にキノは認識されてないから言うけどあのセキアルとか言うやつ、【強欲】の魔王の第1戒王だよ」
さらっとキノがとんでもない発言をする。
「はぁっ!?なんで昨日言わなかったんだよ?!」
「だってぇ...、カイトの過去の方が大事だったんだもん...」
キノがブーたれながら弱々しく反論する。
「すみません、一度私たちで話し合いますので宿の外でお待ち願えますか?」
「...?わかった。ただし、あまり時間はかけないでほしい。セキアル様もお暇ではないのだ」
「分かりました。そう時間は取らせません」
「了解した。それでは1度失礼する」
アミカジと名乗った奴が完全にこの部屋から離れたのを匂いで確認してからキノに先ほどの話の続きを促す。
「カイトとかサニアには言ったと思うけど、キノいろんな魔王のとこにお邪魔してたって言ったじゃん?だからある程度内情とかどんな奴がいるかとかは知ってるんだよね。まぁ“鑑定”は持ってないから詳しい能力はわかんないけどさ」
「なるほどな。でも今はセキアルだ。そもそも第1戒王ってのはなんなんだ?」
「あーそれもか。まぁ単なる順位だよ、【強欲】の魔王の臣下で上から強い順番に第1戒王、第2戒王っていて、第5までいるの。で、その第1戒王があのセキアルって奴なの」
そこからキノは色々【強欲】について話してくれた。
まず、俺たちの最終目的地に設定していたアンバスの街は一応中立地帯という名目ではあるものの実際はその【強欲】の治める土地として機能しているのだとか。
さらに第1から第5までの戒王は殆どがそれぞれこのイントのように小さな町を治めているようだ。
だが、一番重要なのはどんな奴がいるのか、そして【強欲】がどんな魔王なのかだ。
まず、言わずもがな第1戒王はセキアル。キノの知っている範囲だそうだが、基本的に形の違う二本の槍を扱うそうだ。あの背負っていた槍のことだろう。槍以外を使っているところは見たことがないらしい。
次にキノがとっても嫌そうな顔で教えてくれたのは第2戒王、イラム・スフィンクス。戒王唯一の女性でヴァンパイア、能力は不明。
そして第3戒王、ガイロ・ジャスティス。【憤怒】の魔王と同じ鬼族、能力は不明だが、周りには常に部下がいて、1人で戦うところはほぼ見たことがないらしい。
第4戒王は名前、能力共に不明だそうだ。だが、姿は見たことがあるそうで彼はローブを羽織り常にフードを被っているらしい。また、唯一治める町を持たず、ずっと【強欲】と共にいるそうだ。
最後は第5戒王、ゼブル・オンシェロ。彼も能力は殆ど不明。だが、一度だけ“神聖魔法”を使っているところを見たことがあると言う。
そして最後に【強欲】の魔王。名はシス・イントゥルフェ。やつは存在が確認されているだけで能力までは知られていない。
「だけど【色欲】の時みたいに代替わりしている可能性はないのか?」
「大丈夫だよ。ここ最近で魔王が入れ替わったのはあいつだけだから。あと、戒王じゃないけど【強欲】が重宝してた奴もいるって聞いたことあるよ。顔も能力も見たことないけど確か悪魔族だったと思う」
なるほど。その悪魔族とやらも要警戒だな。
それにしてもキノは【色欲】の話になると途端に不機嫌になる。皇城の時のあの感じから何かしらの因縁があることは確かだが、聞いて欲しくない感じがプンプンするので聞くのはやめていた。
「そうか、ありがとな。それで、【強欲】の能力は分かるか?」
「詳しいことまではわかんないけど、小さいてのひらサイズの四角い箱にいろんな丸がいろんな面に付いてるやつを使ってるのは見たことあるよ」
四角い箱にいろんな丸がいろんな面についてるやつ...。もしかして...。
「なぁキノ。そのいろんな丸ってそれぞれの面によって数が違ったか?」
「うん!なんか1個のやつもあれば6個?か7個くらいあるやつもあった!カイト知ってるの?!」
「あぁ、多分思い当たるものはある」
「カイトくん、まさかそれって私たちの世界の...?!」
「あぁ、おそらくサイコロだ。白い箱に黒い丸、1つのやつは赤い丸だろ?」
「ん〜?色までは覚えてないなぁ。でも【強欲】はそれを空中に転がしてた」
なら、多分サイコロで正解だな。にしてもサイコロが能力?スゴロク?どういうことだ...?
実物を見ていない以上考えても仕方がない。今はセキアルだ。
あのさらりと流して後ろで括った銀髪に怜悧な銀色の瞳、さらに銀色の鎧を着てまたまた銀色の槍を背負った、まさに銀色おばけ。
ほとんど一瞬しか見ることが叶わなかったがあの身のこなしからして相当強いのは分かっていた。
だが、まさか【強欲】の部下筆頭だったとは思わなかった。まずはこいつに会ってもいいのかどうか。
「ん〜、会ってもいいとは思うよ。ルールに厳しいけど好戦的なわけじゃないし、いきなり襲ってくることは無いと思う。でも一回敵対しちゃったらもうそれをひっくり返すことはないと思うな」
なるほどな、自分の信念を曲げないタイプか。見た目通りの性格だな。搦め手が通じなさそうだ。
「よし、1度会ってみよう。何も知らないより知っている方がいい。キノもありがとな、とっても貴重な情報だ」
「いいってことよ!なんでも聞いて!知ってることなら全部教えてあげる!」
そうして俺たちはイントの町の長、そして【強欲】の魔王の第1戒王であるセキアルと対面することに決めた。
「それじゃテミス、外で待たせてる奴に了承の意を伝えてもらえるか?」
「分かりました。すぐに」
それから数分もしないうちにテミスと共に俺たちを呼びに来たアミカジにセキアルの居るところまでの案内を頼むと、『ふん』と一言だけ呟き、まるで付いてくるのは当然だ、と言わんばかりに無言で歩いて行ってしまった。
「なんだ?あいつ...」
「キノあいつムカつく〜」
「まぁ人を呼びにくる態度では無いわよね...。でもあの人に付いていかないと会えないし今は我慢しよ?」
「ミユはいい子過ぎるんだよ〜。でも、そんなとこも可愛くて好き!」
そう言いながらミユに抱きつくキノと満更でもなさそうなミユは案外いいコンビなのだろう。
「ここが我らがセキアル様の居城、セイイント城である!すでにセキアル様は君たちの席を用意してある。すぐに向かうように」
もうこいつ上から目線隠さなくなったな...。待たされたのがそんなに嫌だったのか?これだけでもう会うのを決めたことを後悔しそうだ...。
キノがイーッとアミカジを睨みつけながら俺たちはアミカジの後ろについていく。
それから何度か階段を上ったところでいい匂いが漂ってきた。
「わぁいい匂い!」
「...お肉...!!」
さっきまで眠そうだったサニアが急に起きた。
昨日あれだけ肉肉しいもの食べてたのに...
「セキアル様!カイト・ヒュウガ殿御一行様をお連れしました!」
「入れ」
「はっ!」
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