第6話 初めてのおつかい
前回、おじいちゃんの年齢が長生きしすぎじゃない?とのご指摘をいただきましたので、結構若返らせました!
また、スキルが多くなってきたので、今回のパートから文章には、レベルアップしたものや新しいスキルのみリストアップして、後書きに今までのスキルを書いていこうと思います。
そうして、色々あったゴタゴタを終えた俺は、今日泊まる宿を探そうと思ったが、よく考えると今俺は一文無しだ。
ギルドカードを作ることはできたから、おそらくクエストを受けることは可能だろう。そう思い俺はギルドへとまた足を向けた。
「ティサネさん、クエストって、俺受けられます?」
「あ!カイトさん!そういえばお金持ってないんですもんね!それにまだランクのお話をしていませんでした!」
そういえばギルドマスターはS級冒険者だったな。こういうランクは称号として追加されるのだろうか?
「ギルドマスターは称号にS級冒険者という称号があったんだが、それはどのランクでも出てくるものなのか?」
「いえ!称号として追加されるのはS級だけですね。というよりもS級の方々は特別でして、我々ギルドがS級を指定する訳では無いんです。A級まではギルドで功績や試験の結果、資格があると判断された方に与えるものなんですが、S級だけはそれだけの実力が身についた時、自然と称号に追加されるんです。ただ詳しい追加条件は分かってないんですけどね……」
大きな偉業を成し遂げた時、とか色々言われてますし……と、ティサネは1人呟く。
それにしても、ギルドカードって不思議だな。俺もいつかS級の称号を付けられるようになりたいな。
だが、ギルドマスターの称号を鑑定した時に説明を見たが、何か特別に能力が与えられる訳では無いようだ。
称号:S級冒険者 この世で最も実力のあると判断されたものに与えられる称号。あるいはその道においての実力者にも与えられる。
これに関しては、本当に称号としての意味しかないようだが、頂点という証明にもなる。
「そして、ランクの説明なんですけども、カイトさんは、まだ登録したてなので一番下のFランクとなります。受けられるクエストは自分のランクより1つ上までとなりますが、Bランクからは許可無しにAランクのクエストを受けることは出来ません。
また、一定回数失敗すると、ランクが下がってしまいます。Fランクの場合はカード剥奪ですね。身分証としての機能がありますので没収はしませんが、クエストを受注することは出来ません。
それに、クエストを受注したあとのキャンセルは依頼料の倍額頂きますので、ご了承ください。何か質問はございますか?」
「一定回数というのは具体的には何回なんだ?」
「はい。これといった決まりはありません。素行の悪い人は3回程で判断しますし、普段から素行のいい方は、ある程度様子を見ます」
「なるほど。冒険者らしい自己責任と言うやつか。これ以上の質問はないな」
「はい。あとこれは注意なのですが、キュケの森へ行く際は気をつけてください。カイトさんなら無理はしないと思うのですが、キュケの森の奥地は未だ調査が進んでおらず、不透明な場所です」
「分かった。気をつけよう」
ちなみに『キュケの森』とは俺がシャドウウルフと戦ったあの森だ。ついさっきまでいた森のことだな。
やはり奥は危険だったか。匂いと勘を信じてよかった。でなければせっかく生きていられたのに、みすみす命を捨ててしまうとこだった。
「説明は以上となります。どのランクのクエストを受けられますか?」
「とりあえずEランクだな。討伐系のクエストがあればお願いしたい」
「わかりました。討伐系ですね!今あるのはゴブリン5匹とコボルト5匹の討伐クエストですね。これらは常時設置型のクエストでして、指定された数以上に討伐してもらえると追加報酬があります。そして、今回はカイトさんはギルドカードをまだ持っていないため特例として、こちらの魔法袋をお貸しいたします。こちらは貸出ですので帰ってきた際、返却をお願いいたします。」
「わかった、両方受けよう。その方が楽だしな」
「わかりました。ではゴブリン5匹とコボルト5匹お願いします」
「了解した」
ギルドを後にした俺は、さっそく外門へと向かう。
「おう!カイトじゃねーか!身分証はまた作れたか?」
「おう、バルス、お疲れさん。無事作れたよ、助かった。しばらくはこの町にいるから金が溜まった時に奢るよ」
「おう!楽しみにしてるぜ!にしてもさっき町に入ったのにもう出るのか?」
「あぁ、金がなくちゃ宿にも泊まれないからな」
「確かにそうだ!なら頑張れよ!」
「ありがとな」
俺はバルスに別れを告げたあと、俺が出てきた方向とは別の方向の森へと向かう。なぜなら、俺が出てきた方向は、森の奥地へと繋がり、今回のクエストの対象の魔物はいないからだ。
そうしてしばらく歩いていると、ゴブリンの集団が見えた。俺はすぐさま“偽装”を使い、気配を消して、ゴブリン達に近寄る。
名前:ゴブリン
種族:小鬼
Lv:8
スキル:繁殖Lv.3
名前ゴブリン
種族:小鬼
Lv:7
スキル:繁殖Lv.2
名前:ゴブリン
種族:小鬼
Lv:9
スキル:繁殖Lv.3
名前ゴブリン
種族:小鬼
Lv:11
スキル:繁殖Lv.3 剣術Lv.2
なるほど、ゴブリンらしいスキルを持っているな。早速俺は“偽装”したまま、レベルが1番高いゴブリンの後ろから刀を振るい、首を落とす。
そこからは、何が起こったか分かっていないゴブリン達を“偽装”で隠れることなく、両断して行く。
やがて、1分もしないうちにそこらは血と肉片の海と化した。
『経験値を獲得しました。スキル:簒奪により取得経験値が半減します。スキル:簒奪の効果により、スキル:繁殖 剣術を獲得しました』
名前:日向 海斗
種族:人間
年齢:18
Lv:60
スキル:New繁殖Lv.4
「ここまで弱いとやっぱりレベルは上がらないな…」
俺のもつスキル“簒奪”は他者からそのままスキルを奪える代わりに、得られる経験値が半分になってしまう。
今までは俺自身のレベルの経験値が半分だと思っていたが、スキル経験値的なものも半分なのかもしれない。
どうやら持っているスキルと同じスキルを“簒奪”した時は、経験値を全て取得できている気がするのだが、自分の持つスキルを自分で使った時に得る経験値は、取得量が圧倒的に少ない気がするのだ。
しかも、自分で得られるスキル経験値は相手のレベルに依存しているようだ。
そのため、このレベル帯の魔物にスキルを使ったところで、大した経験値を得ることが出来ないのだ。
それに相手のレベルが低いため、持っているスキルも少なく、レベルも低い。これはしばらくはゆっくり過ごせということだろうか?
確かに森での戦いは常に緊張の連続だった。それに一応川などで体は拭いているが、元日本人の俺からするともう1ヶ月ほど風呂に入れていないのは辛い。
あれからひたすら、ゴブリンやコボルト達を見つけ次第倒してきた。本来はギルドカードに受注したクエストや狩った魔物の数なども全て記載されていくらしい。
しかし、俺はまだ貰っていないので今回に限り、討伐証明として、それぞれ右耳を持ってきてくれと言われていた。その結果、今日のステータス更新はこんな感じだ。
名前:日向 海斗
種族:人間
年齢:18
Lv:61
スキル:Up超嗅覚Lv.2 Up剣術Lv.6 Up風魔法Lv.8 繁殖Lv.10→New繁栄Lv.1
まず、ゴブリンのおかげで“剣術”が1つレベルが上がった。そして、“繁殖”は全てのゴブリンが持っていたので、レベルがMAXになり、“繁殖”から“繁栄”となった。
またコボルトは、“嗅覚”とたまに“風魔法”を持っていたため、“超嗅覚”が1つ上がり、“風魔法”のレベルをだいぶ稼ぐことが出来た。
ここで俺が新たに発見したことは、進化する前のスキルでも経験値を稼ぐことは可能だが、限りなく少なくなるのか、必要経験値がとても多いかだった。
“風魔法”を持っているコボルトは狩った全体の半分程だったのだが、“嗅覚”は全てのコボルトが持っていた。にもかかわらず“超嗅覚”が上がったのは1つだけと少し渋い結果だった。
そうして俺は、狩った全てのコボルトとゴブリンの耳を揃え袋に入れ、夜になって周りに奴らが見えなくなったので、町に帰ってきた。
「おう!カイト、お疲れさん。えらく遅くまでやってたんだな」
「金があるに越したことはないからな。取れるだけ取ってきた」
「そうか、それじゃ身分証をとりあえず見せてくれ」
「あーそれなんだが、ギルドカードに不具合があったみたいでな、作ってはもらえたんだが、明日以降の引渡しになるみたいなんだよ」
「なに?そうなのか、まぁ出来ることが決まってるならいいが、こうして通すのはこれで最後だぞ?さすがに俺も上から怒られちまう」
「すまないな、もし怒られたらギルドマスターに苦情を入れておけ。俺の名前を出せば減給とかはされないと思うぞ」
「ギルドマスター?!お前ほんとに何したんだよ!?普通ギルドマスターと会えるやつなんかそうそういねぇんだぞ?!」
「そうなのか?なんか呼ばれたから会っただけだぞ?」
「うん、まぁなんとなく最初にあった時から普通じゃねぇんだろうなとは思ってたよ。そんな若いのに体傷だらけで片目潰れてるやつなんか初めて見たからな」
「そうなのか、最初あまり驚かれなかったから普通なんだと思ってたよ」
よく初めて会った時、俺を身分証無しで通そうと思ったな……。普通はそう思うなら警戒するもんじゃないのか?
「片目潰れてるだとか、片腕がないだとかは割とよくあるんだよ。だが、お前さんみたいな若いもんが初めてってだけだ」
なるほどな、そういうことか。おそらく俺は傷だらけだったため、襲われて逃げてきた子供か何かだと思われたんだろう。
だから少しでも早く治療してくれるように町に入れてくれたのかもしれない。
「それにカイトは強者が出す雰囲気的なものが出ててな。その傷は襲われたものじゃなくて戦いのものなんだろうなと思ったよ。けど、最初に会った時に言ったように悪いやつだとは思わなかったから町に入れたんだ。まぁ俺の長年の勘みたいなものだよ」
その言葉を聞いて、俺は改めてバルスに感謝していた。もし、俺がバルスの立場で正体のわからない強者らしき者が来たら何がなんでも町には入れない。
もしその強者が街で暴れれば、取り返しのつかないことになるからだ。
「あの時は助かったよ。それじゃ換金とかがあるから俺はもう行くな」
「おう!お疲れさん、ゆっくり休めや」
「バルスこそ」
そう言って俺は検問所を後にし、町へと戻った。
名前:日向 海斗
種族:人間
年齢:18
Lv:61
ステータス:体力903
魔力976
攻撃597
防御603
敏捷624
知力651
スキル:簒奪Lv.- 鑑定Lv.4 超嗅覚Lv.2 偽装Lv.1 暗黒魔法Lv.1 噛み砕くLv.3 気配感知Lv.7 身代わりLv.3 統率Lv.4 器用Lv.6 集団行動Lv.5 槍術Lv.4 剣術Lv.6 体臭遮断Lv.9 火魔法Lv.3 水魔法Lv.5 風魔法Lv.8 土魔法Lv.3 樹魔法Lv.4 弓術Lv.4 幻惑Lv.4 融体Lv.3 遠視Lv.4 鋼化Lv.5 俊敏Lv.3火耐性Lv.2 水耐性Lv.2 風耐性Lv.1 土耐性Lv.3 樹耐性Lv.3 光耐性Lv.2 闇耐性Lv.2 毒耐性Lv.3 麻痺耐性Lv.5 夜目Lv.3 体力自動回復Lv.7 自己再生Lv.6 斧術Lv.2 魔力自動回復Lv.5 物理透過Lv.6 死霊作製Lv.8 闘術Lv.1 繁栄Lv.1
称号:簒奪者 強者食い