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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第4章

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第59話 唐突な乱戦『前編』

誤字報告ありがとうございます!

先程気づいたのですぐに適用いたしました!

「「「全員、戦闘準備だ(です)((よ))!!」」」


 それに気づいたのは俺とミユとテミスの“感知”持ちだけだったが、俺たちの声がけに戸惑った者は1人もおらず、全員あらかじめ決めておいた配置にすぐさまついた。


 やがて俺たちの前には数秒もしないうちにフードを被った2人組が現れた。


「おや、我らの存在がバレていたみたいですよ?【槌】」

「まじっスカ、やっぱ勇者だけあって一筋縄じゃいかないっスネ〜。...にしても数多くないスカ?先輩」

「そうですね...。勇者は4人と聞いていましたが...。あぁ、【槌】よ。よく見て見なさい、ラムラス様が言っていた人物がいますよ」

「おぉっ!ほんとっスネ!【黒隻】がいるじゃないスカ!...でも、案外落ち込んでないスネ?対して大事でもなかったんスカね?」

「さぁ?それは我らには分からないことですからね。まぁそんなどうでもいいことは置いておきましょう。彼らを始末するのが我らの仕事なのですから」

「そっスネッ!じゃあ早速やっちまいまスカッ!」


 俺たちは奴らに誰何する暇もなく、【槌】と呼ばれていた男は、背負っていた頭2つ分程もあるハンマーを2つも大きく振りかぶって、サアラへと叩きつけた。


「ちっ、話通じなさそうじゃん?!」


 サアラも腰に引っ掛けていた柄の長いハンマーで【槌】を迎え撃つ。そこを左右からサニアとミユも応戦する。


 俺たちも援護に加わろうとするが、それを遮るようにもう1人のフードの男が“闇魔法”を放ってくる。


「では、あなたたちの相手は我々が務めましょうか」


 そういうなりフードの男の袖から何かの液体が流れ出した。それは次第に人の形を取り始め、最終的にはフードの男は10人にまで増えた。


「ふふっこれで人数差は覆りましたね」

「1人につき2体分だね。ウォーミングアップにちょうどいいんじゃないかっ!」

「強気な方は嫌いではないですが、勇気と蛮勇は別物ですよ?」

「そうだよ、アサヒ。あの人、詳しくは見れないけど私たちより強い.......」

「そういやユキも“鑑定”を使えるんだったな。...強いぞ、あいつは。レベルはテミスよりも上だ。みんな、気を引き締めろ!行くぞっ」







 ーーーーーーーーーーーーーーーーー







 突然私たちの前に降りてきた2人組が何か話していたと思ったら、ハンマーを2本持った男が突然襲いかかってきた。


 標的はサアラで、彼女も自分のハンマーを取り出して応戦する。


「サアラっ!くっ、《轢き裂け!アメノムラクモ》ッ!」


 私は胸に手を当て、帝国で最後に行ったダンジョンで手に入れた【天劔】アメノムラクモを抜き、サアラの援護に入る。


 反対側からは鋭い氷の爪を構えたサニアちゃんがサアラの援護のために勢いよく振りかぶっていた。


「あぁ〜!邪魔っスヨ!!」


 フードのハンマー男は膠着していたサアラを蹴り飛ばし、左右のハンマーで私とサニアちゃんの攻撃を受け止める。


「なっ!ムラクモを受け止めるなんてっ!」


 私は驚愕で少し体が強張った。まだ扱い始めてから数ヶ月しか経ってないが、今まで受け止められることはおろか、切るときに抵抗を感じたことすら無かったのに!


 その強張った一瞬を突かれ、ハンマー男は私を押し返し体勢が崩れよろめき、蹴り飛ばされる。


「まだまだ青いっスネぇ!!」


 ハンマー男の左右に持ったハンマーが青白く光っていく。


 ハンマーの武技スキル“超力”。


「それじゃあ、行くっスヨ!!」


 ドンッと地面を蹴りつけ砂埃が舞い視界を覆われた。私は視界確保のため、その砂埃を急いで斬り払う。次の瞬間、ハンマー男は私の目の前にいた。


「ホラホラホラホラッッ!!」

「くっこのっ!」


 ハンマー男は余裕の表情で私に乱打を仕掛けながらも他の2人に注意を傾けているのに、私は受け止めるので精一杯だった。


「ミユっ!...んの野郎っ!」


 今度はサアラが私の援護に入る。そしてさらにサニアちゃんも来たことで、またも乱戦となった。







 ーーーーーーーーーーーーーーー







 勝利の女神は完全にそっぽを向いてしまったらしい。


 勇者たちが圧倒的にステータスが足りていないためか積極的に狙われて、元の陣形を保てていない。結果、いい様にフード男に振り回されていた。


 名前:イワンナ・ヨルド

 種族:腺魔族

 Lv:764

 スキル:液身割Lv.- 完全感知Lv.- 大地魔法Lv.8 極氷魔法Lv.6 暗黒魔法Lv.10 博識Lv.10 咒力特自動回復Lv.10


 称号:限界突破者 超越者 液分者 観看者 闇の寵愛 識の寵愛 咒の寵愛


 スキル 液身割 身体中の水分を使って分身を作り出す。そのため魔力は使わないが、やりすぎると死に至る。



 こいつは典型的な魔法特化のスキル構成をしているため、近接戦闘とは相性が悪いはずなのだが、その不利をこの“液身割”というスキルがカバーしている。


 このスキルは、性能が術者と全く同じになる代わりに身体中のさまざまな水分を使うため、最大で発動すれば脱水症状や貧血などで術者は動けなくなる。


 だが、魔力は使わないためそこさえ対策すれば自分も魔法を使えるので、相手からすれば11人と同時に戦うことになる可能性もある。


 ただ、どうやらこのスキルは分身体が1度倒されてしまうと最低でも2、3日は発動出来なくなるらしい。


 それでも強力なスキルには違いない。現在、ヨルドの分身は俺とキノに3人とテミスに2人、そして勇者に1人ずつ相対している。


「キノが把握されてるのが結構痛いな」

「私が戦う際に弱点となるのが接近戦ですからね。しかし、そちらの才能は私には無かった。ならばせめて見ることだけでもと鍛えていたらいつのまにか」


 ヨルドはそう笑いながら余裕を醸し出す。2人ずつやキノを把握されていなければ、早いうちに彼らの援護に行けたのだが、それも難しい。


「ならさっさと俺がお前を倒さないとな」

「ええ、私もあなたを倒せるなどと思い上がっていませんよ。ですが、勇者を倒せるまで時間稼ぎが出来れば良いのですから」

「ならせいぜい気張れよっ!」


 やつに“完全感知”がある限り、俺の十八番である“暗殺”は意味をなさない。なら、この一年修行してきた成果を出すべきだ。


 そして、この段階で俺たちに襲撃を掛けてきたということは【憤怒】の部下か、そうでなくとも関係はしているだろう。



 ならばこいつらはラミーの仇だ。生かしてなるものか。全てねじ伏せてやる。

ブクマと乾燥、チャンネル登録よろしくね!

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