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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第4章

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第49話 新たな仲間

「誰だ、ここで何をしている?」

「主さま...?急にどうしたの?」

「えっ?サニアには見えていないのか?」

「...えっ?どういうーー」

「あなた、キノの事が分かるの?!?!」

「何?当たり前だろうが」


 急に俺の顔の前に来ては忙しそうに俺の言葉で泣きそうな顔になっている目の前の女に、俺は緊張感が無くなってしまった。


「ねぇ、主さま...!どういうこと...?」

「サニアには見えていないのか、今俺のーー」


 .........?


 今、俺は誰と話をしていた?サニアの方に向いたら今まで何をしていたか、朧げにしか思い出せない...。


「い、いやなんでもない。俺も疲れているみたいだ」


 そう言った途端、俺のすぐそばでまるで自身の全てを否定されて世界の全てを妬むような、それでいてやっぱりそんな答えすら分かっていたかのような底知れない『絶望』を感じた。


 俺はそんな突然感じたとてつもない感情に驚き、思わず元の方向へ向く。


『遮断耐性のレベルが上がりました。神気耐性のレベルが上がりました。状態異常耐性のレベルが上がりました。遮断耐性ーー』


「な、なんだ?!」


 するととんでもないスピードで3つの耐性スキルが上がっていく。


『遮断耐性のレベルがMaxになりました。神気耐性のレベルがMaxになりました。状態異常耐性のレベルがMaxになりました。状態異常耐性のスキルがMaxになったことにより新たなスキルを獲得します。ーースキル完全耐性を獲得しました』


「...“完全耐性”?...それで結局君は誰なんだ?」

「...あ、見えるようになったの...?!もうキノは1人じゃない?!また忘れたりしない?!」

「ど、どういうことだ?!まず説明してくれ!」


 未だこの女性が見えておらず、ぽかんとしているサニアと俺が見えることに対して激しく動揺しているこの魔族の女性を落ち着かせて、まずは話を聞くことにした。


「ごめんなさい、取り乱して。でももうキノから目を離さないで。また忘れられるかもしれないから...」

「わかった、わかったから、君のことと今俺たちに起こっていることの説明をしてもらえるか?」

「うん、わかった。長くなるけどいい?」

「あぁ、時間はあるからゆっくり話してくれ」


 頷くと『キノイル・ヒルディア』と名乗った女性はここに来るまでの経緯と俺たちの身に何が起こっているのか説明をしてくれた。


 どうやら彼女は特殊なユニークスキルを持っているようで“隠陰殲忘”という、何をしても気づかれない、また、たとえ気づかれたとしても視線を外せばすぐさま記憶から忘れ去られる、といったスキルを持っていた。


 そして、このスキルは俺のような特定の耐性スキルを持つものにしか対抗できず、持っていたとしても視線を外せば記憶が消えるというスキルだった。


 そこで、検証したところ俺はもう視線を外しても忘れることはなかった。それはどうやら俺の獲得したスキル“完全耐性”のおかげらしい。


 またどうやら俺のステータス(?)は彼女のこのスキルにずっと対抗しようとしていたことで、とんでもないスピードでレベルが上がっていったようだ。



 話を戻すと、彼女は生まれた時からこのスキルを持っているようで、今まで彼女とまともに話すことが出来る人間がほとんどいなかった。


 話ができたとしても視線をそらせば忘れられるからだ。過去には何人か彼氏もいたそうなのだが、そういった事情もあり彼女からすれば浮気と見えるような行為も多々あったようだ。


 最初は彼氏を問い詰め、やめさせようとしたり色々したらしいのだが、流石におかしいと感じ、色々調べてみるとこのスキルを発見したらしい。


 しかし、発見したからといって解決できることは何もなく、悲しいことに人には気づかれないのに魔物には見つかる、それも強い魔物ばかり。


 そうして彼女、キノイルは世界から疎外される。


 キノイルはその原因を作った自分のスキルを呪い、いつしか世界を妬んだ。


 その結果、大罪スキル“嫉妬”に目覚めてしまったのだ。


 彼女は『嫉妬』に目覚めてからすでに何十年と経っているそうなのだが、なに分誰にも見つからない特性のため、忍び込んでは各所からご飯などを盗んで暮らしていたらしい。


 そして、今日この城にやってきてたまたま俺の部屋にいたところを俺が見つけたということだ。


 俺が部屋に向かっていることは気づいていたそうなのだが、そもそも彼女を見つけることが出来る人間がそうそういないため、隠れようとも思わず、見つかっても視界から外れればいいのであまり考えていなかったらしい。


「あなたはもうキノのことを忘れることはないのね!!ずっと一緒にいてもいい...?」

「まぁそれはいいけど...、サニアはどうだ?彼女は俺といたいと言ってるみたいなんだが...」

「主さまがいいなら従うだけよ...。その子はここにいるの...?はじめまして、サニアです...。これからよろしくね...?」

「キノからは見えているからよろしくね!!でも、キノはそっちにはいないよ!!」


 サニアが虚空に向けて挨拶している姿はシュールで面白かった。


「キノもひとつ聞いていい?こう言うのも変だけど、どうしてずっと私を忘れないでいられるの?」

「多分、俺は耐性スキルを持ってるからかな。本来俺の持っているような耐性スキルは魔物しか持てないんだけど、俺のスキルの都合上、殺した相手のスキルを奪えるんだ。だからだと思うよ」


 ヘぇ〜とキノが聞いたにもかかわらず、さして興味の無さそうな声音で反応する。


「それよりもさ!サニアちゃんとお話ししたい!」

「俺に通訳になれと...。まぁいいんだけどね」


 きっとこの女性は普通に過ごしていたら俺よりももっといいやつと居られたんだろうな。これだけフレンドリーならそりゃモテただろう。




 そうして俺が間に入り、サニアとキノで話をしているうちにだいぶ時間も経ったのか、メイコがご飯とお風呂の準備ができたと報告に来た。


 そこでせっかくだしみんなで食べようとなり、また部屋に持ってきてもらった。



 しばらく話しているとサニアのスキル“変幻碧尾”が気を利かせたのか、“阻害耐性”・“精神耐性”を獲得した。


 それによって視線を合わせていれば話すことは出来るようになった。...これ魔物のスキルのはずなんだけどな...。


 そうなると俺の通訳は必要なくなるため、もう完全に女子会のような雰囲気になっていた。


 その間暇だった俺は、過去キノのことを見つけられた人はどうやって見つけることができたのか気になったので、色々試したところどうやら看破系のスキルを持っていれば見つけることは可能だった。


 やることもなくなった俺は彼女たちの楽しそうな姿を尻目にいつのまにか眠っていた。









 俺は体を揺すられる感覚で目を覚ました。


「ん...?なんだ?」


 目を開けると目の前に顔があった。


「キノ?どうかしたのか?」


 目を覚ますとキノが俺の顔を覗き込みながら体を揺すっていた。


「良かった、ほんとに忘れてなかった...。ねぇねぇ、キノはあなたのことなんて呼べばいい?」

「呼び方?なんでまた...、好きに呼べばいいんじゃないか?」

「でもサニアは主さまって呼んでるから、キノもなんか呼びたい」


 さすが女の子と言うべきかもう呼び捨てなのか、昨日だけで急に仲良くなったな。まぁ仲が悪いより全然いいが。


「うーん、と言われてもな。キノが呼びやすいのでいいと思うぞ?せっかくならそれもサニアに相談してみればいいんじゃないか?」

「!そうね!そうするわ!ありがと!!」


 そう言って部屋から出て行ってしまった。そういえば気づかなかったが、サニアがいないな...。もうカイニスのところへ行く時間だっただろうか?


 俺はもはや完全にペットと化しているテロルを撫でながら着替えをし、用意する。すると相変わらずタイミングを見計らったかのようにメイコがやってきた。


「カイト様、お目覚めになりましたか?朝食の準備が出来ておりますが、どうなされますか?」

「あぁ、貰うよ。サニアもいるのか?」

「はい、サニア様はすでにお席につかれております」

「わかった、今出るよ」


 ちょうど用意が終わったところなので部屋を出る。すると見慣れた姿のメイコが見慣れた姿で立っていた。


「それではご案内いたしますね」


 メイコの先導で食堂へと向かう。そういえばこの城に来て、初めて食堂で食事するな。


 食事自体は部屋で取っていたので美味しいことは知っているのだが、食堂で取ったことがなかったのでどんな雰囲気の食堂なのか知らないのだ。


 食堂に着くと、すでにサニアとキノが席にいた。


 ...キノはどうするんだ?認識されないなら食事するの難しくないか?と思っているとキノの前にも食事が運ばれていた。


 なんだ、認識できる人がいるのか、と思いながら俺も用意されている席についた。


 そして、料理を食べ始めるとキノの料理を見ていた執事が驚いていた。...あぁやっぱり見えてなかったんだな。おそらくサニアがもう1人分余計に用意させたのかもしれない。


 サニアは昨日の一晩で耐性スキルにずっと経験値が入っているような状態だったから、すでに“阻害耐性”と“精神耐性”はすでに上位スキルへと変化していた。


 しかし、それではまだ記憶から消えることに対して耐性を持てていないため、サニアはキノをずっと視界に入れるような位置にいるようにしている。


 キノの姿を朧げだとしても記憶に残すことができる耐性は今のところ状態異常耐性スキルしか存在しないと思われる。


 また、俺のようにずっと覚えておくためにはこの“状態異常耐性”スキルをMaxにし、“完全耐性”スキルにしなくてはならない。


 そもそもこの“状態異常耐性”スキルは全ての耐性スキルを上位スキルにした時に発現したものだ。


 サニアならばいつか可能だと思うが、そこそこ時間がかかるだろう。そのため、視界から外れてしまったら俺が間に入る必要があるのだ。





 それから食事を取り終わった俺たちはそのままいつもの大広間へと向かった。ついに今日から訓練が始まるからだ。


 その前にここに【嫉妬】の魔王がいることを伝えた方がいいか?というかキノはあまり魔王という感じがしないな...。


 それからサニアと話した結果、一応伝えた方がいいという結論になったので、カイニスに伝えてみた。


 そうすると最初は、長い間見つからなかった【嫉妬】の魔王が城にいることに驚いていたが、敵対する意思はないこと、俺と常にいてもし何かしら問題が起きたら俺が責任を取るということでキノは滞在を許された。


「では、さっそくだが始めて行こうか。相手としては以前言っていた通りだ。サニア君にはイドニスと、カイト君にはミキス、メニア、ガンドと行ってもらう。やり方は各々に任せる。質問があれば彼らに聞くといい、以上だ。...では、『遥かなる高み』で待っているよ」



 そう言うなり、俺とサニアはそれぞれ別の場所に転移させられた。目の前には訓練相手となる3人の臣下。


「それじゃあもう始めていくぞ。普通ならここで前語りなんかをするんだろうが...、ワシはそういうのは苦手でな」

「いえ、大丈夫です。特に質問らしい質問も無いので」

「そうか、それなら助かる。まずはワシからだ。ミキスとメニアは午後からになる。最初はワシと実戦形式で行っていく。スキルは育成済みらしいからな、あとは状況判断などの経験だ。これに武器の違いはあまり関係ない。...あぁ、これが前語りになるのか?」

「...さぁ?まぁイイじゃない、始めましょ!」

「ミキスは適当ね、でもここで色々言っても進まないし、ここまでもカイトはやっぱり質問無し?」

「はい、大まかに俺が予想していた通りなので大丈夫です。よろしくお願いします」


 そうして、カイニスの部下たちとの訓練漬けの日々が始まった。

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