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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第1章
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第4話 準備完了

 俺はこれまで通り見つけた魔物を“鑑定”しつつ、俺の欲しい、“自動回復系”のスキルを持つ魔物を探していた。


「そう、都合良くは行かないもんだなぁ」


 そう1人ぼやきながら薄々諦めかけていたのだが、晴天の最中、暖かい日差しが不意に遮られた。


 俺は何かとその影を追うと、


「見つけた!お前だよ、探してたのはっ!」


 そこには、一ツ目の巨人『トロール』が歩いていた。

 俺はさっそくトロールに“鑑定”を行う。


 名前:トロール

 種族:小巨人

 Lv:35

 スキル:体力自動回復Lv.7 自己再生Lv.6 斧術Lv.2


 あった!自動回復!それを求めていた!にしても攻撃手段であるはずの斧のレベルは低いな。


 ひたすら回復に徹して殴るタイプなのか?とにかく首を落としたいところだが、高すぎて届かない。


 俺はまずいつも通り偽装で姿を隠しつつ、後ろに回り込み、両膝をたたっ切った!そこではじめてトロールは、俺の存在に気づき後ろを振り返る。


「ん?振り返る?……なっ!もう足が再生してやがる!」


 とんでもない再生能力だ。どうやって倒そうか。そう考えているうちに、トロールも俺に向かって手に持っている斧を叩きつけてきた。


 だが、その攻撃はレベルが低い上に速度も遅いため、どう倒すか考えながらでも避けられるが、まずはあの再生力を何とかしなければいけない。


 俺はトロールの攻撃を避けつつ腕やつま先、胴体なども切ってみるがその全てを再生されてしまう。


「ん?でも……いや、待てよ?」


 俺は思いついたことを試そうと、もう一度鑑定してみると、トロールの魔力がかなり減っている。何よりこのトロールはもともと魔術タイプでは無いのか魔力総量もそこまで多くはなかった。


「なるほど。やっぱ再生タイプは回復できなくしてからっていうのが王道か」


 そうと分かればあとは避けつつ再生させていくだけだ。


 俺はひたすら攻撃をし、再生しすぎて魔力を失ったトロールは、ついに足を再生することが出来ず、地に跪いた。俺はそれを受け止めるようにして——


「いただきます」


 トロールの首を落とした。



『経験値を獲得しました。スキル:簒奪により取得経験値が半減します。Lv.60に上がりました。スキル:簒奪の効果により、スキル:体力自動回復 自己再生 斧術を獲得しました』


 名前:日向 海斗

 種族:人間

 年齢:18

 Lv:60

 ステータス:体力872

  魔力956

  攻撃581

  防御594

  敏捷612

  知力643

 スキル:簒奪Lv.- 鑑定Lv.4 超嗅覚Lv.1 偽装Lv.1 暗黒魔法Lv.1 噛み砕くLv.2 気配感知Lv.7 身代わりLv.3 統率Lv.4 器用Lv.6 集団行動Lv.5 槍術Lv.3 剣術Lv.5 体臭遮断Lv.9 火魔法Lv.3 水魔法Lv.5 風魔法Lv.5 土魔法Lv.3 樹魔法Lv.4 弓術Lv.4 幻惑Lv.4 融体Lv.3 遠視Lv.4 鋼化Lv.5 俊敏Lv.3火耐性Lv.2 水耐性Lv.2 風耐性Lv.1 土耐性Lv.3 樹耐性Lv.3 光耐性Lv.2 闇耐性Lv.2 毒耐性Lv.3 麻痺耐性Lv.5 夜目Lv.3 New体力自動回復Lv.7 New自己再生Lv.6 New斧術Lv.2

 称号:簒奪者 強者食い



 ずっと欲しかった自動回復系のスキルをようやく手に入れることが出来た!


(これで腕を再生できる!)


 俺は早速自身に向けて“自己再生”を使った。だが、どれだけ魔力を注いでも一向に治る気がしない。それは“体力自動回復”も同様だった。


「なんでだよ?!」



 スキル 自己再生 魔力を注ぐことでその体の正常な状態へと回復させる。


 スキル 体力自動回復 体力が少しずつ自動で回復する。



 この自己再生のスキル説明、まさか体の正常な状態というのは今この状態を指すのか?だとしたら腕と目が無い状態が正常だと判断されたってことか。


「くそ……それなら辻褄が合うか……」


 流石にもう慣れたが、片腕が無いというのはバランスが崩れるため歩きづらい。それに片目が無いことで焦点も合わせづらいのだ。


 だが、現状回復出来ないのならば嘆いても仕方ない。今は先に進むことの方が先決だ。


 あとは魔力の方だが、こちらは既にどこにいるかは分かっている。まぁ奴がそのスキルを持っているかは分からないが。


 それは“嗅覚”が“超嗅覚”に進化した日の晩、嗅いだことの無い匂いでありながら、それがアンデッドのものだとなぜか分かった。


 しかし、その時俺は“夜目”を持っていなかったし、おそらくアンデッドに効くであろう魔法系のスキルも持っていなかったのだ。


 もしかしたら“闇魔法”でも効いたかもしれないが、アンデッドには“光魔法”だろう。


 さらに匂いによるとスケルトンや、グールを率いているボスにおそらく、ワイトがいると思われる。


 こいつなら魔力自動回復を持っていてもおかしくない。少なくとも俺が地球にいた頃に読んだ小説では持っていた。


「安直であることは分かってるが、持っていてくれよ」




 とにかくそのアンデッド軍団は夜にしか出てこないため、一旦夜まで待機だ。さて、最後のピースを揃えに行こうじゃないか。





 辺りが暗くなり、アンデッド達が徘徊し始めた。俺は、アンデッドを倒しつつ、奴らの匂いが沢山あるアジトへと向かう。


 実は今までこいつらを攻めなかったのにはもうひとつ理由がある。それがこのアンデッド達だ。


 こいつらはそのワイトによって作り出されているのか、経験値が入らない上にスキルを持っていないのだ。


 なのでレベリングも出来ない、スキル収集も出来ないとなれば、レベリングをしたい俺としては後回しにするしかない。あと、単純に面倒くさい。


 ということで後回しになっていたのだった。そうして、アンデッドを駆逐していると目の前に廃村が出てきた。


「こんな所に村があったのか。でもワイトに支配されアンデッドにされてしまったってところか」


 不憫だが、仕方ない。顔も知らない誰かのために怒れるほど俺は聖人でもないのだ。


 俺は俺の目的を果たさせてもらおう。“超嗅覚”でワイトがいる位置は分かっている。あの1番大きい建物の中だ。おそらく村長の家だったのだろう。


 俺はその家の扉を開けようとした瞬間、“気配感知”が右後ろに働いた。だが、予想は出来ていたので、慌てず刀を振り下ろす。


『カキーンッ』という音と共に相手の姿が見えてくる。それはワイトによってアンデッド化された人間だった。


 鎧や剣を持っているのでここの村民かいるのかは知らないが、冒険者的なやつだったのだろう。


 だが、生前の身体能力はあっても思考能力がないし、やはり鑑定してもスキルは失われているようだ。スキルは死ぬと同時に失われるのかもしれない。


「ふっ」


 俺はアンデッドが、俺の刀に剣を弾かれてよろめいている間に首を断ち切った。


 アンデッドは首が切られない限り、動き続ける。それはこれまでのアンデッド戦で把握済みだ。


 そして俺は、また村長の家の扉を開けようとすると、何故か家の向こう側にどんどん遠ざかっていく匂いがある。


「ワイトめ!逃げ出しやがった!」


 俺は家には入らず迂回してワイトを追いかける。だが、ワイトも所詮は魔術師よりのステータスだからか、またはレベルが低いからか直ぐに追いついた。


「勝てないと分かればすぐ逃走か。潔いのは良いが追いつかれてちゃ意味無いな」


 俺の声には反応しないが、まぁいい。返答が帰ってくるとも思っていない。


 俺はその場で“火魔法”を放つ準備をする。本当は“光魔法”があれば1番よかったのだが、持っている魔物に出会えなかったのだ。なので“光魔法”の次に効くであろう“火魔法”で試してみる。


「燃えろ!」


 俺は掌から拳大の火の玉を数発、ワイトに向けて射出する。しかし、魔術戦はやはり向こうに分があるようで、全て躱されてしまう。


 だが、そんなことは織り込み済みだ。なんてったって、“火魔法”を使うのは初めてだからな!


 なんて粋がる事ではないのだが、俺はすぐさまワイトが避けた方に走り、刀を振るう。


 だが、ワイトは自分には効かないと思っているのか表情のない顔で嗤っている。その理由がこれだ。


 名前:ワイト

 種族:悪霊族

 Lv:42

 スキル:魔力自動回復Lv.5 物理透過Lv.6 死霊作製Lv.8


 確かにスキルはとても優秀だ。“死霊作製”とかいうスキルで味方を作っていたのだろう。


 だが、“物理透過”はパッシブスキルでは無い。タイミングを合わせて使わなければ普通にダメージを受けてしまう。


 それに俺の刀は特別製だ。斬りたいと思ったものを斬れる。全てではないが、斬れないものに会ったことは今まで無いのだ。


 そうしてワイトは何が起こったのか分からない顔をしたまま消えていった。


『経験値を獲得しました。スキル:簒奪により取得経験値が半減します。スキル:簒奪の効果により、スキル:魔力自動回復 物理透過 死霊作製を獲得しました』



 名前:日向 海斗

 種族:人間

 年齢:18

 Lv:60

 ステータス:体力872

  魔力956

  攻撃581

  防御594

  敏捷612

  知力643

 スキル:簒奪Lv.- 鑑定Lv.4 超嗅覚Lv.1 偽装Lv.1 暗黒魔法Lv.1 噛み砕くLv.2 気配感知Lv.7 身代わりLv.3 統率Lv.4 器用Lv.6 集団行動Lv.5 槍術Lv.3 剣術Lv.5 体臭遮断Lv.9 火魔法Lv.3 水魔法Lv.5 風魔法Lv.5 土魔法Lv.3 樹魔法Lv.4 弓術Lv.4 幻惑Lv.4 融体Lv.3 遠視Lv.4 鋼化Lv.5 俊敏Lv.3火耐性Lv.2 水耐性Lv.2 風耐性Lv.1 土耐性Lv.3 樹耐性Lv.3 光耐性Lv.2 闇耐性Lv.2 毒耐性Lv.3 麻痺耐性Lv.5 夜目Lv.3 体力自動回復Lv.7 自己再生Lv.6 斧術Lv.2 New魔力自動回復Lv.5 New物理透過Lv.6 New死霊作製Lv.8

 称号:簒奪者 強者食い


 レベルは上がらなかったが、求めていたスキルを獲得することが出来た。


 ちなみに称号にも効果があり、ユニークスキルを獲得した時や特別な条件を達成した時などに称号が追加されるようだ。


 称号:簒奪者 簒奪のスキルを獲得した際に得られる称号。奪ったスキルを対象者に適した形で使えるように調整される


 スキルとは本来、俺のように他者から奪うものではなく、自分で育て上げ、鍛え上げた先に得ることが出来るものなのだ。


 そのため、その本人に沿ったスキルの感覚になっている。そして、俺が“簒奪”によってそのスキルを奪った場合、他人に合わせたスキルでは俺が使い難いため、この簒奪者の称号により俺が使いやすいように合わせてくれるものだ。


 称号:強者食い 自分とLv.50以上離れているものを倒した時に得られる称号。自分より上のLv相手に対してステータスが少し向上する。



 あと、俺の持っている称号の効果はこのようになっている。この強者食いは獲得経験値が半分になる簒奪とそこそこ相性がよかった。


 俺はレベルは低いが、スキルによる手数の多さが武器なため、俺よりレベルが高いやつなど山のようにいたのだ。


 さて、欲しかったスキルも手に入ったことだし、そろそろ町に向かおう。ワイトを追っている時に、人間の匂いが多い場所を見つけた。


 なので、今日はこの辺りで一度休んで、明日その場所に向かうとしよう。


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