表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第3章
38/374

第35話 仲間を探して

 あれからダンジョンを抜けた俺たちはミアの居場所を探すため唯一の情報、【傲慢】の魔王について調べ続けた。


 しかし、人物名鑑のような本には当然載っておらず、そもそもこの世界の人々は地球の『七つの大罪』すら知らないので、やはり【傲慢】の魔王の情報はなかなか見つからなかった。


 しかし、その中でも得るものが無かったわけではなく、最も有力な情報として帝都の図書館の最深部には皇族のような貴族の中でも一部のものしか入れないエリアがあるらしい。


 そこには一般公開されていない情報もあるという噂を聞いた。


 俺たちはそこに一縷の望みをかけて現在、帝都に来ていた。


 情報を探すため色々寄り道をしたこともあって、すでにここまで来るのに2週間もかかっている。


【傲慢】の魔王がミアをどうするのかも、どうなるのかも分からないのでただただ焦りと嫌な想像だけが募っていく。


「また主さま考え込んでる...」

「...ごめん、サニア。ありがとう」


 あれから俺は不安を隠そうとするもののサニアにはバレてしまうようだ。


 今改めてもしあの時サニアがいなければ、サニアが殺されていたら俺はすでに正気ではいられなかっただろうと思う。


 俺は彼女たちを手に入れた最初の頃、正直敵を引きつける囮になればいいとしか思っていなかった。


 それが今となっては何をおいても探し出して助けようとしている。


「俺も変わったもんだな」


 俺の言葉を聞いて不思議そうに首を傾げているサニアを見て俺は何としてもミアを助けると意気込みを新たにした。


「さて、どうやって図書館に潜り込むかだな」


 さて、今俺たちはすでに図書館の近くまで来ているのだが、噂は本当なのか図書館というには大げさなほど門兵が多い。


 この世界の文献は一般には販売できるほど部数がなく、そもそもコピー技術もないので厳重になるのは分かる。


 それを抜きにしてもより厳重だ。実際、“鑑定”してみるとそのどいつもが冒険者としてBランクやAランクで通用するような者たちばかりだった。


 そしてさらに不運なことにそのどいつもが“偽装”などの隠れるスキルを見破るスキルを高レベルで持っている。



 それが俺が潜入を躊躇っている理由だった。



「どうするの...?」

「とりあえず夜まで待ってみる。それでなんとか切り抜けられるか見てみるよ」


 そうして夜、俺は昼にいた場所同じところへ来ていた。改めて門兵を見てみると、昼間と人は違うがスキルは似たようなもの。


 やはり一番警戒しているのは盗賊のような隠れられるスキル持ちということなのだろう。


 意を決した俺は“偽装”と“闇無”を使いつつ、Cランクダンジョンのボスから手に入れた棒術スキルの“軽身”で屋根を伝っていく。


 運良く見つからず、入れそうな窓を見つけ鍵を解除し、中へと入った。どうやら鍵も“罠解除”の効果内となるらしい。


「よし、潜入成功だな」


 またもや運が良いことに外にいるより中の方が人数は少ないようで、数人分の匂いしかしない。


 俺は目的の禁止エリアを探すため、一番警備が強い場所を探す。


 一部のエリアということは噂にあったが、どこにあるのかまではさまざまな情報が点在していたため、定かではなかったのだ。


 そこで、俺は匂いで一番人間が密集している場所である地下を目指すことにした。


 地図もないためやや迷った上、図書館の中を見回っている兵たちは全て外よりレベルが高く気が抜けなかったが、なんとか地下に向かう階段までたどり着いた。しかし...


「さて、ここからどうしよう...」


 ここが俺の求めていた禁書庫であることに喜ぶ暇もなく頭を抱えた。今俺の前の階段を下りた先にある扉の前には合計5人の人間がいる。


 そのうちの2人は扉を警備する兵士なのだが、そのほかの3人がまずい。2人が門兵よりも質の良さそうな装備をしており、そしてその2人を従えているであろう少女がいる。


 万が一を考えてここで“鑑定”をしてバレたくないので聞こえる範囲で話を聞いていたのだが、どうやらあの少女は皇族だそうだ。


 そして、夜中のこの時間に本来は禁止されているこの書庫に遊びに来たらしい。


 それを諌めようとする護衛と門兵と、強行突破で扉を開けさせようとするわがまま皇女のようだ。


「どうしようかな...」


 俺は今までも幾度となく“鑑定”を見破られてきたことはあったが、それでも俺の方が実力が上だったため、遠慮なく“鑑定”を使ってきた。


 しかし、ナバスを見てから俺は自信をなくしていた。


 俺より強者だったら。


 “鑑定”を使って万が一気取られたら。


 ここにあると思われる【傲慢】の魔王の情報が得られなくなる。

 ナバスの称号にあった『超越者』。


 これが関係しているのだろうが、能力が桁違いだった。あの時は余裕がなく、他の2人を“鑑定”することは出来なかったが、今から考えるとあの2人もおそらく実力を隠していたのだろう。


 そうして考え事をしているうちに5人とも居なくなっていた。扉の中へ入ったのだろうか。


 俺は慎重に階段を下り、扉の鍵を調べる。案の定鍵はかけられていた。


 なので俺は扉に不正に開けられた際に発動するような罠がないかをまず調べた。警備が厳重なせいかやはり罠は仕掛けられていたのでそれをなんとか解除する。すると罠が解除されると共に扉も開いてしまった。



 ...扉が開いたぞ?



 簡単に開いたことに一抹の不安を覚えながら、運が良かったと言い聞かせてそのまま扉の中へ入っていく。


 そしてどこに魔王の情報があるのかわからないので俺は偽装を保持したまま本を探っていく。



 それから十数分ほど探しているとわがまま皇女が奥から帰ってきた。


「何にも面白いものないじゃない!みんなが隠すから面白いものあると思ったのに!」

「ここは禁書庫なんですって言ってるじゃないですか...」

「知らないわよ!本ばっかりでつまんない.......、ねぇライド?ちょっと耳貸して」


 ん?急にわがまま皇女の声が聞こえなくなった。ここからだと書棚でわがまま皇女の様子は見えないからな。


 匂いでどの辺りにいるのかはわかるが...と思っているとひとりの護衛がこちらに近づいてきていることに気づいた。


 見つかったのか?!何も痕跡は残していないはずだが...。


 もし、こちらの方に何か求めるものがあるなら全員ではないにしろそれなりに引き連れてくるはずだ、それか単にパシらされているか。


 だが、この近づいてくる護衛の動きは何かを警戒しながら動いている。どう撒くべきか...。


「おい、そこを動くな。何者だ?」


 !しまった!


 俺に近づいてくる方に意識を向けすぎて俺よりレベルの高い“看破”持ちの可能性を考えていなかった。


 こうなってしまった以上俺はおとなしく指示に従う。ならささやかな反撃として“鑑定”させてもらおう。“鑑定”は体を動かす訳ではないしな。



 名前:ライド・タリネス

 種族:護人

 Lv:386

 ステータス:軀力36523

  咒力34965

  剛撃39625

  堅禦35421

  閃煌37620

  賢智35487

 スキル:護皇Lv.- 剣聖術Lv.10 偽装Lv.9 剛力Lv.10 瞬動Lv.10 天眼Lv.6 飛裂Lv.10 刹那Lv.7 重斬Lv.8 反撃Lv.7

 称号 限界突破者 超越者 皇を護る者 剣の寵愛 力の寵愛 速の寵愛



 あぁ、やっぱり超越していた。だが、こいつは看破系を持っていなかった。ならどうやって俺の居場所がバレたんだ?


「面白そうなのみーつけた!あんたなんでこんなとこにいるの?」

「お嬢様あまり近づかないように」


 剣を首筋に当てられているので動こうにも動けないのだが、たしかに魔法なら動く必要ないもんな。死にたくないから使わないけど。


「余計なことしないでよ、ライド。剣を下げて。もし襲ってきたなら殺していいけど今はダメ」

「はっ。かしこまりました」

「ねぇあんた。ここで何してたの?答えによってはいいようにしてあげてもいいわよ?」


 さて、ここでどう答えるかで俺の未来は変わる。


 一番最悪なのはミアを助けられず、サニアにも会えなくなることだ。


 だが、ここでサニアを呼んでもダメだ。まずここまで来られるかわからないし、そもそも俺でさえ勝てない奴らにサニアが勝てるわけもない。


 俺は一種の賭けではあるが、正直に話してみることにした。


「勝手に侵入したことは申し訳ない。だが、俺には魔王の情報が必要だった。それも一般の人間が知らないような。そのためにこの禁書庫に入る必要があったんだ」

「ふーん。つまんない理由ね。で?その魔王って誰なの?」

「それはわからない。だが、【傲慢】の魔王と呼ばれていた」


 その名前を言った途端、彼女たちの表情が変わった。まるで積年の恨みを抑えきれないような、いや、抑える気すらないような。


「...へぇ、面白そうじゃない。いいわ、あんたにそいつのこと教えてあげる。あたしと来なさい」

「お嬢様!それはいけません!最重要機密ですよ?!こんなどこのやつとも知れぬものに...」

「あたしの言うこと聞けないの?」

「こればかりは諫言せぬわけにはいきません」

「...ふん。あたしの勘よ。これでもまだ文句ある?」

「..........わかりました。ただ皇には報告させていただきますよ」

「ちっ、わかったわよ。ほら!あんたも行くわよ!」


 未だ護衛たちが俺を睨みつけつつ警戒している中、何かを思いついたかのような顔で、徐にわがまま皇女が近づいて俺の耳に顔を寄せて一言ボソリと呟く。




「あたしを視たら殺すから」

ブクマとチャンネル登録よろしくね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ