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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第8章
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第250話 目覚め

「うっ……」


 瞼に差し込む光に目が痛くなる。それで自分が眠っていたことに気づいた。俺は光に目を慣らしながらゆっくり開くと、目の前には透明な窓ガラスに燦々と照りつける太陽が見えた。


「まぶ、し……、ごほっ」


 光から目を手で隠そうとしたが、手が動かない。それに咄嗟に出た言葉も喉が締まりきってうまくつむげず、咳き込むだけだった。


(何が、どうなってる?)


 俺は改めて周りを確認しようとするが、首さえも上手く回らないことに気づいた。だが、そのおかげか、俺のそばに誰かいることにも気づけた。


(テミス?)

「テミ……、けふっ!」

「んぅ……?……っ!カイトさん!!」


 やはり声が掠れてほとんど喋れなかったが、どうやら俺のそばにいたのはテミスで間違いないらしい。はっきりとは見えないが、視界の端に見覚えのある姿が映った。


「カイトさん!よかった、目を覚ました!!今みんなを呼んできますね!!何か欲しいものはありますか?なんでも言ってください!」

「み、水……、ごほっごほっ!」

「あ、ご、ごめんなさい!そうですよね、一ヶ月以上も眠ったままなんじゃうまく喋れないですよね……。分かりました!お水ですね!それと消化にいいものを作ってきます。食べられたらでいいので!それでは、少し待っててくださいね!」


 まくし立てるように言って、テミスは部屋を出て行ってしまった。俺は未だに状況をうまく理解できていなかった。けれど、テミスのある言葉が頭にこびりついていた。


(一ヶ月……?)


 一ヶ月。一ヶ月とテミスは言った。何から一ヶ月なんだ?記憶が曖昧でよく思い出せない。俺が思い出せる最後の記憶は……。


(実験施設の、水槽……?!)


「うぐっ!」


 蘇った記憶に驚き、反射的に体を起こそうとして激痛が走る。それによって一瞬だけ浮き上がった体は、またベッドに帰ってきた。


(そうだ。俺は実験施設の水槽に閉じ込められて、それで……、テミスたちは……。テミス、たちは……?)


 俺は頭が混乱した。記憶が正しければ、彼女たちは俺の前で殺された。いや、正確には既に殺された死体を、奴らは嘲り弄んだ。まるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように。


 でも今、俺の視界ではテミスが生きていた。それに動いていた。なら、みんなというのは……。ミユやテミス、メイコも生きているのだろうか。


 それとも、これは走馬灯というやつなのだろうか。それか天国に行く前の幸せな夢というやつか。いずれにしても目の前で起きていることが信じられなかった。


 正直、水槽の中からテミスたちが嬲られているのを最後に記憶がない。ところどころ、俺が見た覚えのない記憶も出てくる。そこには、もう会えないはずの日本にいる友達の顔が見えたような気がした。


(これは、俺、死んだかな)


 あまりにも突拍子のない記憶が散乱しすぎていて感情が追いつかない。懐かしさより戸惑いの方が大きかった。そしてそれが余計に現実感を無くしていた。


(テミスにもミユにもサニアにも、あまり報いてあげられなかったな……。シルフィにも悪いことをした。それにミアやラミー、キノも……)


 一度考え出すと止まらない。どうしようもない後悔が湧き上がる。彼女たちとの思い出が目まぐるしく思い浮かんでは消えていく。死ぬ間際に走馬灯を見るとはよく言うが、こんな感じなのだろうか。


(体は痛くない。というか、鈍い。痺れているような感じか。感覚があるってことは死んでないのか?それともそう錯覚しているだけか?)


 思考の坩堝に入りそうなことには気づいていたが、首も動かせず天井を眺めるしか出来ない俺は、そんなくだらないことを考えていた。


「カイトさん、起きてますか?体は動かせそうでしょうか?」


 それからどれくらい時間が経っただろう。水と何か食べ物を作りに行っていたテミスが帰ってきた。その手に持つお盆の上には、水の入った水筒のようなものとおかゆらしきものが見えた。


「あ、あり、ごほっごほっ」

「あぁ!大丈夫ですよ!“念話”で喋ってください。ずっと寝たきりでしたから、まだしばらくは体が動かせないと思います。その間に、ここで何があったかお話いたしますね」

(ごめん、頼んだ)

「はい!」


 テミスに言われるまで、“念話”があることに気づかなかった。それだけ、俺の頭は混乱していたのだろう。そして、ようやく俺は、今目の前の出来事が現実である実感を得たのだった。




(もう日が暮れるな、早いもんだ)

「そうですね。そろそろミユさんたちも帰ってくる頃です。先程カイトさんの状況を二人に伝えたので、すぐにでも戻ってくると思いますよ」

(あぁ、ありがとう。少し疲れた、ミユたちが帰ってくるまで、もう少し寝ることにする)

「分かりました。では、ミユさんたちが帰ってきたらまた起こしにきますね。それでは」


 そう言ってテミスは部屋から出ていった。まぁミユとサニアのことだ。あまり長くは眠れないだろう。俺は今のうちに目を瞑ることにした。


 目を瞑ると、テミスから聞いた話を思い出す。


 何があったか、何が起きたかは全て聞いた。俺の姿、俺の力、神の出現、この国の現状、今いる場所、経った時間、【怠惰】の魔王カイニスのこと、そして、メイコのこと。


 一度に処理しきることは到底不可能な内容だった。それにテミス自身も聞いた話が混ざっていたため、その辺りの詳細はカイニスに聞かなければならないだろう。


 ひとまず、俺の仲間が無事だったことは安心した。けれど、メイコのことは未だショックを隠しきれない。


 それに俺がどんな姿になってどんな力を使ったのか。その一部始終をテミスは見ていないものの人間を超えた力であったことは確からしい。


 その上、テミスに言われて確認してみたが、俺のステータスはさらに異常なことになっていた。


 まず、知りもしないスキルが多数ある。そしてその他のステータスや称号は一部が見えなくなっていた。レベルも今までとは比較にならないほど上がっていた。


(はぁ。強くなりたい、とは常日頃から思っていたが、こういう形で得る力は喜ぶ気になれないな)


 テミスに聞いた話から推察するに、これほどまでに劇的にステータス・レベル・スキルが異常に増えたのは、この街の住民をほとんど消し飛ばしてしまったからなのだろう。


 俺たちが今いる場所は、もともと【怠惰】の国があった場所だという。そして、そこはこの国の首都だった。住民も多くいたはずだ。


 であれば、この力の異常さは推して知るべしであろう。


(あぁ、疲れたな。こんなに体力なかったっけ)


 俺は迫る眠気に逆らわず、意識を闇に落とした。

名前:日向 海斗

 種族:人魔族

 年齢:20

 Lv:2735

 ステータス:軀力283251

  咒力289&@3

  剛撃279658

  堅禦27¥”31

  閃煌289635

  賢智291¥?”


スキル:

《特》簒奪Lv.- 皇之眼Lv.-宣実強制Lv.- 領域選定Lv.- 異憶復元Lv.- 星詠廻転Lv.- 呪詩刻印Lv.- 傲慢Lv.- 彗燼瀑隕Lv.- 憤怒Lv.- 強欲Lv.- 賽子命操Lv.- 暴食Lv.- 嫉妬Lv.- 隠陰殲忘Lv.- 地獄道Lv.- スキル統合Lv.- 対守勢Lv.- 色欲Lv.- 毒龍之躯体Lv.- 超再生Lv.- etc……


《武》武聖術Lv.-


《魔》炎雷之御手Lv.- 天獄魔法Lv.- 魂縛魔法Lv.- 七天魔法Lv.- 極氷魔法Lv.10 大地魔法Lv.10 自然魔法Lv.10


《耐》完全躯体Lv.-


《常》完全感知Lv.- 軀力特自動回復Lv.10 咒力特自動回復Lv.10 剛力Lv.10 頑丈Lv.10 瞬動Lv.10 博識Lv.10 精密Lv.10 身代わりLv.3 繁栄Lv.10 予知Lv.10 秘書Lv.10 環境適応Lv.8 思考分割Lv.8 etc……


《能》完全偽装Lv.- 戦王之威厳Lv.- 蝶謀之徒Lv.- 属性吐息Lv.- 罠師Lv.- 変幻体Lv.- 感応術Lv.- 全鑑定Lv.10 集団行動Lv.7 物理透過Lv.6 死霊作製Lv.8 無限倉庫Lv.10 支配Lv.4 精力増強Lv.10 骨眷生成Lv.5 地震Lv.5 研究Lv.8 入替Lv.10 吸血Lv.10 木葉隠れLv.10 毒血玉Lv.10 etc……


《武技》

[剣]刹那Lv.10 Up反撃Lv.10 飛裂Lv.10 Up重斬Lv.10 Up閃断Lv.10

[槍]風車Lv.10 閃雷Lv.10 重突Lv.10 磊落Lv.10 猛進Lv.10

[斧]Up剛断Lv.10 New崩震波Lv.10 Up柔盾Lv.10 New重断Lv.10 New絶破Lv.10

[闘]Up覇轟Lv.10 崩天Lv.10 Up覇墜Lv.10 崩拳Lv.10 断脚Lv.10

[槌]Up重撃Lv.10 Up彗落Lv.10 剛打Lv.10 Up烈破Lv.10 超力Lv.10

[棒]破突Lv.10 無身Lv.10 瞬破Lv.10 居落Lv.10 絶打Lv.10

[弓]Up狙撃Lv.10 纏矢Lv.10 Up幻矢Lv.10 剛射Lv.10 Up天穿Lv.10

《補》採取Lv.10 伐採Lv.10 農業Lv.10 Up採掘Lv.10 Up解体Lv.10 Up運搬Lv.10 etc……


称号:『簒奪者』『強28,¥』『限界突破者』『超越者』『透破者』『六道一者』『憶復者』『星を識る者』『智慧者』『呪刻者』『七罪六者』『臨0&)5者』『古代を訊く者』『異に耐える者』『武を知る者』『魔を知る者』『嗅知者』『槍の寵愛』『槍技覚者』『剣の寵愛』『嵐の寵愛』『弓の寵愛』『速の寵愛』『嵐の加護』『闘の寵愛 』『栄える者』『力の寵愛』『9)&¥者』『&”者』『域選者』『全鑑者』『全視者』『魔創者』『眷43/:;』『炎の寵愛』『氷の寵愛』『地の寵愛』『然の寵愛』『聖の寵愛』『闇の寵愛』『魔の極致』『闇覚醒』『賜の寵愛』『魅の寵愛』『偽欺者』『;(7者』『咒の寵愛』『舞&!』『識の寵愛』『軀の寵愛』『獄なる炎覚醒』『棒の寵愛』『剣技覚者』『防の寵愛』『¥&@者』『転使者』『変替者』『槌の寵愛』『弓技覚者』『武の極地』『@¥?.手』『瀑0@&』『聖覚醒』『魄なる雷覚醒』『操命者』『槌技覚者』『(4:)血』『陰滅者』『闘技覚者』『毒奏者』『刃毒者』『七天を¥7(;4者』『@7者』『斧技覚者』『ヤクビョウガミ』

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