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黒隻の簒奪者  作者: ちよろ/ChiYoRo
第1章
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第15話 覚悟を決めるとき

YouTubeでゲーム実況してます!


同じ名前なので、ぜひよろしくお願いします!

 あれからどれくらい歩いただろうか。


 至る所にある町の家屋や柱を使い、俺の持てる力全てで隠れて着いた先には、城というにはみすぼらしいが、周りの家屋よりかは大きい建物があった。


 その建物の中へと入って行った3匹を追って、俺もその建物の中へと入っていく。


 ホブゴブリンロードは抱えていた3人を部下に渡して、建物の中へと消えていく。


 そこで、どちらについていくか迷った俺は、1番位が高いであろうホブゴブリンロードをつけることにした。



 ...この時まだ俺はどこかで、どうせ誰にも負けることは無いと思っていたのだろう。だから強い方についていくことを決めたんだ。



 ホブゴブリンロードは階段を登り、一つの部屋へと入っていった。


 念のため俺はその部屋には入らずに覗き、中にいる一番大きな椅子に座っているやつを“鑑定”してその場を離れた。



 名前:ホブゴブリンキング

 種族:小鬼

 Lv.93

 スキル:大王之令Lv.- 闇腕Lv.9 衝破の魔眼Lv.10 完全感知(偽)Lv.-



「笑ってやがった...」



 俺はすぐに階段を降り、キュレイたちの元へと走った。もう倒すことなど考えられなかった。


 すぐにキュレイたちを連れて、ここから離れなければならない、俺はそのことしか考えられなかった。


 なぜなら、やつは俺の“鑑定”を“感知”して、俺の実力を分かった上で、あえて俺にステータスを見せてきた。“鑑定”を弾くこともできたのにだ!


 もともと俺がホブゴブリンロードをつけていたことには気づいていたのだろう。


 俺はすぐさまキュレイの匂いを辿って地下の牢屋の前にたどり着いた。俺は“偽装”をしつつ、門番を倒す。


『スキル 闇討ちを獲得しました。』


 おっ、自力習得はこれで二度目だな。おそらくこの間の“集中”と同じく、シャドウウルフ戦の時から経験値が溜まっていたのだろう。


 スキル 闇討ち 相手に気づかれていない状態からの攻撃力に補正がかかる。


 この戦い方は俺のメインなのでこのスキルはありがたい。門番から鍵を奪って鍵を開け、“水魔法”でキュレイたちに『気つけ』をする。



 俺は一刻も早くこの建物、いや、この町から脱出したかった。


 俺は目を覚まして現状を理解していない3人を引き連れて、横の壁から“大地魔法”で穴を開けていき、ゴブリンたちのいないところを“看破”と新たに手に入れた“直感”で探しながら外へ出た。


 やはりこの城のようなものは町の一番端だったようだ。



 俺は追手やほかの魔物たちの気配を探りながら、馬車へと向かったが、不自然なほど何も起きなかった。







 ようやく馬車についた俺たちは、すぐにその場を後にし、ギルドへ向かいつつ、敵の戦力や何が起こったのかの情報共有を行った。



「ありがとう、カイト。君がきてくれなかったら全員死んでいた」

「あぁ、あいつらはおかしい。“鑑定”で見たが、おそらく町のゴブリンとコボルト全てが進化している」

「なっ!んだって...。町のゴブリンとコボルトが全て進化している...?しかし、確かに僕たちが戦ったものたちは強かったが、それでももっと数を揃えれば勝てる相手だった。それこそ君なら!」

「確かに正直キュレイたちが負けた奴も俺なら倒せるだろう。だがボスは無理だ。名前はホブゴブリンキング。図書館に行った時に知ったが、ここ数百年現れていない、もはや幻やおとぎ話とまで言われたキング種、それもその進化個体だ。本来なら俺ですら“鑑定”が出来なかったはずだ。それをあいつは俺が“鑑定”していることを見抜いた上でステータスを見せつけてきやがった」



 俺は手の震えが止まらなかった。キュケの森での激闘を経て、強くなったと思っていた。


 確かに俺がいた場所よりもさらに奥には危険な匂いが多数したので、やつはそこの魔物よりははるかに弱いだろう。


 だが、その奥の森の奴ら以外なら正直負けることはないと侮っていた。


 結局、4人ともこの先どうするかの具体的な策は出ないまま、ギルドへと着いた。




「うーむ。サニアくんからも聞いていたがそこまでとはな...。町のゴブリンとコボルトが全て進化個体、そしてロードたちや役職持ちが部隊長レベルで、その頂点がもはや伝説とされたキング種、それの進化個体か...。下手をすると国が軍を動かすレベルじゃぞ。よく帰ってきてくれた、ゆっくり休んでくれ。そして、すまんがカイトくんはまだもう少し残ってくれ。少し話したいことがある」





 そうしてみんなは俺とサニアとギルドマスターを残し、帰っていった。


「ギルドマスター、話とはなんですか?」

「うむ。今回の件、わしが思うにもはや戦うなど無理じゃ。おそらくそう遠くないうちに町を放棄せざるを得ないじゃろう。じゃが、わしはこの町が好きじゃ。そして、ここに住んどる皆もそうじゃと思う。じゃからわしは戦う、それに町の者も同じ想いを抱いてくれていると信じておる。...本当はこんなこと、ギルドマスターのすべきことではないんじゃが、もともと君はこの町の人間ではない。そこで、君たちには逃げて欲しくてな...」


 話の途中から半ば予想できた内容だが、いざ口に出されてしまうとショックを受けてしまうのは、やはり俺もこの町のことが好きになっていたからなのだろう。


「俺もまだこの町に来てから日が浅いですが、ここの人たちはとても好きですよ。なのでみんなを見捨てて逃げる事はしたくありません。なので戦う時は一緒に戦います」

「...ふぅ、わしはギルドマスター失格じゃのう。君の覚悟を踏みにじるようなことをしてすまなかった...」

「いえ、ギルドマスターこそ俺たちの身を案じてくれてありがとうございます」




 その時、町中にサイレンが鳴り響いた。それと同時にギルドマスターの部屋の扉が勢いよく開かれる。




「ギルドマスター!!キュケの森西奥から多数のゴブリンとコボルトが攻めてきます!」

「もう来おったか!ま、待てカイトくん...、行ってしもうた...」






 その報告を聞いた俺はすぐにギルドの外へと飛び出し、全速力で検問の外へと飛び出した。


 目の前の森の奥から激しい土煙が見える。一応ギルドへと向かう馬車の中で考えていたことはある。


 そして、今それができるかどうかを考えている暇はない。


 この考えている策が通じなければ俺を含めた町の人々が死ぬだけだ。




 俺はいつのまにか好きになっていた人々を守るために、手の震えを無視して握りしめる。








「さぁ...生きるか死ぬか。やってみようじゃないか」


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