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みんなでカレー作り

 お腹がすきました。というわけで、カレーを作ってみたいと思います。生憎市販のルーが使えないので、今回はインド風カレーです! 作ったことないけどね!


 わたしは以前テレビでみたインドカレーの作り方を思い出していく。細かいところは覚えていないが、インド()カレーなので、少々違っていても問題はない。あ、わたし別に料理ができないってわけじゃないからね? ちょっと細かく切ったりするのが時間掛かるだけだから!


 おばあちゃんとルークスとカイン君がチーズナン係! わたしとエステラとゴブリンがカレー係です! それでは張り切って参りましょう! 


 普段からパンを焼いているおばあちゃんに、チーズナンの簡単な作り方を説明する。おばあちゃんはそれだけで要領を得たらしく、ルークスとカイン君に指示を出しながら小麦粉をこね始めた。……ここは任せて大丈夫そうだな。


 カレー係のわたし達は野菜の下ごしらえからだ。エステラにカレーに使う野菜を刻んでもらう。包丁はエステラの方がうまいからね。適材適所ってやつだよね。わたし? わたしが得意なのは……灰汁とりと味見……かな。


 ザザが持ってきてくれた鳥はまだ羽がついたままだったので、これはゴブリンにお願いしてむしってもらった。ごめんなさい。わたし、無理でした。でもでも! わたしだってちゃんと役に立ちました! なんと、井戸の水を自分一人で汲むことができました! ……杖を使ってね。釣瓶を潰してしまわないように力加減を調節しなければならないが、慣れてしまえば本当に便利だ。マジックハンドワンドって名前つけようかな……。


 そうだ。名前と言えば、ゴブリンにも名前を付けてあげた方がいいよね。ゴブリンって呼ぶのって、わたし達が人間って呼ばれてるようなもんだもんね。うーん、何が良いかな……ゴブ太、ゴブ平、ゴブ吉とか……みんなにも聞いてみよう。


「ゴブリンの名前? そうだなあ……イグナシオなんてどうだ? 強そうだろう?」

「うーん、ゴゴは? 覚えやすいよ」

「そうねえ、ゴブルなんてどうかしら?」

「わたしも考えるのかい? ……チコリなんてかわいいんじゃないか?」


 よし、この候補の中から、ゴブリンに気に入ったものを選んでもらおう! わたしはゴブ平にしたよ!

 さあゴブリン! どの名前がいい!?


「……チコリ」


 ぐはあ! まさかのかわいい路線できたか! んーでも似合ってるよ! ゴブリン背が低いしね! ちっちゃいもんね! チコリって感じ! というわけでゴブリンの名前はチコリに決定しました!


 エステラが野菜を切り終わったので、いよいよカレー作りだ! わたしはたっぷりと油を引いた鍋にホールスパイスを入れてひたすら炒めていく。熱を加えると、一層香りが強くなり、わたしの鼻腔を刺激する。うわーいい匂い! これは空腹との戦いだ……。


 エステラが切ってくれた玉ねぎも加え、更に炒めていく。その間にエステラには、チコリが羽をむしってくれた鳥を捌いてぶつ切りにしてもらう。ごめんなさい、わたしそれも無理です。


 ザザがくれた鳥は、思いのほか脂が乗っていて柔らかそうだ。野鳥ってもっと筋が多くて硬いのかと思ってた。チキンじゃなくてもおいしそう! わたしの中でのザザの認識は、嫌なやつから割と良い奴に上方修正されていた。……カイン君が熱病にかかって、自分の娘を心配してたザザの気持ちが少し分かったからね。

娘さんにとっては、優しい良いお父さんじゃないか。……第一印象は最悪だったけど。


 玉ねぎが良い色になってきたので、トマトと香味野菜を加え、また炒める。次に残りの粉状スパイスと塩を加え、炒める。そこに肉を加え、炒める。最後にじゃがいもを加え、ひたすら炒めていく。もうずーっと、炒めっぱなし。しーっかり炒めたところで、ようやく水を加え、煮込んでいく。ここからがわたしの得意分野! ひたすら灰汁とりだ。


「いい匂いだねー」

「ほんとね。これ、なんていう料理なの?」


 匂いにつられてカイン君もやってきた。料理好きのエステラも知らないってことは、カレーって一般的じゃないのかな? 「カレー」という単語自体初耳らしい。確かゲームの中で作れるレシピにはあったんだけど……。土の島に行けばお米もあるはずだから、日本のカレーライスも作ってみたいね。じゃがいもや玉ねぎなどの基本的な野菜は、日本と同じ物が普通に売られているので本当に助かります。ルーも小麦粉があれば……エステラがなんとかしてくれるかもしれない。わたしはしゃばしゃばカレーも好きだけどね。


 丁度チーズナンも焼きあがったところで、カレーの完成です! 人数が多いので、外で食べることにしたよ! おばあちゃんに見られないようにして、わたしは創造で作りだしたテーブルと椅子、人数分の皿とコップとスプーンを並べた。……ルークスのアイテムバッグから出したってことで、説明がつく……よね? テーブルのセッティングが出来たところで、みんなを外に呼んだ。


「「「「いただきまーす!」」」」


 アツアツのナンを手でちぎると、とろ~りチーズがこんにちは! チーズ大好き! 生地もしっかり発酵させてあって、もちもちふわふわ! ちょっと焦げてるところも香ばしくておいしい! 流石おばあちゃん! 


 カレーは? カレーはどうだ? まずはスプーンですくって一口。……うわー、ちゃんとカレーの味がする……! スパイスが違うせいか、食べなれた味ではないけど、これはこれでおいしい! 辛味、苦み、香り、清涼感、コク、すべてが一体となって舌に押し寄せてくる……! うまい、うまいぞ……!


「これ、うまいな! 別々に食べてもうまいけど、こうやってつけて食べるともっとうまい!」

「ちょっと辛いけど、辛さの中に旨味があるわね。おいしいわ」


 気に入ってもらえて何よりだが、それにしてもルークスとエステラの食べるスピードが半端ない。カイン君がナン半分を食べている間に、二人はおかわり二回目だ。沢山あるから大丈夫だけど、喉につまらせないようにね。わたし経験者だけど、チーズが喉にひっかかるのって、めちゃくちゃ苦しいからね。


「ふうむ……薬をこうやって食べる方法もあるのだな……これはなかなか……」

「おいしい! これ、おいしい! おかわりもっと!」


 おばあちゃんもチコリも喜んでくれている。薬師のおばあちゃんはスパイスの効能も把握してるだろうし、味だけじゃなくて、体に良いカレーも作れるかもしれないね。


 カイン君もにこにこしながらカレーを食べてくれている。みんなで食べるご飯って、おいしいね。

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