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機械仕掛シリーズ

退屈な世界

作者: 桃芳亜沙華

 暇だ。

 管理者という存在に自我を持たせた結果がこれだ。


 暇だ。

 世界の理を創り、崩壊までを眺めるだけの仕事。



 暇だ。

 ここには時間という概念はあって無いようなもの。



 暇だ。

 まったく、嫌になる。世界を創り、崩壊を待つ。それだけの繰り返し。何回、何十回、何百回、何千回、何万回、何億回繰り返しただろうか。



 暇だ。

 自我を持った初めのうちは楽しかった。崩壊を先延ばしにする方法、世界の繁栄、衰退。それらを眺めているのが楽しかった。



 暇だ。

 管理者は、自分の世界に手を出す事は許されない。そう決まっている。何度か、興味本意で触れようとしたが、見えない何かに阻まれ、それは叶わなかった。



 暇だ。

 一体どれ程の管理者がいるのか。少なくとも、自分だけではないようだ。



 暇だ。

 我らに与えられた仕事は、世界の管理。誰に与えられたのかは分からない。自我を持った時にはそれが仕事であると認識していた。



 暇だ。

 延々と、永遠に待ち続けるのが我らの仕事。失敗は無い。どんな世界だろうと、それが一つの正解なのだ。



 暇だ。

 また一つ世界が崩壊した。空いた空間にまた世界を創らなくては。




 暇だ。

 何故、自分は自我を持っているのか。自我を持っていたところで、もう同じような作業を繰り返すだけ。



 暇だ。

 もしかしたら、我らが存在しているこの場も、我らのような存在が管理しているものなのかもしれない。その可能性は否定出来ない。だからといって、何が変わるわけでもない。



 暇だ。

 世界の始まり、世界の終焉。我らの世界にも始まりは存在し、始まりが存在するという事は、終焉も存在するのだろう。いや、終わりが無いという終焉なのかもしれない。嫌だな。



 暇だ。

 一つ、気になる事が出来た。



 暇だ。

 我らの共通認識である、自分の世界に手を下す事は許されないというもの。世界にではなく、自分の世界には手を出せないという事なのだろうか。もし、そうであるならば……



 暇だ。

 我の届く距離に一つだけ、自分のものではない世界を見つけた。この考えは、間違っているのか。



 暇だ。

 我は世界に触れた。




























 






















 世界は、管理者の存在と引き換えに、僅かに歪んだ。それもまた、瞬く間に修復される。

 そして、何事も無かったかのように、世界は進んでいく。

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