クリスマスパーティ開催
建物を飛び越えて我が家へ数十秒で向かうと、閉店の看板をぶら下げた店の姿が視界に映る。
その横でぴょんぴょんとステップを踏むルドルフと、そばでのどを鳴らして動かないコメットは、僕を見つけると各々のスピードで僕へと歩み寄ってきた。
「おー、留守番ご苦労だったな。さあ、そろそろ時間だから、お前らも行くぞ」
「♪」
「ギエエエアアア!」
「ちょっと待ってろよ」
二匹を待たせて店の中のリビングへと向かう。
まっすぐキッチンへいき、冷蔵庫の扉を開ける。
我が家の大きな冷蔵庫の中には、冷蔵庫の役割を果たすための氷の魔法を込めた道具が隅にあり、真ん中には大きなケーキが鎮座して僕を待っていた。
「相変わらずすごい出来だ」
そのすごい出来のケーキはさすがにサンタクロースの袋に入れることはできないので、両手で抱えて慎重に階段を下る。
「お待たせ、それじゃあ行こうか」
近くに置きっぱなしのそりの後ろの席に丁寧に乗せて、前の席に飛び乗る。
ルドルフはそりを引くと、そりは宙を舞う。
「コメットは、、乗せられないから、歩いて来れるか?」
「ギアアアアアアア!」
コメットはいつものように不気味な鳴き声で答えると、普段ののろさからは考えられないスピードで路地を駆けていった。
「おい、まだ道教えてないんだけど、、まあいいや。ルドルフ、頼んだぞ!」
「♪」
空はすでに星がきらめき、街の明かりがつき始める中、ケーキを見ながらゆっくりと孤児院へと向かった。
――――――
「ようこそいらっしゃいませ」
「え?えっと」
チビたちと帰ってきた姉ちゃんは俺のウェイター姿に戸惑っているようだ。
どうだ、決まってるだろ?
やっぱサンタは一緒じゃないか。
今頃ケーキを運んでるだろうな。
「お客様方、本日の招待状をご提示ください」
「招待状?なにそれー?」
うん?
まさかサンタのやつ、入れるの忘れてきたか?
流石にそれは冗談きついぞ、、?
「招待状?…あら、これは、、?」
姉ちゃんがポケットから手作り感満載の紙束を取り出す。
良かった。あったみたいだ。
サンタの野郎、気づかないように忍ばせるなんて、粋な計らいしやがるぜ。
「はい、確認しました。それでは中へどうぞ」
「私の家なのに、、、」
そんな顔するなよ。サプライズなんだからよ。
とりあえず適当にお辞儀をして、奥の食堂に逃げ出す。
食堂ではマイとリィナが二人固まって最終確認をしていた。
「おい、マイ。準備はいいか?」
「やっと来ましたか?こっちはいつでも大丈夫ですよっ!」
「よし、後はリィナ。頼んだぜ!」
「が、頑張るから!」
「わー、すごーい!」
「きれいな飾り!」
「この料理、おいしそうだね!」
ぞろぞろとチビたちが来て席に座りだす。
目の前の料理とあたりの飾りに興奮しているようだ。
みんなが座ったあたりで、リィナが声を張り上げた。
「え、っと!本日はお集まりいただき、ありがとうございます!今日は日ごろの感謝をこめて、クリスマスパーティを開催することにしました!心ゆくまで、楽しんでください!」
日頃の感謝って。それ俺とマイのセリフだっての。
よくわからないテンションで、チビたちからは拍手喝采が起こる。
「まずは目の前の料理をお楽しみください!両手を合わせて、、、いただきます!」
「「「いただきます!」」」
そこはメリークリスマスだろ。
意味は分からないけどな。
「ラスト。行きましょうっ」
「おう、そうだな」
リィナの進行が終わり、みんながみんなにぎやかな雰囲気で料理を口にする。
その騒ぎに紛れて、マイとともに中庭へと向かった。
もう中庭にいるはずの、あの赤い帽子を探しに。
ご覧いただきありがとうございます。




