表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ、ファンタジー世界へ。~赤い帽子とトナカイの物語~  作者: zienN
最終章:サンタクロースの仕事
82/95

義理の兄

「あー、お兄ちゃんとお母さん!やっときた~」


広場では子どもたちが集まって何やら話し合っていて、僕たちを見つけるとわらわらと駆け寄ってきた。

ゆっくりと道行く人にポーションを配り歩いていたおかげで時間がかかってしまった。


「おー、待たせたな。それで、プレゼントは用意できたか?」


「うん、この通り!」


全員がそれぞれ袋をもって誇らしげに見せてくる。

どうやら普通に買えたみたいだ。


時刻はすでに17時40分。

そろそろ向こうも準備ができてるだろうか。


「よし、それじゃあ今日は帰ろうか」


「「はーい!」」


―――――――


帰る途中、僕の隣に駆け寄ってきた女の子が僕の右手を握る。


「ん?どうした?」


「おかあさんの手が空いてないの、、」


後ろを振り返ると、ユウリッドさんの両手はすでに埋まっており、小さな子どもは少しだけ悲しそうな顔をしている。


「なるほどなあ。ま、ユウリッドさんがいるから誘拐には思われないだろ。僕の手なら好きなだけ握っていいよ」


「えへへ、ありがとう」


「あ、ぼくも!」


「わたしも!」


うらやましいと思ったのか、他の子が僕の袋を持った左手を狙って駆け寄ってきた。


「おいおい、、仕方がねえな」


一人を肩に乗せて、袋を持ちながら左手で他の子の手を握る。


「ふふ、サンタくん、この子たちのお兄さんみたいね」


後ろを歩くユウリッドさんがにこにこしながら僕に言う。


「いつの間になつかれたんですかね」


「本当にお兄ちゃんになってくれればいいのにな~」


右手の女の子が独り言のように言う。

そうか、みんな子どもだし、歳の離れた兄貴というやつにあこがれはあるんだろうな。


「ま、血はつながってないから、本当の兄ちゃんにはなれないけど、義理の兄ちゃんにだったら、なってやるよ」


「本当!やった~」


「じゃあ、これからうちで暮らすの?」


肩に乗る子が帽子を精一杯つかみながら聞いてくる。


「んー、僕も仕事があるから、一緒には暮らせないなあ」


「えー、それじゃあいみないじゃん!一緒に暮らそうよ~」


子どもたちのブーイングの嵐。

なんだよ、お前ら、いつから僕になつき始めたんだ?


「えーと、、」


「ほらみんな。サンタくんも困ってるから、やめなさい」


「「えー」」


ユウリッドさんが助け舟を出してくれたおかげで、子どもたちのブーイングは解かれた。

相変わらず不満げな様子だが。


「ありがとうございます。助かりました」


後ろを振り返って礼を言う。


「…本当に一緒に暮らしてくれてもいいのよ?」


「ま、あいつらが僕がいなくてもいいよって言ったら、こっちでお世話になりましょうかね」


見えてきた孤児院を顎で指しながら、僕は冗談交じりにそういって、孤児院の入り口で子どもたちを下した。


「あ、やべ。コメットの飯の用意忘れた!ちょっと一回家に戻ってくるんで、先に入っててください!」


「え、サンタくん?」


話す間も与えずに迫真の演技で焦りっぷりを見せて、風よりも速くかける気持ちで家へと向かう。

その途中、ニヤニヤが抑えられずに、空を見上げて一人つぶやく。


「やっぱサプライズってのは、いいもんだ」

ご覧いただきありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ