義理の兄
「あー、お兄ちゃんとお母さん!やっときた~」
広場では子どもたちが集まって何やら話し合っていて、僕たちを見つけるとわらわらと駆け寄ってきた。
ゆっくりと道行く人にポーションを配り歩いていたおかげで時間がかかってしまった。
「おー、待たせたな。それで、プレゼントは用意できたか?」
「うん、この通り!」
全員がそれぞれ袋をもって誇らしげに見せてくる。
どうやら普通に買えたみたいだ。
時刻はすでに17時40分。
そろそろ向こうも準備ができてるだろうか。
「よし、それじゃあ今日は帰ろうか」
「「はーい!」」
―――――――
帰る途中、僕の隣に駆け寄ってきた女の子が僕の右手を握る。
「ん?どうした?」
「おかあさんの手が空いてないの、、」
後ろを振り返ると、ユウリッドさんの両手はすでに埋まっており、小さな子どもは少しだけ悲しそうな顔をしている。
「なるほどなあ。ま、ユウリッドさんがいるから誘拐には思われないだろ。僕の手なら好きなだけ握っていいよ」
「えへへ、ありがとう」
「あ、ぼくも!」
「わたしも!」
うらやましいと思ったのか、他の子が僕の袋を持った左手を狙って駆け寄ってきた。
「おいおい、、仕方がねえな」
一人を肩に乗せて、袋を持ちながら左手で他の子の手を握る。
「ふふ、サンタくん、この子たちのお兄さんみたいね」
後ろを歩くユウリッドさんがにこにこしながら僕に言う。
「いつの間になつかれたんですかね」
「本当にお兄ちゃんになってくれればいいのにな~」
右手の女の子が独り言のように言う。
そうか、みんな子どもだし、歳の離れた兄貴というやつにあこがれはあるんだろうな。
「ま、血はつながってないから、本当の兄ちゃんにはなれないけど、義理の兄ちゃんにだったら、なってやるよ」
「本当!やった~」
「じゃあ、これからうちで暮らすの?」
肩に乗る子が帽子を精一杯つかみながら聞いてくる。
「んー、僕も仕事があるから、一緒には暮らせないなあ」
「えー、それじゃあいみないじゃん!一緒に暮らそうよ~」
子どもたちのブーイングの嵐。
なんだよ、お前ら、いつから僕になつき始めたんだ?
「えーと、、」
「ほらみんな。サンタくんも困ってるから、やめなさい」
「「えー」」
ユウリッドさんが助け舟を出してくれたおかげで、子どもたちのブーイングは解かれた。
相変わらず不満げな様子だが。
「ありがとうございます。助かりました」
後ろを振り返って礼を言う。
「…本当に一緒に暮らしてくれてもいいのよ?」
「ま、あいつらが僕がいなくてもいいよって言ったら、こっちでお世話になりましょうかね」
見えてきた孤児院を顎で指しながら、僕は冗談交じりにそういって、孤児院の入り口で子どもたちを下した。
「あ、やべ。コメットの飯の用意忘れた!ちょっと一回家に戻ってくるんで、先に入っててください!」
「え、サンタくん?」
話す間も与えずに迫真の演技で焦りっぷりを見せて、風よりも速くかける気持ちで家へと向かう。
その途中、ニヤニヤが抑えられずに、空を見上げて一人つぶやく。
「やっぱサプライズってのは、いいもんだ」
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