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ようこそ、ファンタジー世界へ。~赤い帽子とトナカイの物語~  作者: zienN
最終章:サンタクロースの仕事
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運命の出会い

「ふふ、楽しかったわ~」


「何が楽しかったんすかね?戦いっすよね?戦いだけっすよね?」


僕たちはバトルハウスの近くにある喫茶店に入り、そこで何かのオシャレなフルーツジュースを飲みながら休憩をとっていた。


「サンタくん、人気者なのね~。特に男の人に…」


「ちょっ!」


「ふふふ~」


因みにどうして僕がこんなに焦っているかというと、バトルハウスを出て階段を上がった時のことだ。




「おい、待ってくれ!あんた、俺たちのリーダーになってくれよ!」


「この街に俺たちを一発KOできる奴なんてそういるもんじゃない!」


「俺の魔法も出る前にやられちまったしよお。お前さん相当の腕前だなあ」


「お、俺の角が、、明日からどうすれば、、」


そう叫びながら四天王のやつらが僕を取り囲み、ガチムチのおっさんに囲まれておしくらまんじゅう状態の僕を後からでてきたユウリッドさんに目撃されたのだ。


「あらあら。人気者ね~」


「え、違う!これは!」


とまあこんな感じで。

その後なんとか振り払って逃げたが、おかげで今は動揺が隠せない。




「まあ、そのことはいいっす。それで、なんであんなところ行きたかったんですか?」


「それはね、これよ」


どさっとテーブルに置かれた金貨を見据える。

最初に渡した10枚の金貨は、数えきれないほどの量になって、僕の前にどんと積まれた。


「あそこの四天王を全員倒したら、賞金がいっぱい出るのよ。でも私はか弱いから、君にお願いしたの」


「ああ、そういうことっすか」


ラストがギャンブルに興じているのは、この人の影響なのだろうか。全く孤児院を経営するものが子どもにとって害悪でしかないギャンブルに興じているなんて誰にも言えないな。


「それにしても、来る奴みんなにそんな大金払ってたら、あそこの店つぶれるだろ。どうやって回してんだ、、?」


「中でもお酒とか食べ物は取り扱っているから、そういうところでも収入はあるのよ?後は、賭けで渋い倍率に絞ったりして、見てる人からお金を巻き上げたりするの」


「ひでえな。さすが博打の世界」


思ったままの感想をつぶやくと、ユウリッドさんが目を細めて探るような目をする。


「でも、あそこの人だってそこらへんの冒険者じゃ相手にならない強さなの。その人たちをげんこつで気絶させるなんて、サンタくん。君は一体何者なの?」


「何者って別に。そんな大したものじゃないですよ。冒険者的なことを始めたのも、ここ3か月くらい前からですし」


「3か月、ね。それだけであの人たちを軽く倒すなんて普通はあり得ないわ。何かあるんじゃないの?」


「ま、普通じゃないんでね。この3か月、あいつらと店のために数えるほどしか寝ずに、お外でドンパチやってたんですから。そりゃあ必然的に強くなるでしょう?」


それだけいうと、いつも穏やかなユウリッドさんからはほとんど見ることのできない面食らった表情が浮かび上がる。


「それ、、え?」


「さあ、そんなつまらない話はここら辺にしといて、次に行きたい場所、あるでしょ?どんどん行きましょう!」


「えっと、、ま、まあ、いいけど。次はどうしようかしら」


会計を済ませて、外へ出る。


「次はどこへ?」


「そうねえ。それじゃあ奥にある広場に行きましょうか」


「広場?何もないんじゃないっすか?」


「そうかしら?良い出会いがあるかもしれないわよ?」


「出会い、ねえ」


―――――


そして広場へ。

街の入り口の広場から離れたところにあるもう一つの広場は、店が多いからか、人が多い。


「久しぶりだな」


「あら、来たことあるの?」


「ええ、まあちょっと前に色々とありまして」


ルウシェルとかいうオールバックに何故か喧嘩売られて決闘したんだよな。

あいつ、今元気にしてるかな?


「ん?お前、赤帽子か、久しぶりだな」


「ん?げっ」


噂をすればなんとやら。

目の前で声をかけてきたのは騎士らしい鎧に身を包むルウシェル、本人だった。

いつからかやめた普通の髪型が、少し幼さが漂う。


「げ、とはなんだ。貴様。そんなに俺と会うのがいやだったのか?」


「うん、どうせまた決闘とか挑まれそうだし」


「・・・お友達?決闘がなんだとか言ってるけど」


ユウリッドさんが耳元で僕にささやいてくる。


「一応、知り合いです。見た通り結構な金持ちでプライドも高いです」


「ふふ、そうなのね」


ユウリッドさんは悪い笑顔を見せると、ルウシェルに話しかける。


「どうも。サンタくんの友達の姉のユウリッドです」


「これは丁寧に。俺はルウシェル」


マイに対しては小娘とか結構見下してたが、気品のあるユウリッドさんのたたずまいからか、少しかしこまって挨拶をする。

ふむ、少しは礼儀をわきまえたようだな。


「ところで、決闘といっていたけれど、あなたはサンタくんに完膚なきまでに打ちのめされたの?」


「えっ」


いきなり何を言い出すんだこの人は。

ルウシェルの眉がピクリと動く。

さらにユウリッドさんは続ける。


「サンタくんは武器は使わないけど、あなた、もしかして、剣を使って素手のサンタくんに負けたの?」


「ゆ、ユウリッドさん、、」


「立派なのは見た目だけなのかしら。人はやっぱり見てくれより中身が大事よね~」


「わ、悪いなルウシェル!今日はちょっとアレがあるから行くわ!なんかあったらうちの店に来てくれよな!」


「待て」


慌てて逃げようとするが、肩を掴まれ、遮られる。


「待て、赤帽子。決闘だ。俺も騎士の端くれ。ここまで言われて、引くことはできない」


「ええ、またかよ、、」


「そうね。決闘するなら、相手が飲む条件を出さないとだめなのよ」


「それくらいはわかっている。お前が勝ったら、お前の要求をなんでも飲んでやる。その代わり、俺が勝ったら、お前は俺にはかなわないということを、この広場で叫べ」


「なんでもいうことを聞く、ね。それでこそ騎士ね。その勝負、飲んだわ」


「えっ」


なに勝手に決めてんだよ。


「私が合図をするわ。それじゃあ各自位置について」


「ちょっと、ユウリッドさん―――」


「お、なんだ、決闘か?」


「おお、この対戦は、前にも見たぞ!」


「サンタクロースの決闘だ!おいみんな、面白いものが見れそうだぞ!」


近くにいた人が騒ぎ、人が人を呼び、すぐに人だかりができる。


「はあ、、」


こんなに人が集まってしまっても、僕がすることは変わらない。

いつものように、クールに立ち去るだけだ。






「みなさん、こんにちは!本日はお集まりいただき、ありがとうございます!」


ダメだった。

いや、だって人が集まったら、そんな断れないじゃん。

つーかルドルフおいてきてるし、こんな人だかり避けて逃げる方が間違ってるだろ。


「私のためにお集まりいただいたみなさんには感謝を込めて、夢のような世界をお見せしましょう!!」


「「「おおおおおおお!!」」」


少し洒落たセリフを吐くと、皆もそれに合わせて、精一杯の声を上げてくれる。


「あらあら、やる気満々じゃない」


うるせえ、人の希望に答えるのがサンタクロースなんだよ。

さっさと始めてくれ!

開始位置について、お互いに向き合う。


「それでは、決闘、開始!」


こうして僕にとってメリットの無い戦いは、始まりを告げた。

ご覧いただきありがとうございます。

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