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ようこそ、ファンタジー世界へ。~赤い帽子とトナカイの物語~  作者: zienN
最終章:サンタクロースの仕事
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サンタクロースは夜行性

全く、ユーエン街から帰ってきてからというもの、なぜだか僕の堕落に拍車がかかっているような気がする。何故か日中、気分が乗らない。


餌をコメットとルドルフにあげて、おじいさんのように椅子に座ってきーこきーこしているうちに、空が暗くなり、営業終わりの看板をラストが持って出てくる。


「サンタ、今日も終わったぞ」


「そうか、お疲れ」


椅子をもって店の中に入って鍵をかける。

そして夕食。


普段の夕食は女2人が作っている。

ラストは三ツ星レベルまで達しているが、リィナとマイの料理も負けてはいない。

マイはいつも作っているだけあって手慣れている。

リィナは旅をしていたというだけあって自炊の経験のおかげで料理がうまい。

僕はあまり料理をしないので、カップラーメン及びチャーハン、頑張っても卵焼きだ。

なので料理は任せている。

朝からここまでの僕を見れば誰でもひもかニートとでも思われて当然だろう。


「サンタ、おいしい?」


毎日この時間になるたびにリィナに聞かれるお決まりの言葉。


「・・・毎回僕に聞くけどさ、ラストにも聞いてやれよ」


「だって、ラストは自分よりうまく作らない限り、褒めてくれなそうだから、、」


ラストは気まずそうにコップで顔を隠すようにして水を飲む。


「それで、どうなの?おいしい?」


「ああ、いつものことだけどうまい。一生作ってほしいくらい」


「んな!」


何気ない気返事レベルの返しだったがリィナの顔を赤くしてしまう。

それを聞いてマイが口をはさんでくる。


「ちょっと!私も作ったんですけどっ!」


「おう、こっちもうまいよ。マイはもうなんか手慣れてて、お母さんって感じだな。リィナのはなんか歳の近い子が作ったってか、なんかすごくドキッとする」


「お母さん、、!?」


フォークを落としてがっくりと肩を落とすマイ。

まあ年頃の女の子がお母さんなんて、普通萎えるよな。


「お前リィナ好きすぎだろ、、」


「まあ、妹みたいなもんだし。僕は家族いないけど、妹がいたらシスコンになってたかもな」


これは僕の本音だ。

妹か弟が、本当に欲しかった。


「妹かあ、、」


何故か遠い目をしている。


「歳だって一番下だしな」


「まあ、そうだけど、、でも3つ上のお兄ちゃんかあ」


「あ、でもお兄ちゃんとか呼ばれんのはすげー嫌だ」


「いやなの!?」


「サンタ、さっきから意味わかんねえよ、、、」


あきれたようにラストが僕を見る。


「ま、誰も血はつながってないじゃん?」


「それなんだよなあ。本当に俺たち不思議だよな。そろいもそろってみなしごなんだしよお」


孤児院出身のラストとマイに、親も兄弟もいないリィナ。

まあ僕の場合はみなしごとかのそんなレベルじゃなく世界からの絶縁なんだが。

あのじじい。くそ。


「まあ、これから誰かが結婚すれば、新しい家族の方を優先して家でも建てていなくなるんだろうけどな。最後に僕がこの店継いで、孤独死だろうな」


「なんで最後にサンタさんが残ること前提なんですか、、」


「恋愛なんて、くそくらえだ」


「何があったんだよ、、」


ラストよ、イケメンにはわからない世界もあるんだ。

というか生まれたときからこの世界スタートだったら、僕もそうは思わなかったんだろうけどな。


「まあ、僕が残る理由は、簡単に言うと、お前らのスペックが最高だから。全員美男美女、おまけに全員料理もできるし、ラストに至っては店を開けるレベルだ。マイは普通になんでも作れるうでがあるから仕事もできるし、リィナだって魔法使いだから人生だけじゃなく戦場のパートナーとしても一生付き添ってくれそうだし、結婚できないわけがない」


「サンタさんだって、強いんだからリィナと一緒で戦場のパートナーとしてっていうの当てはまるじゃないですか」


「世の中強けりゃいいってもんじゃないんだよ。それに僕のようなさえない人間のために独身貴族という言葉があってな。だから一人でも、大丈夫。ルドルフもコメットもいるしな」


「その歳でそこまで悟れるって、本当に何があったの、、?」


全員が不憫そうに僕を見る。

やめろ。そんな顔をするな。


「ま、4人でいるうちは、お前に寂しい思いはさせないからよ!俺も家庭を持つ気はないから、老後は二人で、仲良くしようぜ?」


そういって肩を掴んでくるラスト。

まあ励ますために言ってくれたのだろうが、嘘だったとしても少しうれしくなる。


「やっぱり持つべきものは、親友だよな。パトラッシュ」


「パトラッシュ?なんだそいつは。俺はラストだ」


「なんか、私たち、、」


「仲間外れにされた気分ですね、、」



そしてまた、何気ない話題で食卓がにぎわいだす。


最近の僕はこの夕食の時間あたりから、口数が増える。

ラストが昼に最近僕と話してないと言っていたのは、話す機会がこの時間に集中しすぎて日中に話していないから、そう思ってしまうのだろう。



そしてこの夕食の時間から、僕が生きていると思える一日が始まる。

日中何もしないのは悪いと思うが、まあ、サンタクロースは夜行性なんだ。許してくれ。


ご覧いただきありがとうございます。

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