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帰り道

場所は変わって闘技場の外。


「よお、おっさん。勝ったよ。ラストの代わりに勝ち分もらいに来た」


ルドルフ、マイと一緒に賭けのおっさんに声をかける。


「ああ、試合、見たぜ。あのレディオを倒すたあ、相当な実力があるんだな。しかも、ビーストテイマーだったとは、、」


「おっさん、ケルベロスじゃなくてあいつの犬の名前オルトロスだったぞ。ケルベロスは頭が3つあるやつらしい」


「そうだったのか。俺はあまりモンスターには詳しくなくてなあ。失敬。ほら、これが今日の勝ち分だよ」


150万ユインの入った袋を渡される。

1万ユイン硬貨が150枚もあり、なかなかに重い。


「サンキュー。毎度あり!」


「そっちの嬢ちゃんは、あんたのツレか?」


「ああ、僕の保護者みたいなもんだ。飯も食わせてもらってる」


「ちょっと!私お母さんじゃないですよっ!サンタさんよりも年下です!」


「お母さんとは言ってない」


「へ、青春してらあ!・・・はあ、これで俺の儲けもほとんどないぜ」


おっさんはポケットの中身を引っ張ってすっからかん、といった仕草をする。


「えー、でもこの大会、観客は多いんだから結構金集まったんじゃないのか?しかも最低1万ユインからじゃないとかけられないから、150人くらい余裕で集まっただろ」


「集まったけどな。そうじゃないんだよ」


あきらめたように首を振る。


「サンタクロースに賭けたのはあの二枚目の兄ちゃんだけじゃないんだよ。しかもあんたに賭けるやつはみんな最低より多い金を積む。おかげでぎりぎり黒字ってところだが、今日の飯代くらいしか儲けられなかったさ」


「へえ、よく僕に賭けたな。真の博打だろうに」


「この街の金持ちどもは金の使い道が少ないからな。遊びであんたに金を積んだんだろう」


「そうなんだ。それじゃあ今日はどうも。また次の試合も、よろしくね」


「今度はあんたの倍率は下げるよ。またな」


立ち去ろうとするが、おっさんがさみしそうな顔をしているので、少しだけ申し訳なくなってしまう。

ほとんど僕のせいだもんな。


「あ、おっさん!」


「ん、なんだ?」


「そういえば情報量払ってなかったね。はい」


袋から10枚の硬貨を取り出しておっさんに渡す。


「・・・何だこの金は?」


「それは僕が勝つと踏んで情報を賭けに出したおっさんの勝ち分だよ。それでうまいもんでも食ってくれよな。それじゃ!」


そりに乗り込んで宿まで飛んでいく。

その途中で、後ろにいたマイがおっさんを見下ろしながら声をかけてくる。


「いいんですか?あんなにお金上げちゃって。向こうも商売なんですよ」


「まあ、おっさんの情報がなきゃ負けてたかもしれないしな。それに」


「それに?」


「前にも言ったか忘れたが、プレゼントはサプライズに限る。ほら、すげえ良い顔してるだろ?あのおっさん」


「・・・確かにそうですね。すごくうれしそうですっ」


おっさんの顔は見ていないが、マイの返事で、おっさんの顔が目に浮かんだ。


「よーし、今日も祝勝会、やるか!」


「はい!今日はお外でいい店見つけたんで、そこにしましょう!」


「じゃあ、さっさと宿に戻って、温泉入ってから行くかあ!」


「♪」


鈴の音が今日のイベントの終わりを告げるようになり響く。

その音とマイの鼻歌を聴きながら、僕はひそかにつぶやく。






「あ、ラスト忘れてた」





―――――


「ええ、サンタが勝ち分もっていった!?なんだよお、そりで帰るんなら、外で待ってろよお!サンタあ~!」


忘れ去られた男は一人、とぼとぼと宿へと向かって歩いた。

ご覧いただきありがとうございます。

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