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移動の手段

出発といった矢先に、後ろから疑問が飛んでくる。


「それで、どうやって行くんだ?そりで普通に走るのか?」


「一応冬ですけど、ここ最近は雪も降らないし、作ってから言うのもなんですが、滑りも最悪ですよ?」


二人は首をかしげる。

当然の疑問だろう。


「そんなに心配そうな顔するなよ。大丈夫、普通に滑っていかないよ。それにこのそりに石の上を走らせて傷はつけさせたくない」


「じゃあ、どうするんですか?」


「まあ、ちょっと見てろよ。それと、言い忘れてたけどな」


「ん?」


少しだけ溜めて、つぶやくように告げる。


「僕の相棒、ルドルフは、飛べるんだ。行くぞ、ルドルフ!」


「♪」


ルドルフが歩き出す。

そりは地面の摩擦を受けることなく、宙を舞い、そのまま店の天井を超える。


「うわ、なんだ!?」


「わわ!すごい、飛んでます!」


そのままルドルフは建物の上を飛び回る。

3周ほど回った後で、言葉を失う二人にいう。


「どうだ、これなら、そりも傷つかない。滑りの悪さなんて関係ないだろ?」


「まさかトナカイが飛べるなんて、、、」


「魔法ですか?すごいとしか言いようがありません、、」


ルドルフが飛べるようになったのは、この世界に来たばかりの店に入る前のころ、スライムと連日連夜戯れていた時である。

ルドルフのレベル3に上がった時の通知を確認したときに、僕よりも早く、初めての新しいスキルが発現していた。


スキル名は「浮遊」。

名前の通り空が飛べるようになり、その飛ぶ様は絵本に出てきたサンタクロースの使いそのもの。

さらにMPの消費は一切ない。いわゆるパッシブスキルというやつだ。


ルドルフが楽しそうに飛ぶのをみて僕も頑張ってレベルを上げたが、MPも0から増えることは無く、さらには飛べるようなものではないスキルが発現して一つ目のスキル枠が埋まってしまった。


過去の回想を自分の中で済ませ、ラストに尋ねる。


「とりあえず、道案内は頼む。どっちだ?」


「あ、ああ!こっから西の方だ!ほら、山が見えるだろ?あのあたりにちょっとした森があってな。そこを抜けるとユーエン街につく」


「よし、じゃああまり暴れるなよ。落ちてもどうしようもないからな」


ルドルフに指で方向を示すと、鈴を鳴らしてかけていく。

朝なのでまだ人が少ない街を抜けて外へ。

草原にはスライムたちがぷるぷるとしていて思わず手を伸ばしてしまうが、今回は我慢してラストが示した遠くの山を見つめる。


「夜で雪が降っていたら完璧にサンタクロースなのになあ、、」


自分の中のイメージと異なるこの世界のサンタクロースの有様を客観的にみて少しだけがっかりしていると、ふと、マイが疑問を口に出す。


「サンタさん、どうして飛べるって教えてくれなかったんですか?飛べたならオールバックの人の決闘の時に遅れないで時間通りについたと思うんですけど、、」


「ああ、ルウシェルの時はルドルフに店番任せてたしなあ。それにやっぱり」


マイの目を見てニヤリと笑う。


「サプライズってのは、いいもんだろ?」


「ふふ、そうですね。サンタさんらしいです!」


「お、それと、これもサプライズだ」


袋から果実を取り出して渡す。

以前ルウシェルに渡したものと同じものだ。


「わ、ありがとうございますっ!」


「前にこれがうまいって言ってただろ?だから、好きなんじゃないかと思ってな」


「嬉しいです、、」


静かに嬉しそうに果実を胸に抱く。

そんなに喜んでくれるなら、毎日でも買ってやりたくなっちゃうだろ。


「まあ、口直しにでも食っとけ。さっきのラストのポーション、あれ相当まずそうだったしな」


「うぅ、本当に苦かったです、、ラスト、忘れませんからね、、、!」


マイに睨まれて、ラストが固まる。


「わ、悪かったって。悪気はないんだよ?いや本当に」


「無理矢理口開けて飲ませて、全然ためらわなかったしな。悪気があったらちょっとはためらうもんだよな?」


「おい、サンタ!シャレたフォローだと思ってるかわからないが、それはフォローになってねえよ!!」


「ラスト~?」


「まあ、いい目覚ましにはなっただろ、、、って!おい、なんだよそのチェーンソー!?持ってきたのかよ!回すな、危ない、落ちる!!待って、悪かった、悪かったって!なんでもするから許して!」


「わあ、本当ですか!じゃあ今回の旅行代、全額負担で♪」


「まじかよ、いくら何でもそれはってえええチェーンソーの勢いが増してる!?待て、わかったよ!全額払う!払うから!」


「やったあ!よろしくお願いします♪」


「ゴチでーす」


「うう、くっそおおぉぉ、、、、」


落ち込むラストを見て、マイの策士ぶりに背筋が凍る。

こいつの失敗を糧にして、僕もこうならないようにしなければ。


落ち込むラスト、元気になるマイ、背筋の凍る僕をのせて、そりはユーエン街への道をまっすぐに滑っていった。

ご覧いただきありがとうございました。

自分的にはこのユーエン街の話で赤帽子を引き立ててあげたいなと思ってます。

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