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マイの作戦

店長と意気投合し、僕は2人で対剣士用の武器(角材)を探していた。

ラストは止めるのも諦めて、僕たちの作戦を眺めている。

マイは、本当に買い物を楽しんでいる。

いい加減手伝って!一応生活かかってるんだぞ!


「それで、何が良いんだろう、店長。どんな高いやつでもいいから、教えてくれ」


「そうだな。シンプルに硬さを追求するならこのストンの木がいいだろうが、これは硬い分密度が高くて、とにかく重い。剣を受け止めるなら早く動かせるほうが良いが、軽い木だとすぐ折れちまうからなあ。折れるまでにケリをつけねえといけねえ」


白い大理石のようなストンの木を持つと、あまりに重すぎて片手では扱えない。これでは打ち合いになったらいつかはボロがでてやられてしまう。


「中間の木は?そこそこ硬くて、そこそこ軽いやつ」


「それだとコモンの木だが、決め手に欠ける。普通に戦うなんてダメだ!やっぱり男なら、ガツンと決めたいもんだろ!」


「店長、、」


手ごろなのあるならそれでいいじゃんか。

角材で戦う時点で普通じゃないだろ。

おそらく角材で戦う馬鹿なんていないから、初の挑戦にインパクトを残したいのかもしれない。

まあ、そのロマンを追い求めるその気持ち、わからなくもないが。


「どうしてこうも、両極端な木ばっかしかないんだろう。うーん、どうしたものか」


「それなら、木に魔力をこめればいいんですよ」


後ろから声がしたかと思うと、紙袋を抱えて、すごく満足げな顔をしてこちらに歩いてくる明るい茶髪の女の子が歩いてくる。


「ん?なんだ嬢ちゃん?この赤帽子のツレか?」


「そう、ツレなんだ。マイ、ほしいものは買えたか?」


「はい、それはもう!見てください!かわいいでしょう?」


満足げな顔をして紙袋から取り出したのはピンク色の小型のチェーンソー。

電気が無いのになぜかシャリンシャリンと、動き出している。

お前あれだけ鋭い目して品定めして、結局それかよ。

とりあえずさっさとしまってくれ。怖い。


「お、おお、そうか。か、かわいい、な?それで、なんだっけ?魔力?」


「はい、一部の木は魔力を纏うと魔力をまとわないものに対しては剣みたいに硬くなるんです。相手が魔法使いじゃなければ、魔力負けすることはないですし、どんなに軽い木でも打ち合えるようになりますよっ」


「へえ、そいつはいいな。でもさ、僕、魔力なんてないぞ?」


「そうなんですか?でも、大丈夫!私とラストは、少しですが魔力をもっています。2人で魔力をこめれば、きっと硬い木になりますよっ!」


「そうか、魔力か!そいつは思いつかなかったぜ!やるな、嬢ちゃん!」


店長もそれだとばかりに叫ぶ。


「もしかして、さっきのチェーンソーも魔力で回ってるのか?」


「そうですよ。魔力が高い人ほど、勢いよく回るみたいです!」


「へえー、ちょっと僕にも貸してくれよ」


「どうぞ♪念じれば回りますよ」


マイから受け取り、手に取ってみるが全然回らない。

念じれば回るというが、どれだけ力んでも回る様子がない。


「うおおおぉぉ、、、、回れえぇ、、、!」


「本当に魔力が無いんですね、サンタさん。普通の人でも、少しはあるはずなのに、珍しいですね」


地球人ですから。

くそ、なんでファンタジーの世界にきて魔法って言う概念があるのに、使えないんだよ、、サンタのじいさんに、魔力をもらえばよかったかなあ。

諦めてチェーンソーを返すと、勢いよく回りだす刃。

それはまるで魔力の無い僕への当てつけのようにシャリンシャリンと、笑い声のような音をたてて回っていた。


――現在、13:00。

決闘まで、後1時間。

そろそろ決闘に入ります。

角材で剣と打ち合うとか、個人的にロマンを感じています。

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