武器を求めて
「おー、いろんな木があるな」
マイに案内された武器屋(工具店)は品ぞろえがよく、様々な木材が立ち並んでいた。
「値段気にしなくてもいいか?そこそこ良いやつ買うぞ?」
「いや、剣とかに比べたら超安いから全然いいけどさ、お前まじでそれで戦う気なの?」
「そうだけど?」
「いや、まあなんというか、、、うん、いいや。好きなの選べよ」
「私もちょっといろいろ見てきますね、、、」
角材を武器にすると言った途端にこの反応だ。いいじゃんか、角材とか殴られたら超痛いだろ。
MPないから物理でオッケー!
「ラスト、この中でこの木はすごいよって言うやつ知らないか?」
「俺は木に関しては何も知らないからな。当の専門家は自分の買い物を始めてるし」
「そうだよなあ」
マイは自分の商売道具を買おうと本気になって探している。
こいつは本当に18歳なのだろうか。
「仕方がない、店の人に聞いてみよう。ラスト、あそこの女の店員さんに聞いてみてくれよ」
「あいよ、行ってくる」
ラストは店員さんに後ろから声をかける。
「すいませーん、ちょっといいか?」
「はい、なんでしょう、、はっ!」
バキュ―――ン!
ハートを射貫かれたような音が聞こえた気がする。
これは落ちたな。
ラスト、お前はこの街でハーレムでも作ってろ!
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、大丈夫?」
「え、は、はい!なんでしょうか!?」
そのままラストがこっちに店員さんを連れてやってくる。
グッジョブラスト!なんか技名みたいだな。
「この中で一番いい木ってどれ?できれば剣とか斧でも折れないような、とにかく頑丈なやつがほしいんだけど」
「あー、ちょっと待ってくださいね。今、店長を呼んできます!」
そういって店の奥に駆け込んでいく。
1分もしないうちに店の奥から体格のいい男が出てくる。
万引きとかしたら殺されるな。
「なんだ、お客さん。良い木が欲しいみたいだな。どんな木が欲しい」
「とにかく硬くて頑丈で、剣とかとも打ち合いができて、簡単に折れない木が欲しいんですよ。僕は素人なので、教えてもらえると助かります」
「なんだお客さん、あんた、決闘でもするつもりかい?」
「ああ、14時から申し込まれててね。武器は使えないから、角材で戦おうと思ってるんです」
そういうと店長のような男は一瞬だけ目を見開き、その後すぐに笑いだした。
「ガッハッハ!本気かい?剣相手に木で挑むたあ、あんた相当クレイジーだねえ!ハッハッハ!」
「やっぱりそうだよな!よし、サンタ。他の店で武器を買おう。大丈夫、お前なら使いこなせるって!ほら、あんたも、こいつになんか言ってやってくれよ!」
ラストが店長に僕を説得する言葉を求める。
相変わらず楽しそうに、嫌味なく笑うので、全然怒る気にもなれない。
「ガッハッハア!ヒィ、すまねえ!可笑しくてつい笑っちまった。剣と打ち合える木材か。いいだろう!俺が最強の武器を選んでやる!」
「ほら店長もこういって、、、って、ああ!?」
「ありがとう!助かるよ!」
「その代わり、うちの店の宣伝もよろしく頼むぞ!」
「ああ、任せてくれ!ダンディな店主とかわいい看板娘が、素人相手でもやさしく教えてくれる店って、宣伝してくるよ!」
「なんか言い方はアレだが、頼むぜ!」
ガシッと、握手をする。
交渉成立だ。
「ああ、もう。どうなるんだか、、」
きれいな白と金が混ざったような頭をかきながら、ラストはこれからの決闘に、初めて不安を覚えたのだった。