第百一話 特攻と撃破
「特攻するってことか?」
大輝の声が低くなる。最大個体の口内に飛び込んで剣を振るったり魔法を放つというのは100%とは言わないが死ぬ可能性が高い。まず、少しでもタイミングがずれれば大輝の腕より太い毒牙の餌食となるし、上手く飛び込んだとしても直径2メートル程の最大個体の体内では剣を振り回すスペースはなく攻撃威力が落ちてしまうし、無軌道に動く最大個体によって足場だって安定しない。魔法についても上手く発動出来ても至近距離で着弾することになって自爆に近い形で衝撃を受ける事になる。生きて出られる可能性は限りなく低い。
「そうだ。オレだってこんな案には反対したいさ。だが、他に生き残る術がないならやるしかない。そしてその責任はオレが取る。」
ゲオルクはどうせ実行するなら自分がやるべきだと主張したのだが、副官を始めとしたベルナー商会警備部門の人間だけではなく雇われた側の冒険者たちにまで反対されたのだ。副官たちにはこの戦いですでに散った者や特攻を実行する者への補償が出来るのはゲオルクしかいないと説得され、冒険者たちにはゲオルクの技量では口内に飛び込むことさえままならない犬死だと指摘され、加えて指揮官たるもの最後まで見届けるべきだと諭されたのだ。
「そうか・・・すまない。」
ゲオルクの表情から苦渋の決断であることを悟った大輝が謝罪する。非難の目を向けてしまったことに対しての謝罪であり、ゲオルクの苦悩を察したからである。だが、ここで大輝は改良案を思いつく。
「ゲオルク。その作戦の実行はちょっと待ってくれ。今の話で思いついた策がある。」
大輝はゲオルクに特攻作戦の一時停止を命じるように言うとすぐさま準備を開始した。準備といっても虚空からあるモノを取り出すだけなのだが、ゲオルクや負傷や魔力枯渇で最大個体との戦闘に加われない者たちに見せるわけにはいかないので、大急ぎで戦闘に入る前に置き捨てた背負い袋の元に駆け寄ってそこから取り出すフリをしただけだ。
「ゲオルクはオレがノルトの街を襲った『山崩し』対策としてコレを考案した事は知ってるな?」
大輝の手にあるのは真っ黒な液体に浸かった麻袋とそこから伸びる黒い紐だ。
「実物を見るのは初めてだが、コレがアレなのか?」
ゲオルクもヘッセン侯爵領内随一の商会の人間であり、『双剣の奇術士』として知られる大輝が何を考案したのかは知っている。分類が魔道具に当たるために魔道具ギルドに所属する魔道具店しか扱えない代物であるため、ベルナー商会としては手が出せないが情報としては仕入れてあるのだ。そのため、コレがDランク魔獣を数体纏めて吹き飛ばし、Cランク魔獣でさえ直撃しなくとも傷を負わせる代物であることに気付いて当然であり、ギルバートが狙っているモノだということがわかる。
「コレはオレが試作品として作ったものだ。『山崩し』で実戦使用したものと同じだから問題なく稼働するはずだ。こいつを喰らわせる。」
ゲオルクは即座にその案を採用した。口内に飛び込む特攻作戦は実行者の生存率が著しく低いが、大輝の魔石爆弾を最大個体の噛みつき攻撃を回避しながら放り込むのであれば危険度は一気に下がる。問題があるとすれば大輝の持っている魔石爆弾の試作品の数が少なく、失敗が許されない事だけだ。
「オレたちに任せて欲しいといってもダメなんだろうな。」
ゲオルクがあくまで確認といった言い方をする。大輝の目を見れば自分で実行すると主張することは確かだったからだ。アイディアこそゲオルクたちから出たものだが、大輝はゲオルクの指揮下にないばかりか、絶体絶命の窮地をここまで挽回させてくれた恩人でもあるし、魔石爆弾自体が大輝の所有物である。なによりも大輝以外は全員が魔力枯渇や体力の限界、もしくは負傷持ちであり、仮に万全の状態でも大輝以上に接近戦をこなせる者などいないのだ。ゲオルクに大輝を止めることなど出来なかった。
「これはオレがやるべきだ。」
大輝はゲオルクの心情を理解した上で言う。適任者であることはわかっていたし、秘匿するつもりの魔道具を使う以上は自分で行うべきであると思ってもいるのだ。
「全員下がらせてくれ。」
それだけ言うと大輝は解除していた身体強化を全身に掛けていく。そして剣すら抜かずにゆっくりと最大個体のいる戦場へと歩き出した。魔法剣でさえ弾かれるのであれば剣を抜く理由はないし、回避と右手に持つ魔石爆弾を最大個体の口内に投げ入れる事の2つだけに集中するためだ。
「全員下がってくれ!例の作戦の改良版を大輝が実行する!」
ゲオルクの指示が飛び、全員が軽く頷くのを大輝は確認した。数人が複雑な表情を見せているが、おそらく彼らが特攻隊として口内に飛び込む覚悟を決めていた者たちなのだろう。死を覚悟してチャンスを狙っていた彼らには覚悟を無駄にしたようで申し訳ないが、大輝としてはより安全な手段が見つかったのであれば敢えてリスクを冒させたくはなかったのだ。
「次の攻撃をいなしたら一斉に退くぞ!」
近接戦闘班を率いていたBランク冒険者のヴァルターがタイミングを指示し、それに従った者たちが一斉に引き上げて来る。すでに戦える近接戦闘班の数は30名を切っていた。辛うじて魔法を唱えられる魔法士や弓術士を加えても50名も残っていない。そんな彼らとすれ違い、最大個体へと歩みを進める大輝へと向けて託すような眼差しが向けられる。誰も声には出さないがもはや特攻作戦が可能な身体ではないことはわかっており、ゲオルクの言う改良版の作戦が最後の頼みの綱なのだ。
「すまんが頼む。」
「あぁ。」
ヴァルターがすれ違いざまに一言声を掛け、大輝が短く答えた。2人の間に面識はない。ヴァルターこそがギーセンの街の筆頭冒険者であり、ベルナー家が彼の帰還を待って作戦を開始したほどであり、大輝のベルナー家側の冒険者調査時にはいなかった人物だ。実際、ベルナー家専属というわけではなく、街のためとなると聞いて指名依頼を引き受けただけだが。
(見る限りこの男だけが特攻作戦を実行可能な力量を持ってるな。ただし万全の状態だったらだけど。)
大輝はすでにBランク冒険者ヴァルターの力量を見極めていた。この一団の近接戦闘班の中では頭3つくらい抜けている存在だったからだ。そして一言声を掛けた理由も理解出来た。本来はこういう窮地をなんとかするのが自分の役割だと自覚していたのだろう。だが、それを大輝に譲らねばならないことに複雑な感情を抱いているのだ。無力感。一番強い感情を表すとすればこれが一番かもしれないが、二番目は大輝に対しての申し訳なさのようだ。
(見た目は10代だからな、今のオレは。だが、本来の年齢はあんたより上だと思うぜ?)
若い大輝に委ねなければならないことを気にしているようなヴァルターに心の中で言い放つ。口調がいつもと違うのは緊張しているからだ。自ら選んだことではあるが、さすがに剣を抜かずに強敵に近づくのはやりすぎだったかもしれないと苦笑いを浮かべる大輝。しかしすぐにそんな事を考えてる余裕はなくなった。ゆっくりと歩みを進める大輝の目の前に最大個体が長い胴体をくねらせながら近づいてきたからだ。
落ち着かせるために歩調と心音をリンクさせて歩みを進めていたが、突如それが切れる。
シュルルッ
最大個体が鞭のようにしならせた尾を大輝に浴びせて来たからだ。右斜め前方から向かって来る尾を左前方へ向かって身体を投げ出すことで避ける大輝。そこから最初の対峙の時と同じように最大個体の連続攻撃が始まった。予備動作のない胴体による体当たりに縦横無尽に振るわれる尾の攻撃。そして時折繰り出される大口を開けての噛みつき攻撃。
「っく!さすがに牙での攻撃はこっちの態勢が崩れた時限定か・・・」
すでに2度の噛みつき攻撃が繰り出されていたが、魔石爆弾を口に放り込む余裕はなかった。ピット器官が自分の弱点であることを知っているからなのか、それともガラガラヘビ型の巨大蛇がピット器官を狙い打たれたことで警戒しているからなのか、その理由は定かではなかったが、目の前の最大個体は大輝の態勢が崩れた時にだけ毒牙を剥き出しにしてその牙を突き立てようとしてきていた。
(時間を掛けるのは不利だ・・・)
魔力と体力に余裕があればもう少し相手の動きを見切るために時間を掛けるのが大輝のスタイルなのだが、今は残量に余力が無さすぎるのだ。だから大輝はその身を囮にして噛みつき攻撃を引き出すことにする。
両足へ掛ける身体強化を最大レベルに引き上げ、10数度目となる最大個体の尾による攻撃を避ける際にコンマ数秒反応を遅らせる大輝。
「「「 あっ! 」」」
固唾を飲んで見守る警備部門の人間や冒険者たちから声が上がる。彼らの目には大輝が疲労によって反応が遅れ、尾の攻撃に掠ったように見えたのだ。最後の希望たる大輝が倒れればもはや成功の目の無い特攻作戦しか残っていない。彼らが思わず声が上げるのも当然であり、彼らが心配になるだけの状況に陥った大輝に最大個体がその身を砕こうと毒牙を剥き出しにして襲い掛かるのも当然だった。
尾による攻撃を右足のつま先に受けた大輝は地面を3回転して止まる。そして予想通り最大個体最強の攻撃である毒牙による噛みつき攻撃が向かって来るのを気配察知で確認した。
(大丈夫・・・魔力で強化したし、足首で力の大半は受け流せた。動ける。)
相手に態勢を崩されるのと意図的に態勢を崩すのでは大きく違う。自らの意志でこの態勢になれば当然対処法も考えてあるからだ。両足を魔力で重点強化したのは防御のためだけではないのだ。
大輝は尾による攻撃を受けてから顔を上げていない。痛みに耐えている演技だ。目が退化しピット器官を持つ巨大蛇に演技が通用するかはわからないが、万一に備えて出来る事は全部実行するつもりなのだ。その代わり、なけなしの魔力を使って気配察知を発動している。最大個体が頭から大輝に迫っていることはそれで察知しているのだ。そしてついに最大個体が大口を開けて大輝まで5メートルに迫ったその瞬間に両足に込めた力を開放する。
跪いた態勢だった大輝の身体がまるで爆発したかのような勢いで最大個体の顔目掛けて飛んでいく。跪いている最中に密かに土魔法によって作っておいた陸上の短距離走でクラウチングスタートを行う際に用いられるスターティングブロックを模した台座を最大レベルまで強化された大輝の両足が踏み切ったのだ。
(やばっ!)
だが、これはやりすぎた。少しでも成功確率を上げようと咄嗟にスターティングブロックを作ったのだが、陸上選手でもない素人の大輝が上手く使えるわけがなかった。勢いこそ最大個体はおろか大輝本人ですら驚くほどについたが、最大個体の口の僅か左をすれ違うように狙って飛び出したはずがこのままでは最大個体の左の毒牙に衝突してしまいそうになる。スターティングブロックだけが原因ではなく、左足に受けた尾による攻撃が僅かに足を痺れさせていたのも原因だったがそこまで考える暇はなかった。
「こんにゃろっ!」
1秒に満たない刹那の時、空中に浮いた身体、通常であれば何も打つ手がなく自ら毒牙に特攻すること間違いなしの状況で大輝は吼えた。衝突の瞬間に右手に持った魔石爆弾を最大個体の口内に放り込むと同時に右方向に向かって残りの全魔力を注ぎ込むつもりで無詠唱魔法を発動したのだ。大輝が咄嗟に選択したのは風魔法、それも中級に位置するかまいたちを放つ攻撃魔法だ。
「うわっ!」
風魔法を放つことで反動によって軌道が変わることを願ったのだが、あの瞬間に放てる無詠唱風魔法はかまいたちしかなく、余程の高威力でなければ衝突を避けられないと思った大輝だったが、予想を外れて射出の瞬間に大輝の身体は60度近く方向を転じて錐揉み状態で宙を舞っていた。不安定な空中で風魔法を放つと恐ろしいことになると実感する大輝だったが、そんな悠長なことは言ってられなかった。最大個体の口内に放り込んだ魔石爆弾を起爆するための導火線代わりの黒い紐は試作品ということもあって『山崩し』で使ったものよりもかなり短いのだ。
「喰らえっ!」
錐揉み状態で落下しながらレオリングに充填してあった己の予備魔力を使って魔石爆弾を起動する。
ダンッ ドゴーン!
大輝が地面に落下する音と魔石爆弾が最大個体の中で爆発するタイミングが揃った。そして大輝自身の魔力が枯渇したことで身体強化が切れていた大輝は落下の衝撃に苦悶の表情を浮かべながら最大個体の様子を窺う。
「やったか!?」
キシャァァア!
「「「 おお~!! 成功だ! 」」」
どうやら魔石爆弾は喉を通り過ぎ、口から5メートルほど入った辺りで爆発したようで、腹のあたりから大量の血を流してのたうち回っている。一気に息の根を止めるには至らなかったようだが、放っておいてもいずれ出血多量で絶命するのは確実と思われた。まだ安全が確定したわけではないが作戦は成功したようでホッとする大輝。そこに突然の衝撃が大輝を襲う。
「ぐわっ!」
バッシャーン
大輝の身体がピンポン玉のように弾かれ、最大個体の現れた沼地に着水する。すでに身体強化が切れており、ホッとして身体が弛緩した瞬間の大輝を襲ったのはピット器官を破壊されて無力化されたはずの巨大蛇の尾であった。
「んぐ・・いったい何が・・・」
衝撃に痛む身体を起こし、膝まで水に浸かった自分の足元を見て沼地に叩きつけられたことを理解する大輝。そして自らをここへ叩き込んだ相手を見る。どうやらピット器官を破壊されて身をくねらせていた個体に運悪く弾き飛ばされたようだ。その証拠に弾き飛ばされたといっても攻撃の意図がなかったためにダメージはそれ程深刻ではない。
「ツイてなかったって事か。」
大輝も苦笑いであった。咄嗟に風魔法を使って最大個体の毒牙から回避しようとして運悪く無力化済みの個体の近くに着地してしまったのだ。だが、ツイてないのはこれで終わらなかった。
「「 あぶねえぞ! 」」
「大輝!最大個体がそっちに行ったぞ!」
「えっ!?」
大輝は9割方危機を脱したと思っていた。オオアナコンダ型の最大個体は体内で魔石爆弾が爆発したことで瀕死のはずだし、ガラガラヘビ型の巨大蛇は討ち取られるかピット器官を破壊されて無力化されたはずだからだ。残りの1割の警戒はこれまでに姿を現していない新たなガラガラヘビ型の巨大蛇の登場に対してだ。とはいえ『山崩し』の時と同様に最も力のある魔獣が倒れればすぐには襲って来ないだろうという油断もあった。
「まずいっ!」
最大個体が最後の力を振り絞って自分の命を残り僅かに追い込んだ怨敵である大輝を追って沼地に入る姿が視界に映る。最大個体も瀕死の重傷を負っているとはいえ、大輝も魔力が尽きているし、今立っているのは沼地であり巨大蛇たちに有利なフィールドなのだ。その上、ただでさえ激しい戦闘で松明や灯の魔道具の多くが機能していないのに沼地に入ったことで視界が極端に悪くなっている。
「それでもやるしかないか!」
急いで陸地に上がろうとするが正面から最大個体が迫る。今から迂回しても間に合わないことを悟った大輝は予備魔力をレオリングから引き出して身体強化を掛け、腰に差した双剣を引き抜いて迎撃態勢を取る。大きく開いた傷口に剣を突き立てるなり火魔法を撃ち込めば仕留められるはずだと気合を入れる大輝に最大個体が突進して来る。
「うぉっ!」
これまで水面を滑らかに進む姿しか見せていなかった巨大蛇たちだったが、最大個体は胴体を闇雲にくねらせて進んだために大量の水が跳ねて大輝の視界を塞いだのだ。そして気付いた時には長さを活かした尾による攻撃を受けていた。
(オレがムトスを気絶させる時に仕掛けたミストの魔法と同じじゃないか。)
視界を塞いで奇襲を仕掛けるという大輝の戦術を最大個体が意図せず真似る形となったのだ。それでも辛うじて腕でのガードが間に合った大輝だったが、勢いに押されて沼のさらに奥へと押し出される。すでに太ももの半分まで水に浸かっている状態でかなり動きを制限されるフィールドに引き摺り込まれたことになる。
「大輝!早く陸に上がれ!」
ゲオルクの声が響く。彼らは大輝を案じて水際まで駆け寄っていたが、巨大蛇のフィールドである沼地には入ってこれない。沼地に入れば被害が拡大するだけなため呼び掛けることしかできないのだ。だが、大輝と陸の間には最大個体が存在しているし、大輝も決着をつけるつもりでありその呼び掛けには応えなかった。
「無駄に粘りやがって・・・この死にぞこないが!」
大輝は負けず嫌いでもあったし、自分が仕掛ける側に回ることの多い不意打ちを食らった事で頭にきていたこともある。やられたらやり返せというのが大輝の考えでもある。頭に血が昇りながらも仕返しの算段を整える大輝はこの場で迎撃することを選択した。
「きやがれっ!」
大輝の言葉を挑発と取ったのか、最大個体は己の最大の武器である毒牙を剥き出しにして大輝へと襲い掛かった。まさに死力を尽くした突進という表現に相応しいスピードで大輝へと一直線に向かう最大個体。得意の水フィールドということもあってこれまでで最速といえるスピードであったが、大輝はそれに怖気づくことなく魔法を行使する。
「こちとら風呂の水汲みで慣れてるんだよっ!」
なんとも形容しがたい掛け声とともに魔力操作で沼地の水を自分と最大個体の間に壁のように展開し、自身は太ももまで浸かった水を掻き分けて2歩右へ移動する。水壁を作ったのは精密な操作を必要とする水魔法のステルス鎧よりも一気に現存する水を盛り上がらせる方が消費魔力が少ないままに相手の感知を逃れられることと、次に魔法を行使するのに集中しやすいためであり、2歩移動したのは突っ込んで来る最大個体と衝突しないためだ。
バシャッ
最大個体が水壁に衝突する音が響き、そのまま頭から水壁を突き破っていく。そして、あらかじめ最大個体の速度を読んでいた大輝がタイミングを合わせて次の魔法を行使する。
「氷結っ!」
最大個体の頭部が水壁を突き破って5メートル進んだところで水壁へ向けて発せられた魔法は液体を凍らせる魔法である。冷凍庫の冷却原理の1つである気化圧縮型を参考にした魔法である「氷結」は一瞬にして水壁を凍らせていく。
キシャア!
最大個体の呻き声が上がる。本来ならこの程度の魔法でダメージを受けるような外装はしていないのだが、頭部から5メートルの位置は魔石爆弾が爆発を起こした位置であり、致命傷に近い傷を受けている場所なのだ。
「こいつで終わりだ!」
強烈な痛みを感じたことで強引に突進を中止し、動きの取れなくなった最大個体に対して大輝は容赦なくトドメを差す。すでに断首台のような形になっているところに大輝がありったけの魔力を込めた風魔法で強化された右の小剣が断首台の刃の如く振り下ろされる。
ザシュッ ザシュッ
すでに千切れかけていた胴体はその一撃で半分が切り裂かれ、続く二撃目で完全に切断され、ようやくオオアナコンダ型巨大蛇である最大個体はその生命活動を停止した。




