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マヨヒガ亭にて

今回はまた紫&らんしゃまの掛け合いを描いたものですので、ほぼセリフのみとなります。あと、本来橙は八雲ペアとは別居している設定ではありますが、色々あって彼女もマヨヒガ亭居住者の一人となっております。

ご容赦下さい。



「……あれで、良かったのですか?紫様。」

「良いのよ、このまま上手く行きさえすれば…ね。」

「まぁ、貴女がそう言うのでしたら私は構いませんが……」

「それよりも、やっぱり最終的な選択はあの子に委ねる事になっちゃうのが不安よね〜。私は霊夢が幸せになりさえすればそれで良いっていうのに、その要であるあの子が余計な気を利かせて戻ってこなかったりしたらどうしようかしら?……今度は神隠しって事で引き摺り込んでやるのも悪くないかも知れないわね。」

「紫様もお人が悪い……どうせならビシッと『元の世界には戻れませーん!』って嘘でもなんでも吐いて、それで少年を神社に留めてしまえば良いものを……」

「人が悪いとは失礼な式ね。矯正が必要かしら?……はぁ。あなたも言った様に、そのやり方だと、私は霊夢とあの子に嘘を吐く事になってしまう。

考えてご覧なさい、良くも悪くも敏感なあの二人よ?私が匙を投げたりしたら、霊夢はあの子を戻す為に、あの子自身は勢い付いた霊夢に引きずられてがむしゃらに、元の世界に戻るにあたっての計算を始めるでしょう。それだけ頑張った後に結局私と同じ結果に辿り着いて、それで絶望を抱えたまま元の世界に戻ったりなんてしてみなさいな。霊夢は悲しむしあの子は帰って来ない、オマケに私は相当恨まれるでしょうね。そんなの死んでも御免だわ。」

「……成る程、それで今回の『保険』ですか。よりにもよってよく思い付きますね、こんな小細工。」

「私を誰だと思っているの?神算鬼謀のスキマ妖怪、八雲紫よ。……この程度、ちょちょいのちょいだわ。そもそも本来ならこんな稚拙なやり方、即刻見破っても良い筈なのよ、霊夢ならね。あれは相当参ってるわ、あー…目に悪い……」

「教えていないのですか?博麗の巫女には。……はぁ。全く、前言撤回します。貴女は人が悪いんじゃない、博麗の巫女が手に入らないから駄々をこねているだけです。」

「ふふっ、それで良いのよ。さっきも言った通り、私はあの子が幸せになりさえすればそれで良いんですもの。この八雲紫一人が枕を濡らす程度で済むのなら、喜んで受けて立つわ。」

「その割には未練たらたらな様ですけれども。……妖怪の賢者ともあろう者が人間に懸想した挙句、恋敵に株を譲るとは。そこらの低級共が聴いたらひっくり返りますよ?」

「勝手にひっくり返しておきなさい、そんなもの。……そもそも他言なんてした日には、どうなるかわからないあなたじゃ無いでしょう…?」

「ええ、ええ。わかっていますとも。……ではちょっと、橙を迎えに行って来ますね。どうせ、あの傘の小娘と遊んでいるのでしょうから。」

「……タイミングが限りなく怪しいのはスルーすべきなのかしら?行ってらっしゃい。」

「はい。」

「あ、そうそう、藍。」

「……?何でしょう?」


「偶には睡眠を取らないと、身体に毒よ?」


「……………………」

「ら、藍?どうしたの?」

「……誰の所為で眠れないと思ってるんだ!この!ぐうたら主人!!」

「ッッッ!……耳元で叫ばないでよ、鼓膜に悪いわ。」

「全く堪えてませんね…わかりました、ちょっと人里に行くついでに永遠亭にも寄り道して来ます。」

「……何故?」

「…………胃薬(ボソッ)

「いつも御免なさいねー、行ってらっしゃい。」

「欠片も御免なんて思って無いでしょうに…行って来ます。」

「はいはーい。」



「……はぁ。しかし、思ったよりきついわねぇ、見守る側っていうのは。………まぁ、これで霊夢が幸せになれるのなら、私は……

ふふっ、藍に胃薬二人分頼んでおくべきだったかしら。」





「只今帰りましたー。」「ゆかりさまー!ただいまー!」

「お帰りなさい、二人共。」

「では私は夕餉の準備をして参りますので。」

「ええ、頼んだわ。」

「らんしゃまー、きょうのごはんなにー?」

「今日は里芋の煮転がしともつ煮、そして椎茸の姿焼きだ。楽しみに待っていろ、腕によりをかけて作ってやる。」

「……あなたにしては統一性の無いメニューね。安売りでもしていたの?」

「里芋、レバー、椎茸共に睡眠不足に効くそうですので……」

「そ、そう……」

「ゆかりさま、かおまっさおだよ?だいじょうぶー?」

「……えぇ。心配なら藍にしてやって頂戴。」

「らんしゃまは大丈夫ー?」

「あぁ、大丈夫だ。……ちゃんと寝れば、な。」

「うぐっ……!」

「では、また後ほど。……橙、少し済まんが、手伝いをしてくれないか。」

「はーい!」


「(……私には、愛すべき家族がいる。共に歩ける仲間がいる。だから、霊夢は貴方に譲ってあげるわ。ーー諫早唯衣君。)」



「うわぁあ!?橙!血が!指から血がッ!」

「だいじょうぶだよ、らんしゃま。こんなの水で洗えば……にゃーん!」

「馬鹿、水は……あぁ、遅かった…」



「……………少し、騒がし過ぎるのが欠点かしらね?」




幻想郷の夜が、更けて行くーーー


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