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戦闘員だって考える、だって人間だもの  作者: 流離流留
第1歩「学生だって必死です、人生を変えてみたいんです」
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『――――――――なんだ、このカオス』


 「クケケケケ、貴様の肩に吸盤を取りつけてやる!」

 「おい、大人しくしろ!」

 「いまさら助かると思うんじゃねぇぞ!!」

 



 悲鳴をあげて逃げ惑う店員と客。

 それを追いかける全身タイツに装飾がついたようなスーツに身を包んだ男共。


 レジの上では(タコ+人間)/2を、雑に合体させたらこうなるだろうというようなクオリティの着ぐるみを着た男がふんぞり返って高笑いをしている。



 物陰に隠れた俺は、発泡酒とアタリメの入ったカゴを手に持ち、息を殺して様子を見る。幸いにも、戦闘員たちは片っ端から捕まえた客と店員を縛り上げるのに夢中で、店内くまなく探すきはないようだ。


 幸運にもトイレに入っていた俺に、奴らは気づかなかったようだ。





 全く状況がつかめない皆さんに端的に説明しよう。





 コンビニで、怪人と戦闘員が一般市民を襲っている。




 ここはあれだろ、日本だろ? なんだこれは、コスプレか? 撮影か?


 というか、いい加減俺は家に帰って、月に一度のささやかな楽しみであるプチ酒盛りをやりたいんだよ。アルコールが欲しいと体が暴れまわってんだよ。




 だが、そんな祈りもむなしく店内の騒動は激しさを増している。

 なにやら縛り上げた人質どもに、タコ怪人(俺が今命名)が何やら派手に演説をぶちまけている。



 こいつらの目を盗んで脱出、という案も一瞬考えたが、ご丁寧に戦闘員が出入り口にしっかり立っている。

 ・・・よく見たら店外は野次馬でごった返していた。



 流石にこの状況は、誰がどう見ても撮影だもんなぁ・・・。



 することがない俺は、そのうち何とかなるだろうという、いかにも都会っ子な思考のもと、『様子を見る』コマンドを選択。




 「我らの名は『ヒール団』、この世界を改変するものである! 我々は偉大なる大総統カイザーオブデビル様のご神託の元、この腐りきった世界を本来あるべき姿へと戻さねばならぬ! 手始めに、この国の人々の気高き精神を堕落へと導いたここ、コンビニエンスストアなるものを崩壊へと導くのだ!」


 くぐもったような声の演説が終わると、戦闘員たちが一斉に拍手。





 ――――――――なんだ、このカオス。




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