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戦闘員だって考える、だって人間だもの  作者: 流離流留
第5歩「同僚だって友人です、なかよしこよしが一番です」
32/39

『うるさい馬鹿! だったらお前が代われよ!』



「じゃあ、準備はできた?」


「出来てないです、嫌です、帰りたいっす」


「じゃあ、東雲。合図お願い」


「あいよー」


「俺の話を聞いてくれ!」



 移呂井に半ば引きずられるように連れて行かれたのは、博士の常駐している研究室――――の奥の実験室。

 博士曰く、固有武器などの試験場でもあるらしいのだ。博士と東雲の二人は二階席からこちらを見降ろしている。飲み物まで持ち込んで、まるでスポーツ観戦気分。


 こっちは泣きそうだ。目の前には激しい光を放つ鞭をヒュンヒュンと、自分を中心に繭を作るかのように回転させ続ける移呂井。それはある意味、死角のない鉄壁の防御。


 そもそも、あの長さの鞭を人間があんなふうに回せるものなのか?


 試しに俺が一歩踏み出した、その瞬間。閃光のように鞭が飛来し、慌てて引っ込めた足があった場所の床を綺麗にえぐり取った。



「ちょ、移呂井さん。容赦なしっすか!」


「戦闘服着ているんだから死にはしないわよ」


「死にはしないだろうけどひたすらに怖いっすよ!」


「おーい、羽賀也~、早く始めろよぉ~。観客退屈させんなよ~」


「うるさい馬鹿! だったらお前が代われよ!」


「無理無理。俺の【交差天サザンクロス】よりも惑伊ちゃんのリーチの方が長いんだもん。勝てっこないよ」



 そういえば、固有武器には「固有」と冠するだけあって、それぞれに名前が付けられている。東雲が使っていた十字架形の鈍器。あの武器の名前が【交差天サザンクロス】。移呂井の使っている鞭が【離鞭花冠アモーリス・カローラ】。



「言っておくけど、私の趣味で付けたわけじゃないから」


「俺のネーミングでもないぜ。気に入ってるけどな」


「効果・名称は全てわしの一存で決まっているのじゃ!」


「お前の仕業か!」


 博士がにやにや笑いながらコーヒーをすする。


「さーて、わしの開発した【離鞭花冠アモーリス・カローラ】に、徒手空拳でどこまで立ち向かえるかのぅ?」


「お前が俺に何の武器がいいか聞き忘れたからこうなったんだろ!?」


「さあて、そんな事実は忘れたわい」


「都合のいい脳みそだなぁ、おい!」



 俺の反論にやれやれと首をすくめる博士。駄目だ、こいつ。俺は移呂井との模擬戦闘が終わったら、あの爺を思いっきり殴り飛ばすことに決めた。

 


 さて――――、それじゃあ戦いが終わったらやることも決めたし。このまんまダラダラしているのも性に合わないし、何より初めての、模擬とは言え戦闘の機会をみすみす逃すのももったいない。

 なによりも、俺がどこまでやれるのか――――試してみたい!


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