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戦闘員だって考える、だって人間だもの  作者: 流離流留
第3歩「征服だって目標です、だってやってみたいんです」
19/39

『手術室からここまでは徒歩2分かからんのじゃぞ』



「・・・で、俺はここにきてから改造手術とモンハンしかしてないんですが。いい加減この組織についてもっと説明とかないんですか」



 しびれを切らせた俺がようやくの思いで質問をぶつける。今はクエストがひと段落ついたので、皆でのんびりっつーかダラダラしていたところだ。

 なんかこのままだとズルズル先延ばされて、このグダグダ展開から抜け出せなくなる。


「えー。博士、あんた説明しといてくれなかったの~?」


「手術室からここまでは徒歩2分かからんのじゃぞ」


「充分じゃね?充分。そんだけあったら説明できっしょ」


「だとすると、おぬしの組織は二分で説明できる内容ということになるが・・・」



 博士の言葉にめんどくさそうに長髪をかきむしる総統。けだるげな物腰からは自分の組織に対する誇りとか想いとかそう言ったたぐいのものがまるで感じられない。


「アタシの組織って言っても、作ったのはおじいちゃんだからね・・・。遺産と一緒に引き継いだようなものにそこまで思い入れがないのよねぇ・・・」


 どうやらヒール団は世襲式の団体のようだ。

 この話だけ聞いた人は、これが悪の組織の話とは思いもしないだろう。せいぜい下町の中小企業の身内の話か何かと考える。といっても、〈地方の中小企業〉という表現にさほど違和感がないのも事実だが。


「あの・・・、そう言えば総統さん。以前新人用のマニュアルのようなものを作っていらしたように思うのですが・・・」


 恐る恐るといった感じでまほろさんが手を挙げて発言する。どうやら彼女の頭には〈発言するときは手を挙げよう〉という小学校の学級会で教わったことがいまだに色濃く残っているようだ。


「なるほろ。グッジョブだよ~、グッジョブ! 穂村ちゃん、流石我が組織のウサコッツ!」

 

総統に褒められて照れたようにうっすらと頬を染めるまほろさん。そして、要約すると癒し系、というポジションに深くうなずく。勤続2時間の俺でも既にしっかりと癒されている。




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