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戦闘員だって考える、だって人間だもの  作者: 流離流留
第2歩「改造だって医学です、本質的には一緒なんです」
14/39

『総統。新人を連れてまいりました』


 えーと、軽口こそ叩いているが実はかなり緊張している。

 

 なんていっても、これだけの。よりにもよって世界征服を謳っている組織の親玉なのだ。よっぽどのサイコ野郎か中二病野郎か駄目エリート野郎なのだろう。顔を見るのが楽しみだ。

 

 

 気づけば爺も冷や汗をかき、せわしなく自分の白衣を整えている。ようやく意を決したのか、俺に声をかける。


「では、葉剛よ。行くぞ」


「了解、じじ・・・、すまない。今さらだが、名前を教えてくれないか?」


「罷屋。罷屋(まかりや)路傍(ろぼう)じゃ」


「んじゃ、罷屋博士だな」


「別に爺でもいいがな」

 


 くっ・・・、俺の心の中の二人称が見透かされていやがる。居心地の悪そうにする俺を楽しげな眼で見ると、じじ・・・罷屋博士がドアをたたき、物々しく告げる。


「総統。新人を連れてまいりました」


「おーう。入れ入れ。ちょうど面子が足りなかったんだよ、面子が」


 

 ――――――はい?

 


 次の瞬間、自動ドアが音を立てて開く。

 

 その中で。




 ソファに所在なさげに座ったコンビニで会ったばかりのタコの怪人と、床に寝っ転がっているジャージを着た20代後半のスれた感じのやたら長い髪をした女が一狩り行っていた。


 あっけにとられている俺の眼の前で挑発女が異様なまでのテンションで博士に声をかける。




「うーっす、路傍。相変わらず小汚い格好してんなぁ。いい加減風呂入れよ風呂」


「・・・・・大浴場に向っている最中におぬしに呼び止められてコイツの手術を頼まれたんじゃがなぁ・・・」


「そうだっけ? まあいいや。んで新人、お前のPSPだよ。さっさと準備しろ準備」

 

 ポンと、まるでボールでも渡すかのように投げ渡されたのは紛れもなく俺のPSP。中にはちゃんと自分のモンスターハンターが挿入されている。おかしい・・・・・・。




「勝手に荷物漁ったが・・・別にいいよな、な! だってアタシ総統だし総統。何してもOK、OK,モウマンタイ的な的な?」


「・・・・・・はい」

 

 

 あまりのハイスピードトークにあっけにとられ、助けを求めようと博士の方を向く。だがその博士は俺と目が合うと静かに首を振り、自分の白衣のポケットから取り出したPSPを起動した。


 何という準備の良さ。



「(まずは総統の言う通りにするのじゃ。怒らせたら何をされるかわからん)」


「(そ、そうですね・・・)」


「さっすが博士! ノリがいいねぇぇぇぇえ! 今年で80超えてるなんて誰も思わないよ誰も! そこにシビれる憧れるぅぅぅぅぅっっっ!」

 

 

 まさかとは思うが・・・・・・、このハイテンションな女がこの組織のボスなのか? この常時酔っぱらいモードのこの女が?

 


 しかし、博士の様子を見るに、この女がヒール団の親玉らしい。予想の斜め上を彗星のごとく超えていった結果がこれか。

 



 その時、今まで聞いたことのない声が俺の耳に飛び込んできた。



「・・・・・・あのぉ・・・、総統。ポーズしてないから総統のキャラがイビルジョーにぼこぼこにされてますよ・・・」


「何ィィィィィっ!? なんてこったい! どうして助けてくれなかったんだよ!」


「わ、私はライトボウガン専門ですから・・・。スラッシュアックスは不慣れで・・・」


「この薄情者ぉぉぉぉお! ええい、こやし玉はどこだこやし玉はぁ!」

 

 

 俺はその声の主を見つけて唖然とした。目の前のハイ女が本当に親玉だったということ以上に驚いた。ある意味では自分の予想が当たっていたということでもあるのだが。




 今の鈴を転がしたような甘い、それでいてかわいらしい声が、タコ怪人の口から聞こえてきたことに。






 これにて第二章終了です。

 ようやく女性キャラが出せました。


 ほとんど野郎二人のトークでここまで来てしまいました。目指せ、キャッキャウフフ展開←


 それにしても、部数の割に字数が異様に少ないですね。今度まとめておきたいと思います。


 それでは、次回より第三章の開幕です。

 お楽しみに。




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