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ハハ、生徒会長の私がカードバトルなんてするはずないだろう

作者: 凍港くもり

 

「タイちゃん、いる?」


 海老原が、ひょいと生徒会室に顔を覗かせる。肩にかかる長い癖毛は天然の茶髪だ。お姉ちゃんからのお下がりのぶかぶかの制服。いずれ背が伸びるからと言われてたけを直さず着続けて2年。まだぶかぶかだ。小柄な体は制服に着られている。


「いる」


 私は参考書から目を離さずに答えた。


「今日は遅れてごめん、寂しかった?」


「全然」


 本当は少し心配だった。事件か事故に巻き込まれたのでは、と考えた。しかし私は生徒会長だから、これしきの事で動揺したくない。極めて冷静を装った。


「それより、だ。今日は新しいパックの発売日だろ」


 私はいそいそとカバンからデッキを取り出した。話したいことが山のようにある。


「そうだった、早速揃えたの?」

 

 海老原は目を輝かせた。普段は眠そうな目をしている海老原だが、興味深いものを見つけた時、その目はきらきらと輝く。前髪が厚い海老原だが、よく見ると綺麗な目をしている。


「もちろん、私のスケルトンデッキ。それが強化できるカードが揃ってるからな」


 今日はパックの発売日だ。パックとはカードゲームのカードが入っている袋のことだ。中身がわからない状態で購入する。中身のカードは珍しくて強いものと、高い頻度で入っている弱いものがある。何が出るかわからないので気軽にギャンブルが楽しめる。パックから入手したカードを決まった数、集めてカードデッキを作る。このカードデッキを2人が持ち寄って戦うのがカードバトルだ。手持ちのカードで工夫してデッキを組むのがカードゲームの醍醐味だ。


 カードゲーム。私はこれにどっぷりとはまっている。

 始まりは海老原から。海老原がカバンにつけていたアクリルキーホルダー。私はそれから目が離せなかった、あまりにも良かったのだ。私にはそれが光って見えた、ゲームの中で、重要なアイテムが輝くように。私はそれが私の人生にとって大切な存在であると確信した。退屈な日常から逸脱した存在だった。オタク趣味は恥ずかしいこと、そう思いグッズやアニメの話は極力控えていた。だって私は生徒会長だ。生徒会長には、生徒会長のイメージがある。投票してもらった責任があるから。

 そんな私を捉えて離さない魅力的なキャラクター。私は自分の信念を曲げてでも詳細を知りたかった。


「ホムラかわいいもんね」


 私がアクリルキーホルダーを指差しながら、もごもごと口を動かしていると、海老原が言った。私は激しく同意した。具体的には、首をブンブンと縦に振り、


「ンかわいい!!!」


 と言った。我ながら気持ちが悪い。仕方がないんだ人生はじめての推しだったんだ。

 海老原は、ニコリと微笑むと、


「わかるー」


 と言った。その言葉が嬉しかった。そのキャラクターは爆炎の弓使いホムラ。バサバサの長く赤い髪、大きないかつい弓、意思の強そうな美しい瞳を持つ。カードゲームのキャラクター。


「この子はね、低コストで運用できる強力な遠距離攻撃キャラクターですごく人気があるんだよ。ちょうど今、発売中のパックで出るから、帰りにカードゲームショップ寄ってみ」


「行く」


 食い気味に私は言った。一刻も早く彼女が活躍する世界を詳しく知りたかった。

 私はその日、初めて塾を休んだ。体調が悪くて、そう嘘をつくのは心苦しかった。私は成績優秀で週五の塾も喜んで通っていたので、一言のメッセージ送信だけであっさり休めた。

 私はカードショップで新しい世界を知った。もともとゲームはする方だ。ソシャゲに課金もしている。だが、わざわざ紙のカードを買い、対面で試合をする。その必要性がわからなかった。だから、カードゲームに対しては、世間一般の共通認識であるネガティブな印象を持っていた。


 だが現実は違った、とにかく楽しかった。ソーシャルネットワークゲームと違うところは、海老原がうなずいてくれるところ。私が脳内に留めていたゲームに対しての熱い情熱。キャラクターに対しての愛。それら全てを海老原は聞いてくれた。うなずいて、微笑んで、肯定した。私は無事、ホムラのカードを引き当てた。パックをむいて中身を確認するあの瞬間の胸の高鳴り。狙ったカードが出た高揚感。それらは私をおおいに満足させた。


 私はカードゲームの虜になり、その日のうちに、ホムラのフィギュアを購入したのだった。


 それから私はカードについて情報を仕入れ、どんどん詳しくなった。デッキ構築について考える時間も増えていった。それらは私の日常に彩りを与え、勉強への集中力も増したのだった。今日模擬問題を解いて、80点以上だったら新しいパックを買う。そんな制約を設ければ、学力もメキメキと上がった。もともと私は優等生だ、そして生徒会長だ。だから、趣味と学業の両立も造作ないのだった。









「へー、見たいなスケルトンデッキ」


 私の脳裏にはカードゲームに出会えた、あの日の喜びが駆け巡っていたが、そんなことお構いなしに海老原は言った。


「あぁ見てくれ」


 私は組んだデッキを海老原に渡した。海老原は感嘆の声を上げると、小さな手でデッキのカードをスライドした。海老原は私のデッキを何度も見ている。今回新しく入れたカードだけに反応し、解説を求めた。私はそのたびにしたり顔でカードの説明をするのだった。この瞬間が気持ち良いのだ。


「いいねぇ、今回のパック、タイちゃんのデッキとシナジーあるね。運営がタイちゃんのファンなのかもね」


「運営が一個人の私のファンのはずないだろう」


 とは言え、新発売のパックが私の望んだ通りのものだった。もしや世界の中心は私なのではないかと錯覚してしまうほどに嬉しい。


「早速バトルしよう」


 私はいてもたってもいられなくて、海老原に勝負を仕掛けた。


「いいよ、泣いたって知らないからね」


 そう言った海老原は、


「うわーん!もう降参ですー!」


 すぐ泣くのだった。


「4ターンか、手札が良ければ、もっと短縮できるな」


「情け容赦ない」


 海老原が恨めしそうに私を見つめた。


「とは言え、スケルトンデッキは少し強すぎるな。私はこのクソ雑魚デッキを使うから、海老原は本気デッキでかかって来い」


「え?え?舐めないでもらってもいいかなぁ、アタシ、強いから、今のはサービスだよ。タイちゃんにカードゲームを教えたのは誰だと思ってる?」


「カードショップの店長」


「そうだけど!アタシが教えるの下手だから、見かねた店長が教えてくれたけどね。アタシでしょう?タイちゃんが優秀なプレイヤーになれたのは、アタシの…」


「滅亡のドライブストリーム」


「あっ、死んだんだけど?ねぇ、いつの間に?いつの間に、アタシ死んだの?」


「海老原、自陣のカード揃えるのに夢中になって、相手のカード見てなさすぎる。そんな事だから、テストやばいんだろう。もっと状況を見て」


「え、見てたけど」


「視界に入れりゃいいってもんじゃない」


 海老原はギャンギャン文句を言うが、負けは負けである。せっかく手加減したのに。


「でも雷カードの付け忘れをしなかったし、2ターン目でメカゴブリンを防御させたのはすごくよかった」


「そうー、アタシもそれ天才だと思ってて」


「調子に乗るんじゃない」


「いやー、タイちゃんは強いなぁ」


 海老原がへらへらと笑う。負けたのに笑っているなんて…。そう思わなくもないが、それが海老原の良いところなのだろう。


「クジラ君いるでしょう?あの前の席の。クジラ君もさぁ、カードゲームやるって。タイちゃんとどっちが強いのかなあ」


「私は」


 口を開いてから、言いよどんだ。


「別に、他のやつとカードゲームしたくない」


 ふい、と私はそっぽを向いた。


「なんで?」


「別に、また海老原と生徒会室でやればいいし。私は生徒会長だから、カードゲームなんてやっていたら、公約違反になる。私は趣味の時間の一切を捧げて、この学園のために尽くすと誓ったのだから」


 私は生徒会長に立候補したときの演説の内容をよく覚えている。全校生徒を前にして、私の熱い思いが皆を動かしたのだ。期待に応えなければいけない。


「えー、でもカードゲームやってるじゃん」


「だから内緒なんだ、これは。これが敵対候補に知られたら、私は失墜する」


「みんなタイちゃんの働きに満足してるから、大丈夫だよ」


 海老原が呑気なことを言う。


「みんなが海老原と同じ考えじゃないだろう」


 そうかなぁ、と首をひねりながら海老原はカードをパチパチし始めた。小さな身長でパイプ椅子の背もたれにもたれて座ると、足が届かないようだ。足をぶらぶらしているのが、テーブル越しに伝わってくる。私はこの時間をひどく有意義なものだと感じるのだった。











 その日の私は迂闊だった。


 具体的に言うと舞い上がっていた。


 テストの結果は私を満足させたし、両親は私を褒め讃えた。英語の点数はクラスで1番で、数学は100点だった。まぁ、数学は問題が簡単すぎて100点が3人いたので、それほど価値はないが。ここでしっかりと100点を取れたのは僥倖だろう。


 だから、油断していたのだ。私は普段はカードゲームのデッキを持ち歩く時は厳重に封をした。鞄の底に大切にしまうのだった。だが今日は違った。朝の支度を終えてコーヒーを飲んでいた私はホムラのカードを眺めていた。朝の光に照らされたホムラを角度を変えて、じっくりと眺めていた。何度見ても可愛い。もっと見ていたかった。いつも鞄の底にホムラを閉じ込めているのが申し訳なく思えてきた。私は何の気なしにホムラを、ホムラのカードを胸ポケットに入れた。それがいけなかったのだ。


「なんだこれ」


「カードじゃん、オタクー」


「違うって、落ちてたんだって。誰がこんなブスをさぁ」


 滝鯉と岩志が教室で騒いでいた。参考書を読んでいた私は不快な声に眉をひそめた。この2人は授業中にヤジを飛ばし授業妨害するのが趣味だ。それがかっこいいと思っている愚かな人間だった。いつもなら無視して参考書に視線を戻すところだ。だがその日は、妙な胸騒ぎがした。


 滝鯉が手にしていたカードを床に叩きつける。翻ったそのカードには赤い髪のキャラクターが描かれていた。私は思わずメガネをおさえた。そこに描かれているのはホムラだった。


「誰のこれ?なにこれ?うちのクラスのオタクって言ったら、誰だっけ」


 私は血が凍るような寒気を覚えた。急いで胸のポケットを確認した。右手を入れてまさぐる。そこには何も入っていない、空だった。朝、入れたはずのホムラのカードが無い。


「これさー、クジラのじゃない?オタクって言ったら、クジラじゃん」


 嘲笑とともに、滝鯉と岩志はクジラに視線を向けた。


「えっ…へ?」


 クジラは素っ頓狂な声をあげた。普段は教室の隅で縮こまっている。目を伏せて学校に来て、声を出さずに1日を終えて下を向いて帰る。そんなルーティーンを繰り返している生徒だった。


「聞いてなかったの?」


「お前のためにもう一回説明するのダルいんだけど」


 理不尽に2人は責め立てる。


「ご、ごめ…」


 クジラは消え入りそうな声でうつむいた。


「これ、お前のか?って聞いてるの」


 滝鯉が床に捨てたカードを指差した。


「僕のじゃないけど…」


「お前以外に誰がいんだよ、こんなブス持ってんのさぁ」


 滝鯉がブスと形容するのはホムラのことだろうか。私はふつふつと怒りが湧いてきた。


「ほむ、ホムラだ、ブスじゃないよ。機動力が高い弓使いで、どのデッキでも主役級の働きするし…」


「やっぱ、お前のじゃん。キモ!」


 滝鯉はカードを踏み付けた。ホムラのカードを。


「いや、やめてょ…!」


 クジラは慌てて立ち上がる。同時に私も立ち上がった。私は激しい怒りを感じていた。私は滝鯉が許せなかった。私の推しを侮辱したこと、他人の私物を足蹴にすること、クラスメイトに暴言を吐いたこと。その全てが不愉快だった。私の怒りは大きすぎて、思ったように言葉が紡げなかった。全校生徒を相手に演説した時はすらすら言葉が出てきたのに。人間が暴力に訴えてしまう理由が、言葉よりも先に手が出る理由が、そのシチュエーションを理解した。おそらくこんな瞬間なのだろう。激しい怒りを言葉にするよりも早く手が出てしまう理由。もし手に銃を持っていたなら、私は引き金を引いたかもしれない。


「アタシのだよ」


 声が聞こえた。怒りで震える私の耳に凛とした声が。


「それはアタシのカードだよ」


 滝鯉の目をまっすぐ見据えて、海老原が言った。いつの間にそこにいたのだろう。私の逡巡は私が思ったよりも長かったようだ。


「へー」


 滝鯉はバツが悪そうに足を上げた。


「いやこれ、クジラのだと思ったからさぁ。クジラがはっきりしないから悪くて」


 滝鯉は言い訳をしながら、カードを拾う海老原を目で追った。海老原はモゴモゴと言い訳をする滝鯉を無視してクジラに話しかけた。


「ありがとう、このカードを守ろうとしてくれて」


 海老原は、ホムラが描かれている面をクジラに見せながら言った。


「あ、うん」


 クジラは何度もうなずいた。海老原とクジラは微笑み合う。海老原はホムラを守ってくれた。クジラはホムラを守ろうとしてくれた。それは私のカードなのに。そのカードの持ち主である私は、ただ立ち尽くしているのに。


「感じ、悪」


「な」


 滝鯉と岩志が文句を言う。このままではいけない。滝鯉と岩志の破壊的な鬱憤が、海老原とクジラに向くのを私は恐れた。私はツカツカと滝鯉と岩志に歩み寄った。


「滝鯉」


「うわ、なんだよ」


 滝鯉は驚いて私に視線を向けた。私は滝鯉としゃべったことがない。その必要性がないからだ。それは滝鯉も同じだろう。


「公共の場で容姿を蔑む発言は感心しない」


「は?」


 滝鯉は間抜け面で私を見上げた。


「他人の私物を踏みつける行為も同じだ。人格を疑うよ」


 私は思い切り滝鯉を見下した。もともと愚かだと思っていたが、まさかこれほどとは。


「は?メガネ?何、喧嘩か?」


 滝鯉は身構えた。滝鯉の身体に熱が巡るのを感じる。バンと机を叩いて威嚇してくる。臨戦体勢だ。


「喧嘩はしたことがないな、ゲームをしよう滝鯉、私と」


 私は最寄りの椅子に座ると、右手を差し出した。


「は?腕相撲?」


 馬鹿でもそれぐらいはわかるみたいだな。私は肯定を示すべくうなずいた。


「ばかじゃねーの、お前。勉強だけできるやつが、俺にかなうわけないじゃん」


 滝鯉は挑発しながら、私の手をがっちりと握った。滝鯉の手は熱い、じっとりと汗をかいている。馬鹿は体温が高いな、と思ったが言わなかった。これから腕力で負かす相手の知力まで否定するのは少々かわいそうだ。


「はい、お前の負けー!」


 滝鯉は、突然右腕に力を込めた。私が審判を誰に頼もうか、思案している隙に。一瞬で勝負を決めようと全力で倒しに来る。私は滝鯉の、歯を食いしばる必死の形相を横目で見た。


「ぐぬぬぬぬぬ」


 おそらく滝鯉は声を出したつもりはないのだろう。だが人間、自分の限界を超えようとするときは、必死で壁に立ち向かうときは、声が出てしまうものだ。私は滝鯉から目をそらさずに、じっと見据えた。右腕をピクリとも動かさずに。


「てめ、てめぇー!」


 滝鯉は全体重を預けるように右腕に力を入れ続ける。だが、力の入れ方がまるでなっちゃいない。そして私は勉強だけの男ではない。有事に備えて体を作るのも、生徒会長の勤めだ。優秀な成績をおさめながら体を鍛えることも、私には造作もないのだ。私はゆっくりと右腕を押し込んだ。滝鯉は悲鳴を上げた。そして悲鳴とともに椅子から転がり落ちた。その音は教室に大きく響いた。教室中の視線が私たちに集まる。


「いやインチキ、俺負けてないし」


 私は、いい加減面倒くさくなってきた。どうしてこの馬鹿とこれ以上戯れなければいけないのだろう。


「タイちゃん大丈夫?」


 海老原が不安そうに問いかける。もちろん大丈夫だ。椅子から転げ落ちたのは滝鯉で、私ではない。私は手のひらを海老原に向けひらひらと動かして見せた。


「大丈夫」


「あ、あの、ありがとう、助けてくれて」


 クジラが申し訳なさそうに声を上げた。とんでもない、助けられたのは私だった。あの時、クジラがホムラを、ホムラのカードを庇ってくれた事が、私は嬉しかった。私は見ていることしかできなかったから。私の推しが侮辱されて、傷つけられるのを助けられなかった。激しい怒りに震えるだけで何もできなかった。何が生徒会長だ。海老原と、クジラがホムラを助けてくれたから、私は冷静になることができた。


「お前、お前、こんなことして…、何のつもり、お、おい」


 滝鯉が何か言いたそうに、私の周りをウロウロしている。どうやら私の目論見は成功したようだ。滝鯉は私を視界に捉えている。海老原やクジラに執着しなくて良かった。私は滝鯉を無視して倒れた机を元に戻し、その所有者に詫びた。幸い机の中身は散らばらずに済んだ。


「タキコ、もうその辺で…」


 岩志が滝鯉をたしなめる。滝鯉は何事かつぶやいているが、それはもう私の興味の外だった。


「会長って、力、強かったんだ」


「メガネなのに」


「なに?何が原因?何、今の音?」


「会長と滝鯉が、腕相撲して…」


 生徒たちがざわめく。事情を知らない生徒たちにも情報が伝えられていく。さざ波のようにざわめく声が波及する。


「クジラ」


 私は恩人に呼びかけた。


「えっ」


 集中力の糸を切らしていたクジラは大袈裟に驚いてみせた。


「私はカードゲームをするんだ、クジラは?」


「あ、するけど?僕は…」


 私の質問の意図が掴めずに、クジラの視線は宙を舞った。


「私もカードゲームをするんだ、よかったら、今度その話をしよう」


「会長も?い、意外」


 クジラは目を白黒させた。


「タイちゃん、それ」


 内緒じゃなかったの?海老原の目がそう言っていた。


 いいんだ、隠し事はやめたんだ。私はオタク趣味は生徒会長にふさわしくないと思った。だが、隠し事をしていたら肝心な時に動けなくなる。隠したままでいかにして切り抜けようか、保身が先に頭をよぎってしまう。


 私が守りたいのは、生徒会長の地位ではない。この平穏、推しとの時間。海老原との時間なのだ。

冒頭部分を読みやすくなるように少し修正しました。


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