第7話 収容
翔は職員に誘導され、無機質な廊下を歩かされた。
いくつもの扉を抜けた先には、薄暗い巨大なホールが広がっていた。
そこにはすでに何十人もの男女が集められていたが、列は二つに分けられている。男性は右側、女性は左側。どちらの列も、一様に衣服を剥がされ、素肌のまま立たされていた。
「こちらで服を脱いでください」
差し出されたプラスチック製の箱には、名前の書かれたタグがぶら下がっている。
翔は抵抗を試みようとしたが、周囲を見渡して言葉を失った。男も女も、誰もが従順に服を脱ぎ、たたんで箱に収めていた。すでに下着すら許されていない。
皮膚に直接触れる空気が冷たく、翔は腕で胸を隠した。だが係員は無表情に肩を叩く。
「隠さないで進んでください」
男女それぞれの群れが押し込まれた先には、鉄柵に囲まれた巨大な檻が二つ並んでいた。片方には男たち、もう片方には女たち。金属の軋む音が耳を刺す。
柵の向こうからは、先に収容された人々の呻き声やすすり泣きが交錯して響いてくる。
翔は男の檻に足を踏み入れた。床はコンクリートの冷たさが骨にまで染み込む。
背後で扉が閉まる音が響き、錠前が回された。
群衆の中で、誰かが呟いた。
「……俺たち、もう家畜なんだな」
その言葉が、場の全員に突き刺さった。女の檻の方でも泣き声が止まり、沈黙が広がっていく。
誰も否定しない。ただ沈黙だけが檻を支配する。
翔は鉄格子に手をかけた。冷たい金属の感触が、もう戻れない現実を突きつけていた。