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平凡な守り神  作者: yuki
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カインと私3

料理はおいしいかった。お腹もすいてたし、何より味付け!まったく辛くない。私はワサビとか唐辛子とか大の苦手。小学校の時点で給食のカレーは辛すぎてきつかった。激辛料理を食べる人はドМだと確信している。


カインは不服そうだったけど無視無視。一人より二人のほうが絶対ご飯はおいしい。


食事がひと段落して、食後のお茶を二人で飲んでいた。う~ん。このお茶美味しい。ちょっと緑茶ぽいけど香ばしいし。お腹もいっぱいだし、これはお昼寝するしかないね☆



「アオイはどうして私と昼食を共にしようと思ったのだ・・・?」


急にカインが聞いてきた。敬語はもう使わなくなった。よしよし良い傾向だ。


「どうしてって・・・1人よりも誰かと食べた方がおいしくない?あっ・・・ごめん。こっちにはそうゆう風習ないの・・・?」

もしそうなら悪い事したな~。もっとこっちの事勉強してから言うんだった。


「いや、そういう事ではない。こちらでも友や家族で食事をともにする。私が言いたいのは・・・。私が気味悪くないか?私のように赤い髪の人間は稀だ。親でさえこの色を嫌った。血のようだと言う者もいる。ここの神官たちはそうではないが、一般にみてもあまり好かれる色ではない。」


質問をしたカインの方が驚いていた。なぜ自分はこんな質問をアオイにしたのだろう。あってまだ半日もたっていないのに。たとえ守り神であってもこんな自身の事を話すなんて・・・。普通の少女に見える守り神。もし創造主が連れてこなければ気がつかなかったであろう。それくらい平凡な少女。少し強気で、王宮での決まり文句でさえ、言えないと勝手に文章を短くした。流れに支障はなかったが、すごい度胸だと呆れた。



「え~、カインの髪の色キレイだと思うけど・・・夕焼けみたいだし(何より天然って感じがする。イキがったガキの色とはちがうわ~)。サラサラのまっすぐ。羨ましい・・・。私は癖っ毛だからすごい広がるし、それが嫌。人それぞれ悩みがあるのね~」


私はカインの髪を触ってみた。ホントにサラサラ。CMで見るあの、サララララって感じ。天使の輪っかももちろんある。今私は、ソナウイ仕様の髪をうしろでまとめているから分かりにくいけど、梅雨の時期とかは悲惨。膨らむわ、跳ねるわ、爆発するわ。跳ねるのも内向き・外向きならいいけど、左右ともに右に向いてたら最悪。どんだけなびいてんねん、もしくは妖気感じてマスみたいな感じになる。

いやーホントにサラサラ。三編みで寝たら次の日カールしてるのかな・・・。いや案外すぐにまっすぐに戻りそう。三編みかぁ、挑戦は大事よね。23歳 男の三編み。文章でみたらキモいけどカインなら似合いそう。

若干変な事を考えず、カインの髪を触っていた私なのでした。



カインサイド

アオイは私の髪をキレイだと言ってくれた。何よりもすぐに髪質の話をし、なんでもないように言った。誰でも悩みはあると。アオイは意図せずに言ったに違いない。しかし私には衝撃は強かった。幼い頃から赤い髪だという事で云われない差別を受けてきた。気持ちが悪い、不吉なもののように扱われてきた。神殿で生活するようになってもそれは変わらなかった。もちろん神官たちは親や村人のように邪険に扱う事はなかった。しかし、やっぱり浮いてはいた。赤い髪の不幸な少年。同情心で接する神官もいた。

神殿には友もいる。あやつらは私をカインとしてみてくれる。しかし、カインとして見てくれるまでに時間がかかった。私自身が感情の起伏が少ないのも原因の一つだが。


アオイは違った。赤い髪のカインではなく、カインを見てくれた。アオイにとって色よりも髪質が気になるらしい。自分は癖があると。私からしたら可愛らしいものだと思うが・・・。そこで気がついた。誰よりも赤い髪に固執していたのは自分であったと。私がアオイの髪に感じるようにアオイが私に感じる赤い髪など些細な事なのだと。

心底笑いたくなった。愚かな自分に。そして気がついた。なぜ、アオイにこんな話をしたのか。それはアオイに受け入れてほしかったから。あのアオイの微笑みをみた瞬間から私はアオイに魅せられていた。今、私の髪を触っている愛しい守り神に。


創造主 ソナウイよ。アオイを守り神としてこの国に、導き本当に感謝しております。私はどんな事があってもアオイを守りぬきます。









使用人たちは、まったく違う種類の笑みを浮かべるアオイとカインの様子をメモに取りながら観察していました。そしてその日の午後にはメモは報告書となって神官長補佐の所まで提出されました。

もちろんこの神官長補佐はカインの悪友です。

「おいおい、カインてば面白いネタを提供してくれるねー。これで1週間は笑えるぞ」


本人自覚なしですが、カインはみんなから好かれてます。

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