シュヴァと私
〈少し前〉
神殿の中心部、神の座に声が響いた。
「守り神が誕生した。名はアオイ。今から我 ソナウイが第4国に連れてまいる。」
神殿では皆、耳を疑った。守り神が誕生した。そこまでは理解出来る。喜ばしいことだ。先代の守り神は10年前に崩御された。国中が待ち望んだ守り神の誕生だ。
問題はそこではない。創造主ソナウイが連れてくる?創造主は滅多に姿を現さない。たとえ守り神が崩御されてもそれは変わらない。記録に残っているソナウイの姿は1000年前だ。それも一瞬のことであったそうだ。
その神がこれから神殿に降臨なさる。守り神を連れて。
その後の神殿は大パニックであった。もともと神官になるものは喜怒哀楽が少ないものが多い。そんな者たちが冷静な行動がとれず、あちらこちらで大声を出している。たまたま神殿に来ていた王と王妃は 明日は雨かしら と呑気であった(神の声は神官にしか聞こえない上に神が話す事自体が稀)。
「静まりなさい!!創造主が守り神を連れて降臨されるのです。皆失礼のないように心を落ち着かせなさい。今日は王夫妻が参られています。王太子殿下に神殿にお急ぎ参られる連絡を。万が一にも失礼があってはいけません。身支度を整えた者から神の座に集まりなさい。」
薄い赤髪・空色の瞳の青年は言った。神官長のカインである。若干20歳で現在の地位まで登りつめた。3年たった今でも能力は伸び続けている。彼は神官たちの中でも特に喜怒哀楽が少なく、また欲もなかった。カインの言葉を聞いた神官たちは、一斉に自分を取り戻し各々動き出した。
カインは王夫妻に状況を説明するために振り返った。
「王、王妃。今聞かれた通りにございます。創造主ソナウイが守り神をお連れになって我が国に向かわれています。至急ご準備を」
王夫妻は驚きながらも王宮に戻った。王といってもそれは人の頂点に立つもの。神の前では何の身分もない。
カインは王夫婦を見送った後、自信も着替えるために自室に戻る。普段着ているものより数倍上等な神官長服に身を包み、神の座へ向かった。
「ねぇソナウイ、あれが王宮?すごいみんな走ってるけど・・・」
私は下を見ながら聞いてみた。真下に見える建物では多くの人が走っている。見た感じだと若い人ばかりか明らかに60過ぎた人まで徒競争なみに走っている。今日は運動会の日だったのかなぁ。邪魔したら悪いな。
「あれは神殿じゃよ。あそこがお主の城じゃ。今から神殿に降りる。我はお主を下すとすぐに帰るからそのつもりでの。・・・そんなにさみしそうにするな。すぐに遊びに行くからのう。あまり我は人前に出んからの。この国にあまり長く滞在すると他の3国がうるさいんじゃよ、辛抱してくれ」
私はとりあえず納得した。さみしいけどソナウイと二度と会えないわけじゃない。それに自分で引き受けた仕事?だもの。とりあえず初めが肝心!気合いを入れなくっちゃ。
いよいよ神殿に降り立つときソナウイは私に言った。
「アオイ、我の可愛い守り神。そなたに贈り物をしよう。そなたにぴったりの贈り物じゃ。今度会うときに感想を教えておくれ。
忘れるな。我はいつまでもお主の事を見守っている。神が後にいるのじゃ、自信をもて。アオイのやり方でこの国を守っておくれ」
ありがとう、ソナウイ。私にチャンスをくれて。正直あのままあっちの世界にいても、努力することなく人生終わっていた。私自身したい事なんてなかった。いやいや働いて、夢なんて見る暇もなくて。きちんと働いている人には失礼だけど。
私は平凡で、何の取り柄もないけど地球の神は私を選び、ソナウイは私に守り神というチャンスをくれた。この国で私の役割を果たそう。せっかくのチャンス、ものにしないと!
私は振り向いた。みんな土下座?をしていた。
ソナウイさん。やっぱり戻ってきて。状況を説明して下さい。
私、関西の人間です。文章読みにくかったらすみません。