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平凡な守り神  作者: yuki
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覚悟と私3

やっと奴が登場です。

・・・ア・・・イ、・・・・・・アオ・・・、・・・アオイ・・・



誰かが私を呼んでいる。とっても心地良い声。

周りのゴミの声ではっきり聞こえない。


『私』にとって碧がすべて。碧のためだけに存在する『私』。碧のために生まれた『私』

碧の邪魔ばかりする。

もし碧が望むならすべて消してしまうのに。




「そんな事はしないで、私に戻ってきて?」

アオイの前に碧が居る。

碧が私を呼んでいる、私を求めている!!

哀しみしかない私が、今嬉しさでいっぱいになっている!!





でも今私が戻ったら碧を悲しませた人間どもの処理は誰がするの?

碧の中じゃないと寂しい。哀しい。苦しい。

でも、碧が辛い目にあうのはもっと苦しい。



「ありがとう、アオイ。私の事をそんなに考えてくれて。

後は私が考えて、どうにかするわ。

貴方が居ないと私は“碧”では無いから。貴方の替わりなんていないんだから早く戻ってきてほしい。

貴方が戻ってきて、はじめて稲葉碧になるの。貴方が居ないと寂しいんよ。

貴方が私を守ってくれたからルグとも会えたし、大切な事を教わった。

貴方が居なかったら私は壊れていたと思うんよ。

ホンマにありがとう。貴方がいて本当に良かった、貴方のお陰で私は今ここにいる。

私の中に戻って少し休んで?」



碧が私を抱きしめてくれた。

碧の中に戻れる!!

それに碧が私を必要としてくれた!!

私は哀の感情なのに、温かい涙を流しながら碧の中に還っていった。








≪カイン≫


やっと領主の城でアオイを見つけた。

でも私が知っているアオイではなかった。何の感情を浮かべず、兵士や役人を精霊の使って殺している。一部生きているものもいるが、そんなものは稀だった。

いたずらや脱走を試みていたアオイとは全くの別人だ。

創造主が仰っていた“試練”というのはこの状態の事なんだろうか?

あのお方は何も仰らなかった。神官長である自分がこんな事を考えては好ましくないのかもしれないが・・・

もう少し説明しろよっと言いたい・・・


あ…アオイのダルンが血で汚れているな・・・

別にアオイが人を殺そうが何をしようとどうでもいいが、あの無表情がアオイらしくない。

素直な感情がそのまま表情として、感情豊かなアオイ。アオイであってアオイでは無い。



そんな事を考えているとアオイの動きが止まった。

そして初めて表情が動いた。

初めは驚き、そして次に微笑んだ、本当に嬉しそうに。

そして1粒の涙を流した。





“アオイ”が戻ってきた。

なぜだろう…アオイはずっと目の前にいたのに。


そう思った。


カインさんは基本的に人の生死に対して何も思いません。

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