守り神アオイと私2
『私』が眼を覚めたら目の前にアンギオがいた。
真っ青な顔をしたアンギオ。
理由を聞く前に精霊たちが教えてくれる。
碧には教えられないこの国の真っ黒い事。
彼らに悪気はない、ただ本能で碧が傷つく事は言わない。
碧がこの村に来たときにはすでにテンシンは攫われていた。ソナウイが一応加護らしきものをしてるから死んではいない。
でも何かを失ってはいる。精霊たちはそこまでテンシンに興味が無いから何を失っているかは分からない。
「イ、イナバ・・・テンシンが居ないんだ・・・どこを探してもいないんだ。こんな事初めてだ・・・もしかしたら領主に?なんで・・・。
イナバ!!お前、神官なんだろ?テンシンの居場所調べられないか?!
頼む!!イナバ」
「アンギオ、落ち着いて。
貴方が取り乱しても何の解決にもならない。ただ単に帰りが遅いだけかもしれないし。今度は『私』が探してくるわ。貴方はここで待っていて?」
碧は貴方の事を気にかけていた。貴方が傷つけば碧も傷つく。
おとなしくしていて。
「イ、イナバ?なんか雰囲気違わないか?」
「そんな事今はどうでもいいでしょ?とにかく貴方はここにいて。そうすれば何もかも上手くいくわ」
『私』はアンギオの家を出て、領城に向かった。
もちろんウジ虫たちを駆除するために。
「あいつの眼・・・金色だった・・・」
アンギオがつぶやいた。
私はソナウイと出会った草原に似た所で眠ってた。
暖かくて、優しい場所。
哀しい事なんて何にもない。
何にも哀しい事なんて思い出せない。
傷つくのはいや。
何も考えられない。
「おいこら、小娘。
なに感傷に浸ってんだ、ボケ。しかもでっかい声でポエム呼んでんだよ。
聞いてる方が恥かしいぞ。
お前は何のためにあっちの世界に行ったんだ?ポエム読むためか?
おいおい、お兄さん、心底引いちゃうぞ~」
軽い乗りとは裏腹にお腹に成人男性の全体重がズシっときました。
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