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平凡な守り神  作者: yuki
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誘拐犯と私2

本当にお待たせしました。今回は友人宅からの更新です。


あとちょっと暗いお話ですので気をつけてください。

ソナウイの背中は快適だった。馬よりも地面に近い分ちょっと恐かったけどそれ以外は揺れも殆どなくて・・・いやっ寝てた訳じゃないのよ!!意識が一瞬飛んだだけ・・・・のはず。


アンギオはちょっと意地っ張りだったけどいい子だった。アルド村に着くまでいろんな話をしてくれた。無駄知識レベルから家庭の医学まで幅広い分野で結構楽しかった。酔う心配も無くなったし歳も近い(精神年齢も)から話は合った。

まぁ騒ぎ過ぎて今はお互いの無言だけど。



アンギオは小さい頃の話や家族の話をする時はつらそうだった。先代守り神が亡くなる前までは家族みんなで楽しく暮らしていたそうだ。

崩御の知らせは国中の民が悲しんだ。そして絶望したそうだ。守り神が死ぬという事は精霊たちの加護を失う事・・・。少しずつ、本当に少しずつ国は疲弊していった。だんだんと畑が弱っていって、収穫が減っていって。



アンギオは言った。

「生活が苦しくても家族は仲良くやっていたぜ。妹も生まれたし。テンシンって言うんだ。今は10歳なんだが最近生意気なんだ。

話が反れたな。家族4人の生活は前よりも苦しかったけど楽しかった。父さんも母さんも、村のみんなも仲がよかった。みんなで助け合って生きていたんだ。領主さまもいい人だった。

でも・・・3年前、新しい領主としてあいつが帝都から来た。あいつが、ピッグが来てから税が2倍になったし女が村から消える回数が増えた。そしてお袋も消えた・・・。

後から聞いた話では俺らの村以外も同じだったらしいがな。

村の男が女を探して・・・あいつの館にも行って・・・帰って来なくなって・・・そして頭のない死体が見つかった。身体中傷だらけで、骨が見えてて腐ってて・・・でも親父だった。俺が見間違える訳ないじゃん。隣のおっちゃんも、食堂の兄ちゃんも分かった。顔が無かったけど分かった。

誰の仕業なんて考えなくても分かった。見せしめって事も。

でもどうする事も出来なかったんだ。村のみんなもそうだった。働き手が居なくなっても税は変わらない。俺はテンシンを守らなくちゃいけなかった。親父とも約束してたし。

でも、だんだんと収穫量は減って税が払えなくて・・・

ピッグは税の代りに女を自分の館で奉公させろって・・・。次、税が払えなかったら無理やり連れていかれる・・・。

俺、耐えられなかった!!テンシンはまだ10歳なんだぜ?なんで遊ばれて殺されると分かって・・・

神官を攫えば精霊たちが帰ってきてくれると思ったんだ。精霊たちが来なくても、神官を攫った大罪で王が動く。王が動けばあの領主の悪行が暴かれると思った。


・・・テンシンを・・・家族をこれ以上失いたくなかったんだ。

イナバには悪い事したな、ごめんな」



ああ、ソナウイが知らせたかった事はこの事か。私はこの国が抱える闇を知る義務がある。私は守り神として守られ自由に暮らせている分、大きな責任はあるはず。

どんなに王さま一家がいい人でも、賢政を行ってもアンギオのように苦しむ人がいてはいけない。

ある意味政治に一番遠くて、そして一番影響を与える守り神。

誰かに傷つけられる心配が無くて、自由に動ける守り神。ソナウイ以外は私を止める事はできない。でも、多くの人はアオイを知らない。有名なのは守り神だけ。


私はこの国を、シュヴァを護る者。私のやり方でこの国を良くしよう。

アンギオが邪な人間ならば(たとえば身代金目的とか乱暴目的とか)ソナウイの指示でも全力で抵抗する。

妹を、村を捨てる方がアンギオにとっては楽なはず。馬で1日半もかけて王都に来て、お祭りで浮かれる人々を見た。一体どんな気持ちで城下にいたのだろう。家族を奪われて苦しんでいる自分と、浮かれる人々。同じ国の人間なのに全く違う現実。それでも自分にとって一番つらい選択をした。

この国では神官の地位は高い。1番位の低い神官を誘拐してもおそらく死を意味するだろう。アンギオ自身も大罪だと分かっている。でも、神官長たちと一緒にいる神官を攫った。王が村に目を向けるために。

自分が楽には死ねない事が分かっていても、自分の死の代りに妹や村を守ろうとした。

自分を犠牲にする方法は正直好かないが、強い覚悟と思いは伝わった。


そんな事を考えながらソナウイの背の上で深い眠りについた。




“私が守り神って事を知らないアンギオ。

心配しなくてもあなたの願いは、思いは叶う。

だって王どころかソナウイが動いているのだから。この国の膿を神が出そうとしている。

可愛そうなピッグ。あなたは神からも見放された存在。

あなたはこの国にはいらない”




私の中で誰かがそう囁いた。

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