お祭りと私4
派手なソイの登場でさらに目立ってしまった私たち(でも私は含まれてない、クスン)。
取りあえずソイと私が知り合いである事、狼だけど危険では無い事をカイン達に説明した。周りの人たちは初めは半信半疑だったけどカインとコレトさんが納得している姿を見て最後には納得してくれた。
夢の中と覗きでしかソイを見た事が無かったから今回気が付いたけど・・・。ソイはものすごく大きかった。もちろん鳥バージョンに比べたら小さいけど。
元々の狼(テレビとかで見た)も大きいけどソイは1.5倍くらい大きい。確実に立ったら私よりも大きい。私がふざけてまたがって見たけど余裕で歩いていた。まあ余計に目立ったからすぐに降りたけど。
周りの人にはなんだか微笑ましいものを見るような目で見られていた。たぶん、前のKY王子と同じように年齢がすっごく下に見られているんだと思う。KY王子の時はまだシンプルドレスとか髪飾り、ピアスをしてたけど今日はダルンを着ている。ダルンは体型をほとんど隠すしこっちの人に比べて私は背が低い。
たぶん12、3歳の神官見習いが神官長達について町に遊びに来ました☆それで大きな狼を見てはしゃいでます☆みたいに思われているんだろうな・・・
あれ?おかしいな、前が曇って見えないよ・・・心の汗が出てきたよ・・・
ハイ!!隣のソイ君笑わない。
「イナバ、これはクシュといって自分の好きなものを挟めばいいんだ。お前は何が食べたい?」
「ん~じゃあそれ(鶏肉をタレで焼いたもの)をお願いします。」
「了解っと。カーンのクシュを1つ。俺は~パレでカインは・・・「ミム」を」
ふーん、鶏肉っぽいのがカーン、魚っぽいのがミム。コレトさんが頼んだのってなんだろ・・・見た目は何かの肉みたいだけど、焼かれてるから分からないな。もしかしたらこっちにしか無いものかもしれないし。
でもコレトさんがお肉でカインが魚って想像通りというか、分かりやすいというか・・・。絶対部活はカインは天文部とか美術部でコレトさんは柔道とかラグビーしてそう。でもモテそうな野球とかサッカーじゃないわね。カインも新聞部とか吹奏楽部みたいに協力するのじゃなくて1人淡々と作業やってそう。
でも2人とも顔がいいからすっごいモテそうよね。コレトさんは面倒見よさそうだし男女問わず後輩にモテそうだけど上手く逃げてそうよね。カインは・・・すっごい年上のお姉さんとかにモテそうかも、案外スゴい迫られて顔を真っ赤にして拒否るけど結局は襲われてそう・・・プッ想像したら・・・・
バシリッ
「いたっ!」
面白い想像(妄想?)してたらカインに頭を叩かれた。コレトさんもソイもなんだか呆れた視線でこっちを見てた。むー私が何をしたというのだ。
「カイン、暴力反対!こんなか弱い乙女に何をするの!それに精霊が何かしたらどうするの?」
「どこがか弱いんだ・・・。精霊もこんな事では何もしない、それに明らかに怪しい笑みを浮かべるアオイが悪い。精霊もその辺はきちんと見ている。」
「ちょっと考え事をしてただけなのに・・・コレトさんも何か言って下さいよ」
「・・・早くクシュを食べようぜ。冷めたら上手さが半減だからな」
コレトさんまで・・・。くそっここの人がドSって事忘れてた。それにしても魔王様は頭の中まで読むとは。気をつけなくてはいけない。
・・・あ、コレ(クシュ)おいしい。なんかハンバーガーと似た感じだけどこっちの方がおいしいし、身体にも良さそう。このカーンっていうのもちょっと照り焼きっぽくておいしいし。
コレトさんとカインが食べてるクシュも気になるな・・・一口くらいくれるかな・・・
ついジーと見てしまったみたい。周りの様子が全く読めて無かった。
ふわっと身体が浮いた・・・気がした。
「へ?」
「「アオイ(様)!!」」
2人の私を呼ぶ声が聞こえたけど私はどうする事も出来なかった。私は知らない男が乗った馬の上にいたのだから。
ああ、二人が神官であっても馬に追いつけるはずがない。男1人なら隙をつけば逃げられるかもしてない。たとえば私がこの馬から飛び下りるとか、でもそれをすると無傷ではいられないだろう、もしかしたら死んでしまうかも。そうすれば確実にこの男は死ぬ。精霊に殺される。たぶんソイが何も言わなくても何もできなかっただろうな、いくら知らない人でも殺されてはいやだもん。
こんな風に冷静に考えられるのはどこかで絶対に殺されたり、傷つけられないと確信しているから。自分でも不思議だけど・・・。
それにしても・・・この状況はいただけない。危険は無いかもしれないけど正直酔ってしまいそうだ。よく揺れると胃の中のものが逆流しそうだ。ご飯を食べてた所だし原形を留めたものを出しそうだ。
う~ん、後ろの男は私が落ちまいと身体を密着してるみたいだけど初対面ではやめてほしい。馬に乗っててちょっと暖まった体温が嫌。なんとなく少年っぽいからまあ許すけど(太った親父だったら叫んでたかもしれない)。
馬と同じスピードで走るソイを見て、ついいろんな意味の籠ったため息が出てしまった。
あっソイの口が動いてる。あいつ、私のクシュ食べたな。
≪カインサイド≫
「アオイ!!」
ほんの一瞬、目を離しただけだった。アオイが私たちのクシュをじっと見ていたので新しいものを買うかどうか迷って店に目を向けた一瞬。
その瞬間にアオイは何者かに連れ去られてしまった。
無理やり馬に乗せられるアオイを見て抑えが利かなかった。普段の自分ならすぐに馬を用意するか神殿に連絡をして犯人を捕まえようとするだろう。しかし、その時の私は神力を使って無理やりにでも不届き者を始末しようとした。この力を使えば確実にアオイを奪い返す事が出来る、しかし犯人は無残な肉塊となるが・・・。
両手に神力を集めようとした時、私の隣を何かが風のように通った。
追い越す瞬間、ほんの一瞬じっと私を見つめた。
ソイだ。アオイに懐く美しい獣。あの白い毛皮に碧眼の瞳・・・
あの瞳・・・どこかで見たことがある・・・
・・・まさか!!創造主ソナウイなのか!?神が裏で動いているのか!?
だから精霊たちもあの男を殺さないのか?
「おいっカイン!!しっかりしろ!!アオイ様が攫われたのに何を呆けている!!」
コレトが後で喚いているが頭がきちんと機能しない。
今、私が何をすべきか必死に考える。どうすれば一番にいいのか、守り神にアオイにとって一番いい方法は何か。
神が関わっているのだからおそらくアオイに危険は無いだろう。問題はアオイが居なくなった事で王宮の馬鹿どもが動き出す事だ。王には一応伝えておくべきだろうが後の者はどうするべきか。守り神を人形のように操ろうとする愚かで浅ましい貴族たちにアオイの不在を知らすべきでは無いか・・・。
もし、アオイが守り神に値しないと訳のわからん事をほざかれるとのちのち面倒だからな。これほどまでにソナウイに愛された守り神はいないというのに・・・。
この機会に貴族の洗い出しをするのもいいかもしれない。
「おい、カイン!起きてるのか?ショックで気絶でもしたのか?」
「起きている。コレト、神殿に戻るぞ。アオイはおそらく心配ない。精霊たちも静かだからな」
「そうなのか・・・まあお前がそう言うなら心配無いのだろうけど。(アオイ様が攫われて一番堪えてるはずのカインが言うのならそうなのだろうけど、こいつ今の顔、自覚していないんだろうなぁ。めちゃくちゃ邪悪な表情だぞ、絶対ロクでもない事するんだろうな)」