第1王子と私3
過去編第3弾です。
う~ん、文章がおかしい処が多々あります。ごめんなさい。
セシアは自分の不甲斐なさを後悔し、塞ぎ込む日が多かった。誰がレニューを殺したなんて考えなくても分かっていた。来る日も来る日も泣いて過ごした。
レニューが亡くなってから半年が過ぎていた。
どうして自分は王子を1人にしたのか・・・婚姻後もあれほど嫌がらせをしてきたシャローが何もしない訳がないのに・・・。
兄のキロイでさえセシアの泣いている姿は見たことが無かった。そんなセシアがずっと泣いている。声を荒げるのではなく静かに、涙が留めなく流れている。
「なぜ私ではないの?代わりに私を殺せばいい・・・どうしてレニュー・・・ググロの子供に手をかけるの?あなたはググロの妃ではないの?」
ググロはセシアにどう声をかけたらいいのか分からなかった。彼も分かってはいたのだ。シャローが王妃という地位に固執している事、そして手段を選ばない事を。しかしまさか王の子を殺すとは・・・。
ググロはセシアを愛していた。8年前に初めてセシアをみた時からずっと彼女だけを愛してきた。笑顔の似合うセシアをもっと笑わせたかった、幸せにしたかった。泣かせたくなかったのに・・・。ググロは思った。
自分が我儘を通してセシアと結婚した。セシア以外の女には正直興味が無かった。部屋を訪れる事どころか贈り物も部下に任せ、彼女たちがいようがいまいがどうでもよかった。シャロー以外の妃がセシアとの婚姻の際に実家に戻った時は、嬉しさよりも彼女らが後宮にいた事に驚いた。それほど彼にとって関心の無いものだったのだ。
シャローが王の気を引こうと手紙を送ってきても読まずに捨てていた。いや、捨てるのはググロの側近で、彼は渡された手紙を適当に置いておくのだ。そして埃が被った手紙を側近が始末する。
ググロはシャローがセシアに嫌がらせをしているのも知らなかった。知っていたら容赦なく後宮から叩き出していた。
ググロは自分の考えの甘さに辟易した。なぜ、シャローを野放しにしていたのか。もしかしたら王子だけではなくセシアが殺されてしまうかもしれない。そう考えると背筋が凍った。今回はガイザー家に証拠を消されてしまった。レニューという王子の存在を。
もし、同じような事があれば絶対に許しはしない。
ググロは心に誓った。
セシアは夜の散歩に出ていた。侍女が一緒に行こうとしたが断った。1人になりたいと言うと侍女は何も言わなかった。
泣きすぎて頭はボーとしていた。前方から人が来ている事に気が付かなかった。
セシアが我に返ったのは、自分が地面に座り込んでからだった。驚いて顔をあげるとそこにはシャローがいた。
「こんばんは、セシア。私の前に立たないで下さる?身分が違うのだから道をあけるのは当たり前でしょ。あなたが道を開けないからぶつかってしまったじゃないの。卑しい身分だけではなく頭も悪いようね。
あら、顔が赤いわ。唯一の取り柄である顔まで無くなってしまうわよ?」
シャローは厭らしく笑うとセシアをみた。
セシアは今の状況を理解した。自分がなぜ地面に座り込んでいるのか、そしてタイミングよく現れたシャローの目的を。ここで侍女を呼ぶ事が最善だと理解していた。しかし、感情が付いてこなかった。
「私の子供・・・王子が殺されたのですもの、泣くとは当然です。犯人が検討はついておりますが」
「あら、不思議な事を仰る。あなたは死産だったのでしょ?殺されただの犯人だの恐ろしい事を・・・。まあ、あなたの幻想に付き合ってあげるわ。
王の寵愛を受けているからといって調子に乗らないことね。この国の王妃に相応しいのは私なの。あなたではない。勘違いをなさるから、命が消えるの。
まあ卑しい血が王家に残らなくてよかったわ。死んで当然だったのよ、卑しい御子は。」
シャローはそのまま去っていった。
セシアは怒りに震えていた。あの女は王子を殺した事を当然だと言った。後悔や罪の意識など微塵を感じていなかった。
「私は泣いているばかりだったのにね、レニュー。あなたを殺した人は何にも感じていなかったわ。私やググロはあなたの分も生きないといけないのにね。馬鹿な母でごめんね。
でもね、シャロー。あなたは絶対に許さないわ。あなたがググロを愛して、そして子を望むなら王妃はあなただったかもしれない。でも、あなたは地位がほしいだけ。
王妃の地位など興味は無いけれど、自分しか愛せない人のためにレニューが死んだというならば、私は愛する人のために王妃になるわ。絶対にレニューが無かった者のようにはさせない。それが私の復讐よ。」
セシアはレニューに誓った。必ず、レニューの存在を消したりしないと。何年かかっても絶対にレニューという王子がいた事を証明すると。
1年後、セシアはスタンを出産する。
そしてとうとう王妃になった。ググロから王妃の証である精霊の涙で作ったペンダントとピアスが贈られた。
スタンはレニューの二の舞にしないように厳重に警備された中ですくすくと育った。兄がいた事、自分が狙われている存在という事を隠さずに育てた。危機感のない人間を守る事は出来ない。幼いころからオリーブに剣を、キロイから政治を習わせた。
スタンは少々天然な所はあるが、まっすぐに育っていった。
不思議な事が起こった。セシアがスタンを出産後、すぐにシャローの懐妊が分かった。王に近い人々は首をひねった。あのググロがセシア以外の女に反応するのかと。
失礼な言い方ではあるがググロ自身が公言している。セシア以外の女と寝る気はないと。
ググロ自身はセシアにボコボコに殴られ蔑まれた後だったですぐには確認ができなかった。しかし、ググロ曰く「手を出した覚えはない。だってセシアがいるもん☆」だった。
生まれた子は王とよく似た緑の目をした男の子だった。
さらに2年後、またシャローが懐妊した。
今回はセシア+スタンから白い眼でググロは見られた。やっぱり「セシア以外を抱くはずないじゃん☆ちょっつ殴らないで・・・ぎゃー」
やっぱり身に覚えは無かったが生まれた子の目はやっぱり緑だった。
その当時の守り神は男性だった。
もともとはシュヴァの平民であったが神に見出され守り神となった。あまり身体が丈夫ではなかったが優しい青年であった。王族とはほとんど付き合わず、守りの館にいる事が多かった。彼は大きな秘密を持っていた。だれも知らない秘密を。
しかし、時折精霊にだけは話していた。
「紫の瞳の凄くきれいな人と仲良くなれた。彼女はいつも悲しんでいて、慰めてほしいと懇願される。僕の緑の眼が羨ましいと言われるのだよ」
時折、精霊たちは唄ってる。
彼と彼女と精霊以外、誰もしらない。
先代守り神は亡くなった。
守り神の言った事を精霊が神官に言うはずもなく、今知ってるのは紫の目の彼女だけ。
今はね・・・。
ねぇ知ってる?王家の秘密。
精霊は人間とは話せないけど動物とは話せるの。心が澄んでるから。
精霊も動物もおしゃべりなのよ。いろんな事を知ってるの。
知らないのは人だけ。
でもアオイは知ってるの。
動物がメイド以上に井戸端会議をしているしいろんな情報を知っている(誰それの趣味は・・・のレベルから国家機密まで)事を。
ねえ、アオイ。王家の秘密知ってる?あなたが望むならなんでも教えるよ
心理の描写って難しいですね・・・




