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平凡な守り神  作者: yuki
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ソナウイと私

「余裕があるの~」


余裕?あるわけねえじゃん。今までの人生の中で一番心臓が働いているわ、ボケ!ばかじゃねえの。

悪態を心の中でつくながら声の持ち主を見た。




うん。でかい鳥。しかも光ってる。脂でテカってるのか。若干失礼な事を考えてみた。とゆうか頭は冷静な判断ができる状態ではない。わからない事ばかりの時って、どうでもいい事しか考えられないみたい。相手が人型だったらまた違っていたのかもしれないけど、相手はでかい鳥。下手に刺激しておやつになってもまずい。



くだらない事を考えていたらいつのまにか卵は消えてて、黄色い草原?に立っている。ナ〇シカが立ってるみたいに。ちょっと私、谷を守るために犠牲になったの?あの子みたいに強くないし、身体能力高くねー。

てかいつから地球は2次元に。おいおいアキバで反乱でも起こったのか。それともジブ〇王国が建国されたのか。






「・・・そろそろ話を進めてもいいかのぉ。ついでにお主が考えている事だだもれじゃぞ」


巨鳥が話だした。

おとなしく、とりあえずは話を聞いてあげよう。ここが日本、いや地球ではないのかもしれない。こんな風景、テレビでも見たことがない。



「我が名は聖鳥 ソナウイ。この世界の創造主じゃ。お主はイナバ・アオイじゃな。お主の世界の神と取引をしてこちらに来てもらったのじゃ。来てもらった理由じゃが、ある国の守り神になってほしいのじゃよ。お主は仕事を探していたのじゃろ。三食昼寝付で城付きじゃぞ。なかなかいい話ではないかのう。しかもお主は我の使いの守り神、その辺の精霊よりも遥かに高位じゃ。ストレス社会のあっちよりも居心地がよいぞ」


「ちょっと待ってっ!取引ってなに?守り神?一体何の話をしているの。ここはやっぱり地球ではないの?一体ここはどこよ。どうして私はここにいるのよ。早く家に帰して。」


ソナウイの話を聞いても全然理解できない。反対に余計に混乱する。


「ちょっと落ち着け、アオイ。取引というのは「言葉の意味を説明したら話しないから」・・・あちらの神に守り神の素質のあるものを探しておいてもらったのじゃ。守り神とは我の使いとして、我の言葉を民に伝え、また民の声を我に伝えるのじゃ。しかし守り神といっても人形ではない。自身の意思で生きればよい。基本的に我は守り神に一切任せておるからの。まあ暇つぶしに遊びには行くがのー。

アオイ、ここはお主のいた世界ではない。しかし帰れん訳ではない。そこは安心してよいぞ。ここに嫁か仕事にきたと思ってくれれば理解しやすいかのう。向こうの神にお主の周囲の人間にはうまく誤魔化せておる。ダイガクも卒業したことになっておる。学歴もばっちりじゃ。」



ソナウイは大型トラック級の身体でゆっくりと座った。あんなに大きな身体なのに何の音もしなかった。

「元の世界には帰れる・・・卒論しなくても卒業できる・・・寝食保障で城付き・・・ストレスなし・・・。あれ、結構どころかすごく優良物件。はい、引き受けます。」

現代日本は不況で、2流大学のしかもよくわからない学部の私が就職するのは厳しい。資格も持っていない私は来年の就職活動におびえていた。無事に就職できたとしても、女子の多い職場ならではのめんどくさい決まりや上司との関係に悩んでいるのは目に見えている。

異世界の守り神が楽ではない。ソナウイの言っている事が本当なら私の意思で物事を決定してよいなら多くの人が私を利用しようと近づいてくるだろう。たぶん会社で働くよりも大変だろう。それでも、あの女特有の関係に悩ませられるよりはマシだ。

中学では、部活のレギュラーをめぐってメンドクサイ事になった、先輩に気に入られている・いないでイジメもあった。高校ではモテる先輩をめぐって女の裏の顔がみえた、あとやっぱりいじめ。友達だった子の物を隠して、笑う姿。意味のわからない理由をつけて自分を正当化する同級生。

たまたま女子の少ないクラス(しかも理系、変わった人が多い)だったから直接被害には合わなかった。でも女はいつまでたっても女。社会に出たからといって治る訳ではない。大人になった所為さらに狡猾になるだろう。

何よりもソナウイなら私を悪くはしないだろう、という思いがあった。初対面の者に抱くには危ないのかもしれない。でもそう思っていても止められない。


ソナウイはなんとなく笑った気がした。もちろん鳥の表情はわからないけど。


「そういえばアオイ、お主は我がどんな姿に見えておるのじゃ?守り神によって違うんじゃが」


そうなんだ。私には蒼い瞳の真っ白な巨大な鳥、しかも光っている。もしかしたらカエルに見えたりする人もいるのかも・・・。


「神をカエル・・。アオイ、考えがダダ漏れじゃと言っただろうが・・・。

とにかく白い碧眼の巨鳥じゃな。うんうん。アオイはまなこをもっているようじゃ。あやつもよい仕事をしてくれたのー。よい取引じゃったわ」


よくわからないけどほめられた。考えが伝わるのはちょっと嫌だけどソナウイだったらいいわ。








「ねぇソナウイ、私、初め卵の中にいたんだけど、どうして?ソナウイが鳥だからなの?」

「ああ、それは向こうの神がふざけたんじゃろ。アオイが我を鳥じゃとまなこでみることができたからよかったが、下手したら火傷するところじゃったわい・・・。」



ソナウイって異世界の神なのに妙なところで日本語知ってるわね・・・。

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