精霊と私3
今回はカインがよくしゃべってます。
私は震えが止まらなかった。
自分が人の死ぬ原因になる事が怖くてたまらなかった。自分の周りで人が死ぬ事なんて無かった。殺人事件や事故、戦争・・・すべてテレビで聞いていた事がある。でも全部他人事だった。あっちの世界での私にとって人の死はとても遠いものだったのに、今の私の周りには死しかないのかもしれない・・・。
気が付いたら私はカインに抱きしめられていた。私の視界にはカインのダルンしかない。結構な力で抱きしめられているから身動きが取れない。
「アオイ、あなたは守り神です。あなたの誕生をこの国の人間は待ち望んでいた。
言ったでしょう?この国は10年前に先代守り神が崩御された瞬間から、少しずつ精霊たちは離れていった、それは多くの者が死んでいったという事。
あなたは自分のせいで人が死ぬと恐れている。自分が人を殺すと・・・。
でもあなたが守り神になった事で救われている命が多くある事を忘れている。今、この瞬間に生まれている命がある。」
涙が出てきた。自分がいることで、守り神になった事で救われた命がある。それが本当かどうかは分からないけどこの国の人に、カインに言われたことで自分がこちらに来た意味があると言われているようでうれしかった。
「確かに精霊が守り神を害した者を殺す事はある。しかしそれは稀だ。
理由は2つある。1つはこの国に守り神を害しようとする人間が殆どいない。恥ずべき話だが利用をしようとする輩はいるがな・・・。
もうひとつは我々の存在だ。神官は神に仕え、精霊の声を聞くものだと言ったな?この二つには愛する者がいる。それは守り神だ。我々神官は邪な人間から守り神を守る。精霊たちが動くよりも早く、確実に。小さい芽のうちに対処する。
我々は神の名のもとに人を罰する。平民の罪も、貴族の罪も、王族の罪もすべて神官が決める。死が罪に相当するかどうかは神官長、つまり私が決める。1人が死ぬ事で救われる命があるから、私はこれまで死刑を判断できてきたつもりだ。
アオイは賢い、そして優しい。精霊に受け入れられる段階でそこまで理解出来る者は少ない。力に溺れる者がほとんどの中で、力の意味を理解し怯えるなんて・・・。
忘れるな。おまえの心が傷つかないように我々はいるのだ。
創造主、ソナウイの名に誓おう、私は神官長として・・・いやカインとしてアオイを人間からも精霊からも守ると」
私は本当に幸せものだ。
ソナウイにチャンスをもらえた事、この国で愛されて生きていける事、そしてここまで私を思ってくれる人に出会えた事。
カインに何か言いたかったのに、嬉しかった事や安心した事、ちょっと恥ずかしかったことが頭の中でぐちゃぐちゃになってしまって言葉が出なかった。ただカインの腕の中で頷く事が精一杯だった。
しばらくして、泣きやんだ私はカインと一緒に神殿に帰った。
いっぱい泣いたせいで顔は真っ赤だったけど、精霊たちが気を使ってくれたのか水の塊が私の頬当たりにずっと張り付いていた。体温で温くなる事も無くほてりが収まるまでずっと。優しいなって感じた。
精霊を怖がってばっかりいた自分が恥ずかしくなって、心の中で謝った。そしたらすぐに風が一瞬私の周りで踊った。まるで慰めてくれるように・・・。
カインは何も言わなかった。これからの事も精霊の事も。
やっぱり凄く優しい人なんだな~。
・・・まあ天然のたらし君だけど。さっきソナウイに誓ってたけど、アレは一種のプロポーズだぞ。素って恐ろしい・・・。カインは顔よし性格よしなんだからあんな事言って女の人が勘違いしてしまったら可愛そうだな・・・。
神殿でコレトさんと出会った。
コレトさんはカインを無理やり近くの部屋に引きずり込んだ。しばらくしたらカインが真っ赤な顔で出てきた(コレトさんは床で伸びていた)。
≪ちなみに二人の会話≫
コレト「お前、さいあく~。俺ちょっとカインがこわい~。そんなに手が早かったなんて・・・」
カイン「何のことだ」
コレト「とぼけちゃって。アオイ様泣いてたでしょ、目が真っ赤。しかもお前のむねで☆ダルンが濡れてるぞ☆」
カイン「なっ・・・。だからどうした」
コレト「んまー開き直っちゃって☆あの方は簡単に涙を見せる方ではない。そんなアオイ様が泣くということはお前に心を許しているという事だろ。それを堂々と隠す事もなく見せるなんて・・・。“俺はアオイ様の特別だ~”って宣伝しているようだぜ。まあ、アオイ様は知らんがお前にとったら好都合かもグェッ」
カイン「う、うるさい//////」
カイン出ていく。コレト、カインの拳がみぞうち直撃。悶えてマス。
よくわかりにくい文章ですみません(*_*)