ソイと私2
今回はカインサイドなのでアオイさんはお休みです。
カインサイド
神官の朝は早い。早朝の方が空気が澄んでいる分、精霊の声を聞きやすい。
私は普段よりも早く目が覚めた。寝起きは悪いわけではなかったが今朝ほどすっきりと目が覚めた事は無かった。アオイが同じ世界にいるという事、それが私を安心させていた。アオイは寝ているのだろう。守りの館から神殿に行くまでには私の自室を通らなければならないがそんな気配はなかった。
昨夜の騒動で疲れているのだろう。私は今まで政治に興味は無かった。もちろん今も全く無いが。あれが権力に踊らされている者たちの姿か。滑稽な道化師どもめ。
側室一家の様子には驚いた。特に第二王子と第一王女の頭の悪さには呆れを通り越して殺意さえ生まれてくる。あの場にはアオイがいたので優しく注意(※カインにとっては)出来たが次からは抑えが出来そうにない。
アオイはもう少し寝かせておこうか。今日はもともと余裕をもって予定を組んである。
~数時間後~
私は神官長の仕事を行っていた。昨夜コレトに昨日の分までは終わらせておいたので量はあまり無かった。
「カイン~、そろそろアオイ様起こした方がよくないか?あんまり寝すぎると反対にしんどいぜ」
・・・もうそんな時間か。確かにそろそろ起きた方がよいだろう。コレトにしては気がきくな。私はアオイを起こすべく席を立った。
「おいおい、返事しろよ。昨日のお前はどこに行ったんだよ・・・」
コレトの声がしたが気にしない。私は守りの館に向かった。後ろからコレトがついてきていが無視をした。コレトのために時間を潰したくない。
守りの館についたがアオイが起きた気配は無かった。近くにいたメイドにアオイの所まで案内をさせた。アオイはまだぐっすりと眠っているようだった。私たち(私とコレト)が寝室に入っても起きようとしない。気持ちよさそうに眠るアオイを起こすのは忍びない気がする。
「・・・う~ん・・・・」
アオイが起きようとしているのか寝返りを打った。私はアオイを起こそうと声をかけた。
「アオイ、そろそ「やめてー!起きます。二度寝も三度寝もしません。きちんとお布団さんと別れます。彼は悪くないの!!私が勝手に好きになった・・・」
オフトンさん?誰だそれは。アオイの思い人か?アオイに好かれていたにも関わらず別れたのか?なんという無礼な奴だ。もし目の前に現れたのなら私の神力で魂の一欠片も残さないように消しさってくれる。もちろん、楽には殺さない。生まれてきた事を後悔させ、自分から死を願うようになるまで追いつめなけれならない。
そう考えると笑いが出てしまった。
隣にいたはずのコレトが私から離れようとしたが、そんな事はさせない。コレトの周りに結界をはった。コレトの顔色が悪いが気にしない。
「カイン、おまえは神官長だよなっっ。神に仕えてる神官の長だよなっっ」
「何を当たり前のことを。とうとう可笑しくなったか?コレト」
私は(コレトを結界に入れたまま)アオイの寝室から出て行った。アオイはまだ寝ていた方がよい。メイドにもそう伝えた(なぜかメイドは泣いていた)。
「おかしいのはおまえだ、カイン!そんな真っ黒オーラが出まくっている神官などいるかっ。神と正反対の存在になってるぞ!
まず俺を結界から出せ、そして休みをくれ。俺は今から具合が悪いんだ。「却下だ。」
畜生!!お前の笑顔をこんな形で見たくなかった。昨日の俺の素敵な考えの馬鹿!!ここまで付いてきた仕事熱心(カインを見守ろう隊の隊長)の素敵な俺の馬鹿!!」
コレトの言葉を無視しながら私は神殿に向かった。
コレトは99%怯えて、1%遊んでます。
カインは自分が黒い事に自覚はないです。