獄潰し 〜エロのさじ加減は難しい〜
霜崎賢治:最近小説を書き始めた高校生。天道時時雨:若干ムッツリっぽい少年。これまた同じく高校生。
天道時時雨は友人である霜崎賢治の元へとやってきた。呼ばれていたからである。
時雨
「どうかしたの?」
賢治
「これを読んでくれよ」
手渡されたものはどうやら小説らしい。
時雨
「えっと……」
口に出して読んだらなんとなく恥ずかしい内容だった。時雨の顔が徐々に赤く染まってゆく……
時雨
「エロいよ、これ」
賢治
「ああ、そうだろうねぇ……エロのさじ加減って一番難しいと思うんだ」
しれっとした表情で友人のほうを見ることなく憂いの目を黒板あたりに動かす。
時雨
「露骨にやりすぎると読者から嫌われるよ!露骨なエロは下ネタだよ!大体、なんだよこれ!『薄皮に指を滑り込ませ、熟れたイチジクをそっとなでると(以下省略)……』ってやりすぎだよ!中学三年生男子辺りが読んだら絶対にふんふん!って言っちゃうよ!」
賢治
「そうかな?ところで何で中学三年生男子?」
時雨
「その年頃はいろいろと敏感でしょ!!」
賢治
「そんなに想像を掻き立てられる?『甘酸っぱい果実が背中に二つ押し付けられた〜』で何か想像できる?」
時雨
「それは……人それぞれだよ!」
しっかりと頭の中に状況を作り出した妄想少年は机を叩きつける。しばし力の入れすぎで悶絶を始めるのだった。
賢治
「エロって難しいんだね〜」
時雨
「そうだよ!難しいんだよ!一口じゃエロは語れない!」
実に難しいことを言い合っている風に見えるが会話が会話だ……きっと聞いた人がいたらあきれていただろうが残念ながら朝が早かったためにまだ生徒の姿はない。
賢治
「じゃ、これは?『足が引っかかって少女の上にこけてしまった』問題ないと思うけど?」
時雨
「セーフだと思うよ」
賢治
「じゃあ……『右足が左足にひっかかって無垢な少女のその熟していない……』」
時雨
「アウトだよっ!!最近規制が厳しいんだから!」
賢治はううむとうなる。
賢治
「小説にエロは難しいねぇ」
時雨
「そうだね、それはいえてると思うよ」
賢治
「いっそ伏字にするか……『男は少女にまたがり、少女の×に○○○を△△してああしてこうしてこうなった〜』とかどうだろうか?」
時雨
「見事にやらしいことを考えてしまう自分が悲しいよ……」
うんうんうなりながら賢治は手を叩いた。
時雨
「どうかしたの?」
賢治
「いっそそんな小説を書いている人に今度意見を聞いてみるのは?」
時雨
「なるほど……」
―――――――――
「ってな小説を書いたんだけどどう?」
霜崎賢治は友人である天道時時雨に見せる。
「題名は『エロのさじ加減』いけると思わない?」
「きっと、首をかしげている人たちしかいないと思うよ?結局おちついてないし」
そういうと賢治はにやっと笑った。
「エッチな小説読んでてオチつくわけないだろ?」
〜終〜
エロかったか否か……この小説にとってはそれだけが存在意義でしょう。作成時間十分。別に目的があったわけじゃあありません。意見というかなんというか、評価よりもそういった意見が欲しい……エロを使わなきゃいいだろ♪といった意見は見事に的を射たものですができましたらそれ無しのご意見が聞きたいと思っている作者雨月でした。もはや賢治と時雨を知っている方はいないでしょうねぇ……それでは、感想評価お暇でしたらよろしくお願いいたします!九月二十六日土、二十一時三十六分雨月。