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宝玉の吸血鬼。~人間を辞めきれない大罪人~  作者: ホタル。
1章 略奪者編
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No.008 向こう側のニンゲン



 流石に始業式に出るには僕のメンタルが持たない。

 だから保健室に逃げたんだ、そう、逃げたんだよ。


 トントン。


「失礼します」

「あら、君は? 始業式はどうしたの?」

鬼灯(ほおずき)(かずら)です。ちょっと色々ありまして。それで先生。お金を貸してくれませんか?」


 待て、読者の皆はこう思っただろう。

 「わざわざ始業式を休んでお金を貰おうとするなんてなんと外道な」と。

 ただ、違うんだ。

 この学校には公衆電話(もどき)があってお金が必要なんだ。


「ちょっと電話をかけたくって」

「あら、私のスマホでよければ使う?」

「ありがとうございます」


 あー、保健室の先生、あなたは神ですか?

 でもこれでダン高に電話が出来る。

 あっ、この中学はスマホとか持ってきちゃいけないから。


『こちら、ダンジョン専門国立高等学校の経営科です。ご用件はなんでょうか』

「すみません、鬼灯葛ですけど、受験合格票を送って頂きたいのですが」

『あぁ、鬼灯さんですか。先日は失礼いたしました』

「それで、僕の中学校に送って頂きたいのですが可能でしょうか」

『はい、もちろん可能です。それでは後程届きます』

「ありがとうございました、失礼します」


 無事にお願いが終了した。

 普通はこんな中学生の言うことは聞かないだろうけど、あんな事があったんだ。

 そう、僕は悪くないのに犯人にされて……あれは残っているから使えるな。

 でも、今回のお願いを聞いてくれたから燃やしておくか。


「先生、ありがとうございました」

「どこに電話をしてたの?」

「ダン高です」

「えっ、でもダン高がただの中学生のお願いなんて聞くはずないのに。あなた何者?」

「先生、目がこわいです。僕はただ単に、仮があるだけです」

「詳しく聞かせてくれるかしら?」

「簡単に説明しますね」


 それから保健室の先生に簡単に説明をして、始業式が終わった頃を見計らい教室に戻った。

 そして、今からホームルームが始まる訳だが、


「おい、聞いたか? 外にダン高の車が来てるって」

「おいおいマジかよ。誰に用なんだ?」

「流石に葛はないよな」

「あるとしたら、2年か1年のスカウトか?」

「または白石(しらいし)だろうな」


 白石が誰かって?

 予想ついてる人もいるだろう。

 白石(しらいし)剣悟(けんご)、この学校でダン高に合格することが出来た1人だ。

 てか、思ったよりも到着が早いな。

 30分も経っていないというのに、早いに越した事はないけど。


 ピーンポーンパーンポーン


熱血(ねっけつ)先生、熱血先生。至急職員室までお戻りください。次に、3年1組の鬼灯葛くん、鬼灯葛くん、至急職員室まで来てください』


 えっと、電話しなければよかった。

 なんか面倒な事になってきたし、クラスメートからは、「こいつなにしたんだ」っていう目で見られてるし、もう嫌だ。


「葛、お前もお呼ばれだから行くぞ」

「はーい」


 ここは従っておこう。

 何を言われるかな?

 文句を言われるだろうか?

 またはお金を請求される?

 と、そんな事を考えていると職員室に到着した。


 青春(あおはる)先生の後ろについていくようにして職員室に入る。

 そして、 


「やぁ、鬼灯くん。君もダン高に合格していたんだね。ダン高からの合格届けは確かに確認したよ」

「あ、ありがとうございます。それと、ダン高の方ありがとうございます」


 ダン高からの人は黒服の男性で、ちょっと怖い。

 これにサングラスをつければ某逃走するやつに似ている。


 それから先生たちに色々な事を聞かれて教室に戻った。


「どうだ、葛? 嘘をついたから怒られたんだろ」

「次からはもっと面白い嘘をつくんだな」

「そんな事はいいから皆席につけー」


 先生は事情を知っているけど、注意はしてくれないらしい。

 皆が席についてから、1人の生徒が先生に質問をした。


「先生、葛くんはなんで職員室まで呼ばれたんですか?」

「ん? 気になるのか。それはダン高から合格届けがきたからだよ」

「えっ、それって何かの間違いですよね。コイツが? いや、ありえねぇ」


 この自棄に批判してくるやつは、神原(かんばら)京介(きょうすけ)

 今まで何かと突っかかってきて、迷惑をしていた。

 それに、なぜかわかんないけど物凄い嫌われている。

 本当に心当たりないんだよ。


「おい、どんな卑怯な手を使ったんだ? アァン」


 胸ぐらを掴んで軽く持ち上げられてる僕。

 彼と僕では体格差があるから少し息が苦しいくらいだ。


「あのー、離してくれない? 邪魔」

「てめぇ、喧嘩売ってんのか?」

「どこをどう取っても君が僕の胸ぐらを掴んでいる時点でそっちが喧嘩を売ってきてるよね?」

「口答えすんじゃねぇよッ」


 そのまま僕は後ろに投げ飛ばされる。

 が、もちろん吸血鬼になった今では痛みも少ないし、怪我もしていない。

 本当にいい体だ。

 僕はずれた椅子と机を直して席につく。

 ここで事件を起こして合格取り消しになるのはゴメンだ。


「おい、俺は眼中にねぇってか? 調子に乗るんじゃねぇよッ」


 ガシャァン、と音をたてて僕は吹き飛ばされる。

 神原は机と一緒に僕の事を蹴り飛ばしたんだ。

 なかなかどうして、力が強いな。

 もし、人間のままだったら(あばら)の1本や2本折れてたかもしれない。

 それにしても、無視はよくなかったな。

 相手を無駄に怒らせてしまった。

 先生は止めようとしているが、神原の仲間たちが抑えていてこっちに来ることすらできない。

 ここで神原の仲間を攻撃したら体罰になるからな。

 体罰は即逮捕、即牢屋行きだ。

 周りも、自分可愛さに助けない。

 まぁそれでいいんだけどね。


「おい、ウンとかスンとか言ったらどうだ? アヒャ、痛くて痛くて声を出ないか?」

「痛くはないし、怪我もしてないから慰謝料請求出来ないのが残念だわ」


 僕の今の顔がどんな顔だって。

 他人を蔑む最低な顔をしてたと思うよ。

 と、まぁ挑発したら大振りのパンチがお腹目掛けてきたからそれを受け流してから手首を持って投げ飛ばす。

 と言ってもポーンって投げるんじゃなくて、バチーンって地面に叩きつける感じだ。

 もちろん受け身をとれば怪我なんてしないだろう。


「頭は打たないように引き上げたつもりだけど大丈夫だよね」


 流石に怪我なんてさせられない。


「てんめぇ」

「調子に乗んなー」


 先生を抑えていた神原の仲間たちが次は相手になるようだ。

 片方は椅子を武器とし、もう片方は机を投げてくる。

 全て喰らって結構大袈裟に吹き飛んでおく。

 それと、偽装で何本かの骨を折っておく。


(いった)い」


 骨を折ると流石に痛みが体に走る。

 けど、10秒もしない内に治ってしまった。


「葛くん大丈夫? 今骨が折れた音が聞こえた気がしたから」

「う、うん。なんとか大丈夫」


 おい、吸血鬼の力強すぎだろ。

 骨を折ってもすぐに治るは、怪我を全然しないで。


 ピーポーピーポー、と外ではパトカーと救急車の音がよく聞こえる。

 そういえば、クラスメートが1人いなくなってるから通報しにいったのかな?

 それに他の先生も助けられないんだろうな、体罰が怖くて。


「ここです」

「動くな」


 いなかったクラスメートと警察2人が教室に入ってきて、僕に危害を加えた3人を連行していく。


 これで一件落着だな。



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